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11話:紅葉ちゃん2

ユウキの家にお友達の紅葉ちゃんが尋ねてきたよ

 チャイム音が鳴る室内。



 ユウキは考える、ここでの選択の間違いが即バットエンドを迎える事になるかもしれないなと言う。恐怖以外の何者でもない悪魔に尋ねてみると。

 「ユウキ先輩ここは(僕の)生存率を上げる為に、ちょっと出迎えてくださいよ」

 ユウキは悪魔に無言の腹パンを食らわした。

 どうしよう、いっそ居留守でやり過ごせないかな?そんな事を思っていると玄関の隙間から黒い影がニュッと飛び出したかと思ったら、鍵を開けた。

 「ヒィッ」

 短く吸い込む様な音と共に、ユウキは反対の窓から飛び出して塀をよじ登り道路に降りる。

 足が痛い、靴を履いて居なかったので足に小石が刺さったかもしれない。着地の時にその痛みで転んで膝を擦りむいたが、今は気にしていられない。ここから少しでも離れないと


 目の前に紅葉ちゃんが居た。



 「どうしたのユウキちゃん、幽霊でも見たの」

 ケラケラ笑う紅葉ちゃんを見て一気に体温が下がるのを感じる。

 「んーユウキちゃん混乱してるみたいで可哀想だから説明してあげるね」

 紅葉は自身の足下を指す、本来あるはずの影が何処にも無かった。別に科学の実験で全方向から光りを当てているとかそんな事はもちろんない、すぐ隣の電柱にも私も影は当然の様にある。

 

 「ユウキちゃんが玄関と反対方向から出てくる様に私の影を切り離して、遠隔操作みたいな事をしたんだよ、まだまだ上手く出来ないけど概ね予想通りの結果になったから良しとしようかな」

 影を操る・・・不慣れな様子からして、それは先ほどの悪魔との戦いの時に出来てい無かったと言う事なのだろうか、ぞっとするどうゆう理屈かはわからないけど、相手の切り札をあっさりと真似るその圧倒的なまでのセンス、いや適応力に


 「あんまりユウキちゃんを攻撃したくないから、逃げようとしないでね」

 一目散にそんな忠告を無視してユウキは反対方向を向いて逃げようとすると、すぐ目の前に紅葉が居た。半分駆けだしていたので、紅葉に突っ込む形になったが紅葉は優しく抱きしめた。

 「ほらね、もう視認されてるんだから無駄だよ」

 訳がわからない、本当に視認?見られてるから無駄?


 「とりあえず部屋に戻ろうか、ユウキちゃん」

 もうどうにも成らないので、ユウキは紅葉に連れられて玄関へ向かった。

 玄関には紅葉の影なのだろう、人影がドアに張り付いていたが、紅葉に回収されて本来あるべき所に戻った。

 「お邪魔しますね」

紅葉がごくごく普通にそう言ったのを聞いた時、背中に薄ら寒いものを感じた。

 「・・・」

 マジマジと紅葉を確認すると、紅葉はなんで見られているかわからなそうにキョットンとしていた。

 「ん?どうしたのユウキちゃん」


 その後、紅葉はユウキの足の治療を手伝い、ユウキはなにも無いけどと、コーヒーとドーナッツを振る舞って居間で話しを始めた。悪魔は既に影も形も無かったが・・・あのやろう


 「ユウキちゃんはこの力の事を悪魔の残滓って言うんだよね」

 紅葉は手のひらで自分の影を使って人形劇みたいな事を始めた。

 「そうだね、今は居ないけどあの悪魔が自身の力がこの町に散らばっているって言ってたからね」

 「ふ~ん、そうかあの●●●君はそうゆう風に言ってたんだね」

 あれ上手く聞き取れない

 「紅葉ちゃんごめんもう一度その悪魔の名前言ってみてくれない」

 「●●●君どう聞こえた」


 駄目だ、何度聞こうとしても聞こえないし文字で書かれてもそこの部分が黒塗りで見えなくなる。そういえば、あの悪魔を顔が思い出さない。なにこれ気持ち悪い


 「なるほど、なるほど大分見えてきたね」

 紅葉ちゃんはケラケラと愉しそうに笑う、学校でもそんな笑う様なキャラじゃなかったと思うに

 「つまり、どうゆう事なの紅葉ちゃん」

 「ああごめんね、ユウキちゃん●●●君いや、悪魔君なら聞こえるのかな、彼がユウキちゃんに嘘を付いていたんだろうねと言う事がわかったんだよ。」


 「嘘?とはどうゆう事なの紅葉ちゃん」

 もうなんか悪魔とどんな事を話していたかすら忘れかけている。

 「悪魔の残滓と仮定したこの力を使ってユウキちゃんを騙そうとしたって事なんだよね、この力はいくつあるかどれだけ細かく分かれているかはわからないけどね」

 「6種類」

 思わず口を抑えるユウキ、だって自分の口から自分の声で、自分の意思とは関係なくはっきりと声が出たのだから

 「なるほど、6つなのか・・・なるほどね」

 「勝手に納得しないで説明して」

 「私もあの悪魔もこの悪魔の残滓を手に入れてから、もっと、もっとって全ての残滓を集めたいって欲求がどんどん強くなってくるの、この気持ちはちょっと抑えられない」

 「・・・」

 説明しながら頭を掻きむしる紅葉は苦しそうだったので、思わずぎゅっと抱きしめてみた。さっきまであんなに怖かった紅葉がなんだかとても小さく儚く感じられてしまい。


 すこしして紅葉は落ち着いたようだった。そのままユウキの腕の中でスヤスヤと眠ってしまった。なんだか、今までずっと緊張して無理して居たのだろうか、糸が切れた操り人形みたいにすっとんと眠ってしまったのだから。ユウキは紅葉をお姉さんの寝室のベットに運んで眠らせた。


 今までの事を断片的にまとめると、悪魔の残滓は6種類ある。

 悪魔や紅葉ちゃんが複数持っているのか、それとも1種類を巧みに操って複数に見せていたのかはいくら考えても憶測のうちを出ないが、悪魔の残滓は自身を集めるように脳に働きかけてくる。


 全ての残滓を集めるとどんな事が起こるかわからない。


 結論として、現段階ではなにもわからなかった。でも紅葉ちゃんの寝顔かわいいな、これはこれはこれで小悪魔なんじゃないかな?

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