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24話:探偵6

 探偵2人と若葉という少女の話合いが淡々と進む。


 お互いに調べたトモエという少女に関する情報を交換していく。

 「やっぱり、そうなのね」

 若葉はなにか納得したような表情をした。

 「・・・それであなたの目的を教えてくれないかしら」

 フジがゴクリと喉を鳴らしながら若葉に問いかけた。


 先ほどの意見交換で、周囲からトモエという少女の認識が無くなって来ている。

具体的には、居たという記憶はあるのだが、どういった存在だったか酷く朧気だ。

だが、かろうじて彼女の存在を認識している者達の共通点は妹のユウキを通しての記憶だ。

どうゆう訳かはわからないが、妹のユウキという細い線でしかトモエを認識できないのだ。


 フジは何故か既視感があるので直感的にそう思うのだけど。

じきにそれすら朧気になって、トモエの事は誰も認識出来なくなる。

それが、1時間後なのか、明日なのか、明後日なのかは解らないが、そうなっては

もう二度とトモエを探し出す事は出来なくなる。


 「あら?私たちの目的は同じだと思うけど」

 「つまり、トモエさんを探し出すと言うことね」

 「ええ、その通りね」

 「若葉さん、あなたとトモエさんの接点て何かしら」

 「なんだか尋問地味て来たわね」

 若干怪訝の顔しながら若葉は答える。


 「じゃあ公平に此方も質問していくけど良いかしら?」

 「構わない」

 黙って座っていた、タカナスは答えた。

 「そう、でも嘘は付かないでね」

 彼女の影が、あり得ない動きを見せてフジとタカナスの首を掴んだ。

 「ああ、嘘は付かない」

 タカナスは影で少し凹んだ喉から声を出す。

 「じゃあ、探偵さん達は何故この事件に興味を持ったの?」


 「恥ずかしい話だけど、ウチみたいな貧乏探偵事務所が生き残る為には

 なにかインパクトが欲しいんだ」

 「今回は偶々、地元のスーパースターの身内が事件に巻込まれてしまったのは大変残念だが」

 「探偵業を軌道に乗せる為にも地の利を活かして今回の事件を解決したかった」


 「ふ~ん、つまりお金目的って事ね」

 若葉は最低だなこいつらはっていう視線をタカナスとフジに浴びせる。

 「君も大人になれば解るさ」

 じっと、タカナスを見つめる若葉の瞳は一瞬何処までも黒く深くなると


 「嘘は付いていないけど、本心は隠してる感じかな」

 「タカナスさん、一度だけ警告してあげるから本心が聞きたいな」


 「・・・本音か・・・俺は」

 タカナスが若干恥ずかしそうに俯きながら若葉に答えた。

 「ユウキ選手の大好きなんだ、だから彼女の為にお姉さんを救いたい」


 「え、お兄さん、ロリコンなの、、えっえお姉さん良いの?」

 ここに来て何処か外見とちぐはぐな言動をしていた中学1年の若葉は

年相応か小学生みたいにあたふたと取り乱している。


 (おっ意外とこの娘もかわいいな)

 (良いのってどうゆう意味よ、良いわけないでしょ)


 「えっと、あの、、お兄さん達って恋人なんじゃないの?」

 「あっ、事件と関係ない質問は答えられませんので悪しからず」


 「じゃあこちらの質問にも答えてくれ」

 「トモエさんとの接点?」

 「いいや、違う。何故お前はさっきから見せているその不思議な力についてだ」

 「事件と関係ないので答えないわよ」

 「嘘だろ」

 間髪入れずにタカナスは若葉の質問を嘘だと断定する。

 「なぜ嘘だと」

 「こう見えても探偵なんだ、嘘ぐらい見破れる」


 (こっちはユウキちゃんを1年以上ストーカーいや、こう言った時に備えて

 身辺調査をしているんだ。当然この少女も調べている。

 少なくともこんな超常の力を使える様な娘では無かったはずだ。)


 「そうなんだ。お兄さんちょっとかっこいいかも」

 「所でその力に付いては教えてくれないのかい?」

 「自分自身にも良く解らないから答え様がないのだけれども」

 「トモエさんを探し出す為にこの力を使うのに葛藤はない」

 「確かにその通りかもね」

 タカナスは首を摩りながら答えた。


 「じゃあ次の質問だけど、若葉ちゃん君は何故ユウキちゃんの所に行かないんだ」

 「・・・・・・・・」

 「また黙秘かい」


 少し呆れた感じでタカナスは答えた。

 (恐らく今回の事件のキーである妹のユウキの元に行き、一緒に探したほうが良いはずだ。)


 「私と同じ様な能力を持った人間がユウキ先輩の側に居るからよ」

 「ユウキ先輩に対して危害を与えないから放置してきたけど」

 「恐らく彼女も目的が一緒だろうから、現状をより深く知って」

 「交渉する材料を得る為に今回あなた達に会うことにしたの」


 「そうなのか」

 (えっ、こんな化物がこんな町に2人も居るッッッ)


 「トモエさんを連れ戻せると思う?」

 これにはタカナスでは無くフジが答える。

 「連れ戻すにしても一刻の猶予も無いと思うわよ」

 「恐らく自分は過去に似たような事に遭遇しているけど記憶が曖昧だから」

 「はっきりした事は言えないけど、みんなの記憶から消えたらもうアウト」

 「それの期限は恐らくだけど、明日かもしれないし、今日かもしれない。

 恐らくだけど1週間も持たないと・・・思う」


 「なんで、そこまで具体的な事が解るのに期限とかは曖昧なのよ」

 「過去に経験したような既視感があるのだけど、どうしても思い出せないの」


 「そうなんだ、確かにお姉さんは嘘は付いてなさそうだね」

 「でも、もうなおさら多少危険だとしてもユウキ先輩に会いに行かないとね」

 若葉はそう呟くと探偵達の目の前から突然跡形も無く消え去ってしまった。




 「なあ、アレなんだったのフジちゃん」

 「正直私にも良く解りませんでしたが、今回の仕事はやばすぎますよ」

 「そうだな、フジちゃんの言うとおり、いっそ今回は手を引く事も検討しないとな」

 「一緒にアルバイトでも始めますか?」


 タカナスはあ~あ~とテーブルに顔を埋めるのであった。

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