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9話:悪魔の残滓集め3

一難去ってまた一難、お姉ちゃん助けてください音楽室でヤバい友人(紅葉ちゃん)に詰め寄られています。

 紅葉はどこか哀しそうな顔で言ってきた。大好きな葉隠君が好きなあなた(ユウキ)を好きになれたら好きな人に近づけるのではないかと・・・悪魔の残滓の影響なのか思考がおかしくなってしまったのだろうか、それとも元からこうゆう歪んだ性格な持ち主だったかは置いておくとして


 どう考えてもこの状況はヤバいよね、音楽室の出入り口に近いのは紅葉だし、いっそ窓から飛び降りるのも手かもしれないここは東館2階の音楽室、多分地面の高さは2.5~3メートルぐらいだろうか、飛び降りても平気かもしれないけど、さっき一瞬で後ろに回り込まれた事を考えると逃げるのは非常に困難かもしれない。

 じゃあなんか学園異能バトルのキャラクターみたいになってしまた。紅葉と戦うか?恐らくほぼ勝ち目が、無いだろう。どうすればいいか。


 「どうしたのかな緊張してるのかなユウキちゃんは」

 ゆっくりとユウキに近づいてくる紅葉に思わず離れようとするユウキだが

 「鬼ごっこはしたくないから逃げないでね」

 そんなにドスを効かしたとかではなく、本当に普通な口調で紅葉が言った。その瞬間にユウキの体は後ろに下がれなくなった。足が動かないのだ、本当にお醤油取ってぐらいの気軽さで発せられた。紅葉のセリフでユウキの自由はあっさりと奪われてしまった。


 紅葉がユウキの真正面まで来て、ユウキの顔に手を伸ばした。思わずユウキは目を閉じてしまった。紅葉の手が優しくユウキの頬を撫でた。

 「ひっ」

 ユウキは言いようのない恐怖に小さく叫び声を上げた

 「大丈夫だよ、怯えなくても大丈夫だよ」

 紅葉は私の肩を軽く叩きながら大丈夫だよと囁いた。

 「わたしはユウキの味方だからそんなに警戒しなくても大丈夫だよ」

 大丈夫と繰り返し言いながら今度は後頭部をポンポンと触れて来た。なんだか抱きしめてるような絵ズラになっているけど、そうしてすっと紅葉は私から離れた。


 「まあいきなり信用してもらうのは厳しいからね」

 「今日は私が味方だと言う事を信じてもらう為に、帰るよ。この後葉隠くんとデートだしね」

 その葉隠君は悪魔の残滓で操った。葉隠君なのだろうか、すこし疑問に思ったがわざわざ虎の尾を踏むような真似はしたくない。今日だけ二度も命の危険を身の危険を感じたのだから。

 「それじゃあね、ユウキちゃんまた連絡するよ」

 手を小さく振りながら音楽室のドアを開けて出て行こうとする



 ドアをすり抜けて大きな影が、紅葉の伸ばした腕を包み込んだ。大きな影はそのまま床に潜り込んでいく。一瞬だけ見えた影のシルエットは、まるでサメの様な大型の魚類の様だった。紅葉の方を見ると包み込まれた腕が影の様なものに包み込まれていた。

 包み込まれて居るだけでは無く、その影が徐々に彼女の腕全体を包み込んでいく。明らかに顔が歪んだが紅葉は自らの無事な腕を鋭利な刃物の様に変質させたかと思うと、一瞬で自らの腕を切り落とした。

 

 だがその一瞬の隙を付いて影のシルエットは紅葉の足下から現れて紅葉の事を一飲みにしてしまった。影のサメが紅葉の体を包み込むと先ほどまで目の前に居た紅葉は居なくなってしまった。

 そのサメの影がみるみる人型の形態へと戻っていく、そこには先ほど無様に逃げ出した。

 悪魔が居た、その悪魔はふぅと一息付くと私に話し掛けてきた。


 「ユウキ先輩大丈夫ですか、なにか変な事はされてませんか?」

 そう和やかに話し掛けてきた。

 「ごめん、もうなんか色々と無理」

 早く帰って眠りたいそして紅葉ちゃんと連絡をやり取りしながから寝落ちしたい。

 「ちがう、ちがうこれは夢なんだ、早く起きないと」

 ユウキは異常事態に付いて行く事が出来ずに現実逃避を始めた。

 「もう夢じゃないですよ、なんなら肩でも貸しましょうか」

 「あんたも紅葉ちゃんも怖いよ、こんなの嫌だよ、お姉ちゃん助けてよー」

 ユウキは小さい子供みたいに半ば泣き出してしまった。


 それを見てどうしたものかと困惑する悪魔が、、、

 「ぐぁ」

 呻いた。ユウキは涙目で悪魔の方を見ると先ほど紅葉が切り落とした。手が悪魔の首を締め上げていた。黒い影はすでになく少女の腕が尋常じゃない力なのだろう悪魔の顔が紅潮していくのと首の肉に彼女の指がキツく食い込んでいく、ギュギュっと言う擬音が聞こえる様に締め上げていく。


 悪魔はなんとか腕を引き離すが、ゼエゼエと呼吸が乱れている。

 「ゼエゼエ あなたを取り込んだにしては、ハァハァ 力が大して増えなかったと思ったらそういう事ですか」

 「あの時、腕に殆どの力を移して引き離したんですね」

 悪魔は私と紅葉の間に入るように移動しながら呼吸を整える。そう言って間にも

 引き離されて床に落ちた腕が答えるかのように起き上がると、腕から先が生えてきた、全体が揃うまで時間にして数秒だろうか、あっという間に一人の人間を作ってしまった。そう紅葉本人を

 

 「いやー、出来るかどうか賭けではあったんだけどね」

 アーアーと声の調子を整えてから紅葉になった腕はそんな事を言ってくる。

 「でも、さっきの影にならないの、成れば多分勝てるんじゃないかな」

 ケラケラとい生まれたままの姿になった紅葉は、言うがセリフとは違って余裕そうな笑顔だ。

 「まあ色々とあれには誓約みたいな物が必要みたいだね」

 最初に飲み込まれた自身の腕を眺めながら言ってくる。


 「どうですかね、今日の所は痛み分けと言う事でお互い引きませんか」

 悪魔が紅葉に対して提案をしてみるが、紅葉は首を横に振る

 「ここで決着を付けるのがお互い的にいいと思うんですよね悪魔さん」

 臨戦態勢に入ろうとする両者をユウキは


『カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ』


 間の抜けた様な連続シャター音が音楽室に響いた。

 「紅葉、あんた自分の今の姿わかってるの全裸で音楽室で後輩と映ってる写真をグループラインやフェイスブックにばらまかれたくなかったら引きなさい」

 「あっ」

 紅葉も自身の格好に今更ながりに気付くと

 「辞めてーーー、わかったから今日はもう帰るからその写真消してーーーーー」

 私(主人公)を置き去りにして学園異能バトルなんて始めるんんじゃないわよ

 「わかったらさっさと帰りなさいよ」

 紅葉はカーテンを一枚手に取るとそれをワンピースに変えるとそれを来て、写真絶対に絶対に消してね、もしなにかしたら私はあなたを殺して、私も死なないと行けなくなるかと伝えて

 漸く紅葉は音楽室から帰っていた。


 「いやー凄いですねーユウキ先輩はあの窮地をこんな方法で解決するなんてさすがです」

 悪魔が私を手放しで称えているが、正直あんまり嬉しくない。というより今更足が震えて来た。

 「窮地を脱して安心しちゃったんですねユウキ先輩はおぶってあげますよ」

 お言葉に甘えて私はこの悪魔におぶられて帰路に付いた。

 もちろん、先生に音楽室の鍵は返してからだけど、、、


 失念していたが、さすがに背負うのに悪魔が実体化していておぶっている姿を大勢の生徒に見られてしまったのが、後でわかった時は本当に赤面ものだった。 

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