計画通りです side 幼馴染
計画通りです。
幼馴染サイドです。
書いてみたら思ったよりも怖くなくて安心。
でも、こんな女性、実際いないだろうね。
無事、俺君と恋人同士になりました。
既成事実を作れたので、もう大丈夫だと思います。
できれば、子供もできていたらいいのだけれど。
でもそこまで望むのは高望みというものだろう。
これで、いつでも結婚は可能ですね。ふふふ。
だけど、うまくいった結果についつい喜んでしまって、俺君への返答を間違ってしまったのだけが誤算です。
俺君を怖がらせてしまったようですね。
後でフォローしておかないといけませんね。
おや、妹ちゃんがやってきたようです。
今回のことは彼女の協力あってのことです。
感謝するとしましょうか。
「お姉ちゃん、今回うまくいって良かったね」
「はい、妹ちゃんのおかげでもありますよ」
「えへへ、そういってもらうと、頑張って夜まで起きてた甲斐があったんだよ」
「将来、私の妹にもなるんですから当然ですよ。なんでも私にできることがあれば協力しますよ」
「おぉ? それなら今回の兄貴をたらしこんだ手を教えて欲しいんだにゃあ」
「別にたらしこんだわけではありませんよ。元々、好き同士であって、後はそれを後押ししただけです」
「ありゃりゃ、のろけられちゃったよ。じゃあ、色んな人に協力してもらったのはどうやったの?」
「簡単なことですよ。お願いしただけです」
「んー? でも、そうそうお願いしたって、みんな聞いてくれないんじゃないかなー?」
「そうですねぇ。ちょっと難しい話になるかもしれませんがいいでしょうか」
「難しい話はよくわからないけど、聞くのはただにゃあ」
「ふふ。そうですねぇ。では簡単に言うと、みんな好意には好意で返そうとするんですよ」
「ほへ? そうなの?」
「ええ、いっぱい色々と自分が望んだことをやってもらってばかりだと、どうしても相手に悪いと思ってしまうでしょ? だから、何らかのことで返そうとするんですよ」
「んー? ってことはお姉ちゃんはみんなに、色々と望んだことをやってあげたから、みんながお願いを聞いてくれたってこと?」
「うんうん。そういうことですね」
「へー。でも簡単に言うけど、お姉ちゃん、そんなにみんなの望んだことをやったの?」
「勿論やりましたよ。でも分かりやすいことではないかもしれませんね」
「ほへー? っていうと?」
「これにはちょっとコツがいりましてね。みなさん、本当に望んだことはほとんど話さないんですね」
「まー、いろんな望みがあるしねー」
「でも、みんな喋っているんですよ。勿論みなさん表には出しません。でも何度も何度も話してるんです。それを聞き取るんですよ」
「ん? うん。うん?」
「それにね。みなさん。欲望のツボのようなものを持ってましてね。そこをね。ちょっとつついてあげるとね。簡単に転んじゃうんですよ。ころころとね。うふふふ」
「むー? 難しいですぅ」
「そうですねぇ。言い替えますかー。みなさん、理想を相手に見ようとするんですね。でも理想ってのは理想だから叶わない、でも一部だけなら叶う。私はそんな一部だけを叶えているんですよ」
「んー?」
「いっぱいあるでしょ? 理想の娘、理想の恋人、理想の友達、ね?」
「あー、それならいっぱいあるねー」
「そうそう、その中でね。自分に求められてる理想の一部を、特に相手が求めているだろう理想の一部を、叶えてるだけなんです」
「へー」
「ああしてくれたらいいな。こんな子だったらいいな。こんなことしてくれたらいいな。こんなこと言ってくれたらいいな。ってね。いっぱいあるよね? そんなことの一部を叶えるんです。そうすれば相手は良い印象を持ってくれて、理想を自分に見てくるんです」
「ほー」
「そういうことをどんどん積み重ねるんです。そうすれば理想の相手、まではいかなくても理想に近い相手になれるんです。そうなると、そんな相手のお願いだったら、みなさん聞いてくれますよね?」
「はー。なるほどー。そんなことやってたんだー」
「勿論簡単じゃないし、しっかり相手を観察しないといけないし、やれることだって限られていますよ」
「そらそーだねー」
「そうやって私はみんなの理想に近い相手になって、みなさんにお願いしたわけです。それに理想に近い相手の、幸せになるためのお願いです。みなさん、断る理由なんてありませんよね? それに可愛い女の子のお願いですし。うふふ」
「ほっほー。そうやってみんなにお願いを聞いてもらってたんだー」
「そういうことです。みなさん快くお願いを聞いてくださいました」
「なるほどねー。じゃあさー。兄貴をどうやって好きにさせたのー?」
「んー。それには、まず相手のことをよく知ることから始めないといけませんねー」
「ほむほむ」
「とにかく情報をいっぱい集めるんです。いっぱいです。どんな情報でもです」
「ほへー。そんなに情報集めるの?」
「はい。まずは情報を集めるところからです。それに情報のソースは確実なものほどいいですし、精度が高くなります」
「ソ、ソース?」
「情報を手に入れる相手、情報源のことですね」
「ふむふむ」
「勿論妹ちゃんも重要な情報のソースですよ」
「ほへ? ああ、そうか兄貴の情報だからそーなるのかー」
「はい。幸いにも私は俺君と近くにいますから、自分で手に入れる情報もありますし、俺君の近くの人から手に入れる情報もありますし、俺君から直接手に入れる情報もあります」
「はー。でもそんなに情報ばっかり手に入れても、わけわかんなくならない?」
「勿論、情報の取捨選択はしますよ。でも必要なのは俺君がどんな相手が好きになるのか? というのを意識的にと、無意識的に知るための情報です。そう考えると少ないものです」
「無意識的なのもいるの?」
「むしろそっちがメインといっても過言ではありません。意識して好きになるのは、ある程度無意識的に好きな要素を、たくさんもった相手になるわけです」
「でもそんなのわかるの?」
「勿論簡単にはわかりませんよ? でも集めれば大体は分かりかけてくるものです。どんなアイドルが好きか、どんなアニメの女性キャラが好きか、どんな女の子がタイプなのか、どんなHな本を読んでいるのか? 情報源はいっぱいあります」
「そういえばHな本を没収してたね」
「大切な情報源でしたから。無論、嫉妬もありますよ」
「ただ、やきもち焼いていただけだと思ってたよー」
「ふふ。そういう風に思わせていたんですよ」
「はー。演技派だねー」
「女は演技できますし、化粧で化けられますよ。ウソ泣きだって妹ちゃんもできるでしょ?」
「あー、なるほどねー。やってるにゃあ」
「それで集めた情報を精査して、正しいかチェックして、その出てきた結果を見るんです。そして自分に少ーしずつ、その結果の要素を増やしていくんです」
「少しずつなの?」
「ええ。少しずつです。急に変えると変に思われるでしょ? ある程度離れた関係なら、急に変えるのも手ですが、私たちは近いため、急に変えると、何かあると思われちゃいます」
「気が長い話だねー」
「何事も簡単に手に入るものはないんですよ。失うのは一瞬ですけどね。どんなことでも計画して実行して、そしてその結果なんです。失敗したって、また計画を立てるところから、やり直せばいいんですから」
「はー。お姉ちゃんってすごいねー」
「そんなことないです。誰だってできることです。やろうと思えば」
「そこまで普通やろうと思わないよ」
「できるまでやればできるんですよ。妹ちゃんも、ね」
「むー。そうかなー?」
「それに、たくさんお願いを聞いてくれる人もいますし、ね?」
「ああ、それがあったかー」
「ええ、一人でできないことでも、たくさんの人がいればできるようになります」
「にゃるほどー。今までどんなことをお願いしたの?」
「そうですねー。ほとんど俺君の情報集めのご協力ですねー。たとえば私が誰かに告白されたと聞いた時の俺君の様子とか」
「あー、確かにそれは自分じゃわからないなー」
「ええ、私が見てなくても他の人が見てればいいんです。そこから情報をもらえば私が見ているのも同じことです」
「じゃあ、協力を頼んだのって」
「ほとんどの俺君の近くにいる人ですね。みなさんしっかりと私の目と耳になって頂けました」
「私もそうだねー。えへへ」
「ええ、ご協力感謝いたします」
「でもおねえちゃん、兄貴のどこが好きになったの?」
「どこなんでしょうねぇ? 実は私にもよくわからないんですよ」
「ええー!? そこまでやっておきながらそれなの!?」
「ただ私にとっては俺君は私のモノっていう考えがあるかもしれませんね。他人に自分のモノが取られるのは我慢ならないでしょ? だからそうなる前にもう絶対離れらないようにしただけです」
「しただけですっていうわりにはやったことは大げさな気がするにゃあ」
「だって、いつ取られてしまうかわからない状態なんて、不安じゃないですか。今までだって、色々と他人にとられないように注意してて、ストレス溜まってるんです」
「へー。そうだったんだー。兄貴ならそんなことないだろうにねー」
「俺君が誰かを好きになってしまうことだってあるでしょ? 無論、そんなことにならないように私がほとんど一緒にいたわけですけど。いないときは他の人に頼んでいましたよ」
「苦労してたんだねー」
「ええ、でもこれでその苦労からは解放されましたよ」
「兄貴が浮気したりとかー」
「アハハ、そのときは私もですが、私がお願いした人たちに協力してもらいますよ。ね? ね? そうなったらもう俺君を閉じ込めて罰を与えないと、アハハ」
「や、やだなー。例えばの話だにゃあ」
「勿論、例えばの話ですよ。うふふ」
「えへへ」
「うふふ」
「…………」
「…………」
「い、いっぱい参考になったんだにゃあ、私もおねえさんを見習うんだにゃあ」
「ええ、頑張ってくださいね。応援してます。私にできることならいつでも協力しますよ」
妹ちゃんは慌てながら去っていった。
うふふ。ちょっと脅かしてしまいましたか。
でもこれで俺君にも忠告してくれるでしょう。
妹ちゃんは私の口にもなってくれて本当に助かります。
今後も私の目となり耳となり口となって動いてもらいますよ。
え? 本心じゃないのかって? うふふ。
女はみんな演技できるんですよ?
それに全部本当のことを言っているとは限りませんよね。
この物語は当然のことながらフィクションです。
登場する人物ならびに思考などもフィクションです。
ちなみに協力者一覧と協力依頼内容
幼馴染の両親 妊娠した場合のバックアップと俺君との結婚および俺君への圧力
俺君の両親 妊娠した場合のバックアップと俺君との結婚および俺君への圧力 今回の誕生日のお泊り依頼 俺君の情報の提供
妹ちゃん 二人きりにしてもらうこと 誕生日までの俺君の自家発電の阻止のため、夜中まで俺君の邪魔をする 俺君の情報の提供 俺君がエロネタを手に入れるのを阻止
俺君の部活の友人多数 誕生日までの俺君へのハードワーク 俺君の情報の提供 恋人になった情報の拡散 俺君がエロネタを手に入れるのを阻止
俺君の友人 俺君の情報の提供 恋人になった情報の拡散 俺君がエロネタを手に入れるのを阻止