6話:悪魔との契約
肝試しをしていたら、悪魔と出会ったユウキは頼み事をされるが、その見返りに姉さんを連れ戻す手伝いをするように願い出る。
紅葉ちゃん達の事は横に置いとこう
これでもかと超常現象を巻き起こした。
存在があやふやな陸上部の後輩と名乗る少年は
ユウキに対してはっきりとこう言った。
「いやいやまさか、あなたを見込んで頼みたい事があるんですよ」
頼み事?ただの人間の私にこの得体のしれない少年が
※以後少年を悪魔と仮定しよう。
「そうじゃあ取引しましょう」
雰囲気に飲まれて良いように使われるのもまっぴらだ
「取引?」
不思議そうなのか、不愉快なのか、何分相手の反応がわからない
なにしろぼやけるのだこの悪魔の存在が
「あなたの頼み事を聞くから私の頼み事も聞きなさい」
これは千載一遇のチャンスに違いない。
夢でないことを確認するように見えないように
足を抓ってみた。痛い、どうやら夢じゃない
「ちなみにあなたの頼み事ってなんですか?」
ケラケラ笑いながらこの悪魔は聞いてきた
そんなのは決まっている。
「・姉・さ・ん・を・連・れ・戻・す・」・
悪魔が事情を詳しく聞いてきたので
あの日起きた事をざっくりと悪魔に伝えた。
あの冬の公園で私が一瞬目を離したら
姉が跡形も無く消えてしまった。
未だに行方がわからないまま半年以上が過ぎた事
悪魔はふむふむと頷いた。
「ええ良いですよ、すぐに探し出すことは
出来ませんが、私の願いを叶えて頂けるならば」
そういえばこいつの願いは何だろうかと
少し疑問に思ったが私を見込んで頼みたい事が
あると言ったのだから中学生の女子に可能な範囲の
お願いだろうと踏んで私はここまで勇み足に
交渉を進めて来たのだから
だけど私は失念していた。
それはこいつが私なら出来ると思っていることが、
私が実際に出来ることとはイコールとは限らない。
「僕の願いは僕自身を探して欲しいのですよ」
「旅にでも行けばいいのでは」
・・・自分探しの旅にでも
「心情的な話では無いのですよ
「僕が今非常に不安定な形になってしまっているのはわかりますね
「えっ?そうゆう存在だと思ってた?
「いやいやこうやって実体を作って
話が出来るようになるまでどれだけ苦労したか
「僕の願いはですね、この町に飛び散った私の欠片を
集めて欲しいんですよ。
話を要約すると力が分散してしまったから
それを集めて欲しいとの事
姉さん探しはどうやら力を蓄えないと出来ないとの事
「なんで私なの?」
「それは僕にもわかりまんね」
「どうします?」
この依頼を受けます?辞めます?
「もちろん受けるけどあなたの欠片なんてどうやって
見分ければいいの?どこを探せば良いのよ」
「それは後ほど、では受けて頂きありがとうございます」
ふっと突然周りにあったあの雰囲気は一瞬で四散して
ユウキは一人音楽室に取り残された。
今更肝試しなんてする必要も無いのでさっさとユウキは
もと来た道を戻る事にした。
お化け役の子達に逆走してますよとか具合でも悪いんですか
と声を掛けられながら、ちょっと気分が悪いと伝えて出入り口に向かった。
今更ながらぐったりしていたら一休の戸締まりを
手伝ってから家に着いた。
「ただいま」
「おかえり」
リビングにあの悪魔が居た。
「・・・」
「どうしたんですか、ボーっとしちゃって
また僕に胸でも揉んで欲しいんですか?」
「辞めろ、手をわなわなさせるな変態」
あーもう今日はさっさとお風呂入って眠りたかったのに
こんな予感は少ししてましたよ
「お風呂炊いときましたよ」
「・・・ありがとう」
「いえいえどういたしまして」
気が利く悪魔だな、学校の時と違って明るいせいなのか
今ははっきりと目に映るその姿を眺めながら
いや輪郭がぼやける相手って見てて焦点が合わなくて
疲れるんだよね、本当に
「今日はお疲れでしょうから僕捜しは明日からにしましょうか」
本当に気が利く悪魔だこと
「ところでなんで輪郭がぼやけてないの?」
「他の人には輪郭がぼやけてますよ、もしくは視認できませんよ」
「睨んだ通りですねユウキ先輩はもう順応したんですね」
順応・・・どういう事なんだろう
「まあまあ明日ゆっくり話しますから
とりあえず先にシャワー浴びて来いよ」
「なんで彼氏みたいな台詞を言ってるのかな」
「怖っ笑顔なのに目が笑ってないってめっちゃ怖」
もうなんだか相手にするのも疲れるので
そもそもヘトヘトで帰宅したので
もうさっさとお風呂に行きたいユウキは
面倒くさくなってお風呂場に向かうのだった。
体を洗って湯煎に浸かって色々と考えてみる
順応ということはあの悪魔を視認できるということは、
悪魔と波長のようなものが合っているということだろうか、
波長が合うならレーダーの様に悪魔の残滓を探すことが、
出来るということなのだろうか?
とりあえず明日聞いて見ればわかるかな
ユウキはなぜ悪魔が自分の家を知っているか
なぜ自宅に入っていたのか
そういった事は悪魔だからと言うことだけで片付けていた。
それ以上に現在ユウキは危機的状況に直面していたのだ。
ついいつもの癖で着替えを風呂場に持ってきていない事に
どうする、こんな時ほど落ち着け
悪魔とは言え異性が居るのにバスタオル一枚で
風呂場から上がるのはそれはそれは
抵抗がありますよ、ええ抵抗があります
絶対にタオル一枚の姿なんて
悪魔にも見せたくありません。
実質しばらく一人暮らし状態でしたからね油断してました。
どうにかあの悪魔と遭遇しないようにと
バスタオル一枚で意を決してドアを開けると
目の前に悪魔が居ました・・・
思わずドアを即座に閉めましたよ閉めましたとも




