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第2話「回り出す歯車」

前回のあらすじ

職を探し、街を巡りついにギルドという職業を見つけた海斗たちは早速ギルドに入団することにしたのだが…

「これで僕たちも晴れてギルド加入だね!」

「何を言ってるんですか?」

「え、どういうこと?」

「ただ入団テストの参加申し込みを終えたってだけですよ?」

「え、参加申し込みってことは、入団はまだまだ先の話ってこと!?」

「そう言うことですね」


(まさからまだスタートラインにすら立てていなかっただなんて…)


「海斗さん、入団テスト一緒に頑張りましょうね!」

「うん、が、頑張ろう!」

こうして海斗とミランは入団テストを受けることになった。


テスト内容は草原に生息するD級モンスターを倒し、牙を10個集めるという簡単なものだった。


(とは、言っても武器もお金も無くて、魔法も使えない僕からしたら高難度なんだよな。)


「では、早速出発しましょう、海斗さん」

「え、えっと、ちょっと待ってミラン」

「はい?どうしましたか?」

「僕武器とか何も持ってないんだけど」

「あ、それなら心配しなくてもいいですよ

一時的に武器は借りることができますよ」

「あ、そうなんだ、それなら心配ないね」


(剣術なんて学校の剣道の授業以外で練習したことないけど大丈夫なのかな?

でも、今頃辞退出来ないし…)


「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ、海斗さん」

結局僕はミランの笑顔に勝てるはずもなく、剣を片手にそのまま街を後にした。




街を抜けると、そこには広大な草原の大地が広がっていた。

その果てしなく続く世界は、歩いているうちに方角すらも忘れてしまうほどだった。

「今回はベーテの群れの討伐ですので、丘の中腹に多く生息しているのでここから南東に向かいましょう」

「了解、でもモンスターの群れと戦って大丈夫かな?少し不安で…」

「それなら大丈夫ですよ

ベーテはあまり強くないモンスターですし、私たちには魔法もあります」

「そういえば召喚魔法が得意って…」

「はい!」

「前の説明には出てこなかったけど、召喚魔法ってどういう魔法なの?」

「召喚魔法は闇属性の魔法に分類される魔法で、契約を交わしたモンスターなどを呼び出すことができるという魔法です」

「その契約っていうのは誰でも出来るの?」

「はい、ですが契約出来るモンスターは術者の持つ魔力の大きさによって変わります」

「ミランの召喚モンスターはどんな感じなの?」

「ちょっと口が悪いですが、かわいいし、いざとなったら助けてくれますよ」

「助けてくれるなんて凄いね

その子を召喚して見せてくれない?」

「はい!もちろんいいですよ」


(僕は魔法自体見るのは初めてだから何か緊張するなぁ.....

まだこの異世界(現実)を受け入れるだけで一杯いっぱいなのに.....

でも、魔法なんて存在しないと思ってたから興味はある!)



「おいで、狩猟の象徴 バステト!」

ミランがそう唱えるとミランの手の上に小さな魔法陣が出来た。



目が合った。

「ね、ねこ?」

「誰だ お前?」

ミランが召喚したのはねこだった。ただ大きさが手のひら程度の大きさだった。


(てか、生意気な猫だなぁ)


「? ねこというのが何かは分かりませんが、この子はバステトです。」

「か、かわいいね…」

「はい! でも触らないことをおすすめします。」

「なんで?」

「バステトは短気なので…実は触って大手術になった人がいて…」

「う、うん」


(おいおい、このねこ口が悪くて暴力的って、想像してたのとかけ離れてるぞ...)


「でも根はいい子なので優しくしてあげてください」

「わかったよ

よろしく バステト」

「お前なんかとよろしくしたくないね」

「こらっ、そういうこと言わないの!」


(これからこのねこと一緒に討伐するのか…)


「それでは、暗くなると困るので先に進みましょう」

「そうだね、行こう」




「そろそろべーテの生息区域ですね」

そこは今までとあまり変わらない草と木に囲まれている場所だった。

「でも、何もいなさそうだよ?」

「馬鹿なのかお前

試しにそこに落ちてる枝を少し離れたところに投げてみろ」


(本当にこんな所にいるのかな?)


半信半疑で僕は少し離れた草むらに木の枝を投げてみた。

だが、その枝は木に届くことなく粉々に粉砕された。

「海斗さん、もう囲まれています!」

「そんな」


全く気配を感じなかった。

二人はベーテに注意していたがあまかった。

飢えたベーテたちは獲物を見つけると群れで狩りをする習性があり、もうすでに20体以上のべーテに囲まれていた。

「こんなの勝てるわけが…」

「これだから弱い男は嫌いなんだよ」

「じゃあお前なら勝てるっていうのか?」

「見ていればわかることだ」

「バステトお願い!」

「わかったよ ミラン」

そしてバステトはゆっくりと手を挙げ、一気に振り下ろした。

その瞬間8匹のべーテは身体から血を吹き出し倒れた。


(いったい何が起きたんだ...?)


一瞬すぎるできごとで、海斗はバステトの圧倒的な強さに呆然とその場に立ち尽くしていた。

その後もバステトは攻撃の手を緩めなかった。

たくさんいたベーテたちは、一体、また一体とバステトに倒されていった。

そして最後の一体も倒れ、気がつくと辺りは赤く染まっていた。

「終わったのか…」

「お前は何もしてないけどな

せめて素材回収くらいはやれよ」

「言われなくてもやるよ」

「海斗さん、お願いがあるんですけど…」

「どうしたの?」

「初めてのクエストの記念に素材を1つ多く回収して欲しいのですが…」

「わかったよ ミラン」

「残念ながらそんな時間はなさそうだ」

「それってどういう…」

言葉を最後まで言いきれずに僕は息を呑んだ。

そこには先程までとは比べものにならない程の大きさのべーテがいた。

「な、なんだあの大きさ!」

「どうやらあいつがこの群のリーダーのようだな」

そう言うとバステトはまた今までのように切りさこうとした。

だが、

「ダメだ、速すぎる」

まるでバステトの攻撃が読まれているかのように全てかわし、突進してきた。

「海斗さん、きます!」


(このままだとすぐにここまで来る!)


「ミラン、ここは俺に任せて先に街まで戻れ」

「ダメよバステト

あなたにだって、勝ち目はない...」

「俺を信じろミラン

おいお前、ミランを頼んだ」


(本当はバステトだって勝ち目がないことはわかっている

だけど僕たちを助けるために…)


「わかったよバステト

ミラン、ここはバステトに任せて僕たちはここを離

れよう」

「待ってください海斗さん!

それでは、バステトが...」

僕はそれでもミランの手を引き走った。


「よし、あいつらは行ったか」

バステトはそう呟くと周りの空気を掴むように手を挙げ、振り下ろした。

その瞬間、近くにあった木は全て崩れ、べーテの腕からは血が吹き出した。

…だが、それだけのことだった。

べーテは全速力でバステトに接近し、腕に噛み付いた。

そしてしばらく噛み付いたあとに、バステトを放り捨て、ミランたちの後を追った。


「海斗さん離してください!」

「それじゃあ、バステトが残ってまで逃がしてくれた意味がなくなるだろ」

「それでも…」

「それに気が付かないか?

さっきまでしていた戦闘の音が止んだ」

「もしかしてバステトが勝って…」

「きっとそうに違いない」

だが、僕は嫌な予感がしていた。

そしてそれは僕たちの期待を裏切るかのように姿を表した。

「なんで生きて…

そんな、バステトが…」

ミランは涙を流しながら地面に膝をついた。

「ミラン早く逃げなきゃ」


(ダメだ、バステトを失った絶望で聞こえてない)


「ミラン、しっかりしろ!」


(まずい、もうすぐそこまで来てる

このままだと逃げられない)


「ミラン早く!」


(こうなったら一か八かだ!)


「ウオォォォォォォォォ!!!」

海斗は叫びながらべーテに飛びかかり、剣を振り下ろした。

だが、剣は前足に防がれ

「ぐはっ!」

そのまま前足蹴りをくらった。

だが、何か違和感があった。

まるで大きな空気の塊がぶつかったような感覚がした。

そして、僕は地面に撃ち落とされた。

べーテはそのままミランにむかって行った。

僕も一直線にミランにむかった。


(ダメだ、間に合わない

こんな時バステトがいれば…

もし、僕も魔法を使えたら…)


いくら考えてもべーテは止まらず、ついにミランの目の前まで辿り着いた。

「やめろぉぉぉ!」

僕は手に持っていた剣に全ての力を込めて投げた。

その剣は僕とべーテの間を一瞬で駆け抜け、べーテの胴体に突き刺さった。


べーテは悲痛な叫び声をあげた。

だが、それだけで終わらなかった。

「な、何が起こっているんだ?」

ベーテに突き刺さった剣を中心に大きな魔法陣が出来た。


その直後、べーテは一瞬にして竜巻に飲み込まれた。

そしてべーテは天高く舞い上がり、

数秒後に大きな音を立てて地面に叩きつけられた。


「そ、そんな…」

僕は思わず声を漏らした。

なぜなら、べーテの骨は確実に粉々になっているのにそれでも尚、立ち上がろうとしていたからだ。


(このべーテは不死身なのか?)


僕はそんなことを考えていると、聞き慣れた声が聞こえた。

「もうくたばれよ」

その言葉とともにべーテは切り裂かれた。

そしてべーテはその場に崩れ落ちるように倒れた。


それまで絶望していたミランはバステトを見ると直ぐに立ち上がり

「バステト生きてたの!?

嘘みたい…」

「遅くなってごめん ミラン

腕の治癒に少し時間がかかって…」


(バステトが生きてて僕まで嬉しくなってきた)


「お前もありがとう

そういえば名前をまだ聞いていなかったな」

「僕は広瀬 海斗

よろしくバステト」

「よろしく海斗

それと俺の主人を守ってくれてありがとう

この恩は絶対に返す」

「いや、いいよ

僕は何かして欲しくて助けたわけじゃないから」

「それはともかく

ミラン、海斗に言うことがあるはずだよな」

「それは…その…

海斗さん、今回は助けて頂き本当にありがとうございました

それと、もしよろしければなのですが…

また困った時は助けてくれると嬉しいです…」

「もちろんだよ

だって僕たちは仲間じゃないか

仲間ってそういうものだよね」

「はい、ありがとうございます!」

「そういえば海斗、あの竜巻をどうやって出したんだ?」

「たしかに、海斗さんは魔法を一切使えないっておっしゃってましたが、どうやってあの竜巻を発生させたんですか?」

「それが... 僕にもわからないんだよ」

「だけど海斗の使ったあの魔法は間違いなく大規模な

風魔法だった」

「え、あの魔法ってそんなに凄いの?」

「まず、空気の魔法を一点に集める、次にそれを竜巻

にする、そしてそれを維持する

海斗はそれを全て同時に行った

これは並の人に出来る技じゃない 」

「え、そんなに凄かったんだ

でも魔法の使い方も分からないんだよね」

「しょうがない

基礎的なことは俺が教えてやるよ」

「ありがとうバステト」

「海斗さん、バステト、暗くなる前にギルドへ戻りましょう」

「うん」

そして僕たちはべーテの群れのリーダーの牙も持ち、街へ帰った。




その後僕たちは街についてすぐにギルドへむかった。

「べーテの牙ちょうど10個確認しました

これであなた達は正式にこのギルドの一員です。

あと、べーテの群れのリーダーを狩るなんて

やりますねぇ

最後にギルドカードをお渡しします」

「このカードは?」

「このカードはギルドの一員だと証明するためのもの

です

なくしてしまうと再発行が出来ませんので大切にし

てくださいね」

「わかりました、ありがとうございます」

こうして僕たちは正式にギルドの一員になることが出来た。

「よく二人とも合格出来ましたね」

「そうだね

ここまで来れたのはミランとバステトのおかげだよ」

「そんなことありませんよ」

「海斗だって十分活躍してるだろ」

「そんなことないよ

でも、これからもよろしくね ミラン バステト」

「はい」

こうして僕たち三人…二人と一匹の初陣は幕を閉じた。

どうもK&Kです。

今回、海斗の魔法がはじめて出てきました。

これからの海斗に期待ですね。

今回はミランについて説明します。

ミラン(Miran)

⚪︎物語のヒロイン

⚪︎異世界で登場

⚪︎15歳

⚪︎5月23日 Birthday

まあこんな感じの可愛い女の子です。

次回は新キャラ登場です。

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