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22話:探偵4(フジという少女について)

 フジと若葉の話し合いがする前に少しだけ、フジという少女について語ろう。

フジという少女には幼い頃から他の人には見えないモノが見えた。

本来は聞こえない声が聞こえた。そうその他大勢とは違ったのだ。

彼女の家が代々除霊などを行う家だったからだろうか?


 いや仮に普通の家に生まれても彼女の性質は殆ど変わらなかっただろう。

なにしろ彼女の家族は実際には見えてもいないし、聞こえてもいない。

無論触ることなど出来はしない。だって彼女以外は普通の人間なのだから。


 幼い頃は普通の人間とそれ以外の区別が付かずに一緒に遊んでいた子が、

他の人には見えないとかもざらだった。

 そのせいかよくいじめられたり、ハブられたりもしたが、


 「おい、又こんな所で一人で遊んで、そろそろ帰るぞ」

いつも夕暮れ前にタカナスさんが迎えに来てくれた。

近所に住んでる少し年の離れたやさしいお兄さんだ。

 「一人じゃないよ~、みんなまたね~」

私はいつもように大きく手を振った、無論そこには誰もいない。

でも、タカナスさんは他の子みたいな反応はしない。

だから私は、気兼ねなくみんなに別れの挨拶が出来る。


 手を繋いで家まで帰る途中に今日遊んだ子達の話をタカナスさんに

話続ける、それをうんうんと聞いてくれる。そんな幼少期を過ごした。 


 しかし小学生から中学生に変わった時に、周囲からはお化け少女と言われるようになった。

イジメは過熱していった、小学生の高学年くらいからアレとは

遊ばなくなったというのうに、なぜこんな事になったのだろうと不思議だった。


 理由は彼女が振った男の子の嫌がらせや、その男の子が好きだった女の子が、

クラスの中心人物だったり、所謂そうゆうあれこれが重なって起きたのが

気付いたらこの檻の中が、嫌で嫌でたまらなかった。


 靴を隠されたり、土を入れられるので上履きは持ち帰った。

上履きを持ち帰るようになると下駄箱に生ゴミを入れられるので

早めに来て掃除をしてから教室に向かう。


 机には落書きをされていたので、放置したら担任が私を怒った。

 掃除当番の日はみんな帰って私一人で片付けた。

 ロッカーに閉じ込められて外からガンガン叩かれたとき、

あまりの恐怖と鳴り止まない音に失禁してしまった。 

 給食に生きたカエルやミミズを入れられた。

 トイレに入っていると上から水を被せられたetc.etc.etc


 ある日学校にやってくるとこの前、私の机にはいつもの菊の花の花瓶だけでは無く、

私の顔写真を大きく引き延ばして黒い額縁に入れて飾られていた。


 私は敢えて片付けづにそのまま授業に参加したが、担任の先生は一瞥して

 「はやく片しなさい、授業を受ける気があるのなら」

 悪ふざけは辞めろなのか、問題毎は起こすな面倒くさいだろと目で訴え掛けて来た。

そして何事のなかった様に授業を始めた。


 私の世界が色を無くして行くの感じた・・・


 「よう、フジちゃん~元気ないね~」

 「なんだね君は高校生が中学に何の様だ」

 そこにタカナスが大きな声で入って来た。

ざわつく教室だがタカナスは、タカナスは一切気にせずに私の前へ歩いていく

 「フジちゃん俺車の免許取ったんだよね」

 タカナスは自慢げに免許証を見せつけながら車のキーも見せてくる。

 「中古でボロい車だけど、一緒にドライブでも行かないかい?」

 奥でギャーギャー騒いでいる女子が犯人だと決めつけて、

タカナスは顔面に花瓶を投げつけて、見事に命中、二重の意味で。

それでタカナスに向かって行った男子が窓から投げ飛ばされてた・・・

大丈夫大丈夫ここは3階だけど、下の自転車置き場の屋根で衝撃を吸収されたはず。


 担任の先生を殴っているタカナスを見て笑いがこみ上げてきた。

 「やっべそろそろズラかるぞ」

 他の担任がここに向かってきたからだ。

 手を引かれて走るあの時みたいにそしてこれからも・・・


 タカナスとのドライブから帰ってからは、周囲のイジメは無くなっていた。

あの伸された二人はどうゆう訳か、今までのイジメを全面的に認めて謝ってきた。

担任は学校から居なくなっていた。


 恐らくタカナスが裏で色々としたんだろうな、、、

私の見えない所で、でも私が聞いてもソレを教えてはくれない。

私は本来は見えないモノのせいで地獄を見たが、

私には見せない、タカナスの一面で私は助けられた。


 「ごめんな、すぐに気付いてやれなくて」

 ドライブ中に一度だけタカナスはフジに謝った。


 フジは泣いて、タカナスの胸の中で文句を言い続けた。

無論タカナスには非が無い事はよくわかっている。



 その後、タカナスの小さな車でドライブしながら日本全国の摩訶不思議な事件を

解決したり、出来なかったり、逃げ回ったりしているうちに

気づけば探偵事務所を立ち上げて一緒に働くようになっていた。


 それが、フジという少女の半生である。


 そのフジから見ても目の前の少女は異質だった。

フジの目には少女の形をした黒い物体にしか見えていないのだから。

 

 過去にも似たようなものに逢った事があるが、

自分達ではどうしようもないので、直ぐに逃げ出したのだ。


 その異様な黒い物体だと向かいあって座るまで解らなかったのだ。

 「探偵さんなんですよね」

 黒い物体が少女の声で話し掛けてくる。

余計に気味がわるい、まだ低い低温ボイスで二重音声みたな方が怖くない。


 「ここには、あなた一人なの探偵さんは」

 「ええ、そうよ若葉さん」

 「ふーんそうなんだ」

 若葉は私の服のボタンに偽造した集音マイクを無造作に掴み

 「壁際の探偵さんもこっちに来て一緒にお話しましょ」

 「ヤバい逃げて」

 フジは叫んでいた。

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