プロローグ&全ての始まり
さて今これを読んでおられる読者様、宜しくお願い致します。
本作は、(途中まで)サスペンス&推理小説となっており、「謎」が多いのが特徴です。是非読者様方の推理力で、それらを解明していってもらえばと思います。筆者も、拙いながらも随所に「仕掛け」を設ける予定です。
それではどうぞ!
最後に見た彼女の瞳を、今も鮮明に思い出せる。
その光は、震えていた。そして彼女はーーー
***
私は、とある山道で車を走らせていた。
「こんなところに家があるとは・・・あいつも大変なんだろうな、可哀想に」
向かう先にあるのは、大学時代の同級生だった男の家である。私は「とある目的」のために、彼の家を訪ねようとしているのである。
しかし・・・今のところ大変なのは、明らかに私の方であった。彼の口から山道とは聞いていたが、全く整備されていない道(と呼べるかも怪しい)が延々と続き、時折転落したりはしないかと思ってゾッとすることを幾度となく繰り返した。今ばかりは、彼に同情を寄せないこともない。
しかしさらに十分ほど運転すると、急に視界が開けた。目の前にあるのは恐ろしく豪勢な洋館ーーーではない。それどころか、一見の家ばかりではなかった。男が家族とともに暮らす、ごく小さな村。彼は仕事の休暇を利用して、ここに帰ってきたと聞いていた。
見るからに長閑そうな田舎。その穏やかな空気に包まれながら、私は胸元のものを握りしめていた。
ーーー復讐を、必ずや果たすと心に決めて。
***
私は車を村の奥まで進めた。ここに辿り着くまでに数人の人影を見たが店などは数えるほどしかなく、そもそも村全体があまりにも静かであり、本当に田舎と言って差し支えない場所だろう。そうした風景を横目に進むと、その建物が見えてきた。それは一見するとーーーただの洋風の家である。正確には、茶色や黒を基調とした方形に近い家、といった感じか。
「ただの」洋風の家とは言ったが、この昔ながらの家が立ち並ぶような地域で洋風な家を見ること自体、珍しいことである。そのためにどこか違和感を覚えているのだろうがーーーこの家には、他にも違和感を感じさせる要素がありそうに思われた。
車を降り、目の前に聳える建物を見上げても、その正体を摑むことはできなかった。・・・いやひょっとすると、そう感じられるのは自分の気持ちによるものなのかもしれない。要するにーーー
ーーー殺意、であろう。
ここまで読んでいただき誠にありがとうございます。
今回はあくまで導入なのでまだ面白みがないかと思います。それでも最後まで読んでいただいた方は、是非感想等をお願い致します。読者様のお言葉が筆者の原動力です。
また本日(9月6日)の朝、北海道で最大震度7の地震が発生しました。被災者の方々は、さぞ大変なことだと存じます。一日でも早い復興を祈っております。




