30話:姉さん
ユウキに拒絶された影の少女が、ユウキの精神が壊れていくのを見つめていた。
突然公園の外側から一人の若い女性に少女が話し掛けられた。
「あなたは、これからどうするの?」
若い女性が公園の外側からかつて●●●だった少女に話し掛ける。
《わからないけど、私が戻ってきたのはユウキちゃんの為だから》
「そう、あなたは強いのね」
《でもね、あの子は●●●●屋だからね》
「私ですら、もうあなたの声が聞こえなくなってきてるから早くした方がいいわ」
「●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●」
「●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●」
「●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●」
三度呪詛の様な言葉を呟いて、少女は霧の様に霧散してしまった。
霧は町全体を包み込んで行くが、先程少女に話し掛けてきた女性と
恐らくその女性の連れであろう男性を避ける様にして広がっていく。
霧に包み込まれた、ユウキと若葉はその場で眠ってしまった様だった。
フジはその神秘的な黒い霧を見ながら、若葉とユウキの様子を見ていると
その背後から霧に包まれなかった相方がフジに話し掛けてきた。
「終わったのかフジ」
「終わったのでしょうね」
「ご苦労様」
「私は何もしてない、最後に話を聞こえている振りをして上げただけ」
「そうか、可哀想な子だった」
「ええ誰だか解らないけどあまりに可哀想な結末になってしまったはね」
黒い染みになっていた地面から、少女が姿を現した。
「まあでも、彼女を弔う意味でももう一仕事をしますか」
若い男は少女達を起こして、家まで送り届けようとしたが、
紅葉という少女が一行に起きる気配が無い、仕方ないのでタカナスは少女を背負って
家まで送りのだった。
ユウキという少女が紅葉の事を私の姉だと言い張るので、
ユウキの家まで送ったが、公園から近いことに感謝するタカナスなのであった。
後日談
数ヶ月ぶりにユウキ選手の姉の紅葉さんが発見されました。
特に目立った外傷などは無いものの一時的な記憶の混乱が見られる模様。
ユウキ選手も現在は元気を取り戻して陸上競技に以前以上に精を出している模様。
翌日、新聞欄の片隅に掲載された今回の事件のあらましは何処の社もこんな感じだった。
二人きりの姉妹に配慮しろと連盟から圧力が掛かったとの噂もありますが、
姉妹がまた同じ中学に仲良く登校する姿を見ることが出来て本当に良かった、良かった。
大方の見解はこんな感じで落ち着いてしまった。
タカナスとフジの探偵事務所はあの事件を解決した事で少しづつではあるが、
依頼が増えて来た気がする。このまま二人だけでは手が足りなくなる日も近いかもしれない。
今日はバイトの面接に一人やってくるらしいが、あまり期待できない。
十中八九フジがほとんど落としてしまうのだ、人手不足だと言うのうに。
今回受けに来る子はトモエという少女らしいが、面接が受かってくれることを祈るばかりだ。




