表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/207

第四章)煌めく輝星達 第一種目

しばらくぶりの更新になります。

文量を多くしたのと、投稿済みの分の編成でなかなか筆が進みません。


皆さんのご感想をお待ちしています

■四校戦③


 いよいよ初日の競技が始まる。

公平を期して、ノガルドも含め各校ともに選抜メンバーには、競技内容は伝えられていない。

わざわざ運営に携わる人間に、「絶対盟約の呪符」によって、開催まで内容を他言できない呪いがかけられている程の徹底ぶりだ。

それだけこの四校戦には経済効果があるのだろう。


 そんな大人の事情はさておき、デモンストレーションが終わり昼休憩の時間、選抜メンバーは、まだ見ぬ競技に闘志を燃やす。

ノガルド選抜組のリーダーは、三期生のメイサンだ。

決して三龍祭の優勝寮ということが理由ではなく、人をまとめあげる資質に基づき、皆で決めた。

「みんな、いよいよ決戦だ!この二ヶ月間、依頼も集中して大変だったろうが、これが本物の大舞台だ!他校の奴らの度肝を抜くぞ!」

メイサンが皆を鼓舞する。

皆、騒ぐこともなくひたすらに熱い眼差しでメイサンに答える。

「デモンストレーションを見る限り、流石は国を代表する選抜メンバーだ。相手にとって不足はない!油断することなく士気を高めてくれ。」

我が校のリーダーとして、メイサンはまさに適任だ。

肝心の競技内容がわからないのに、今更、作戦も何も無い。

だが、彼の言葉に皆が耳を傾ける。

堅実、実直。

そして、情熱に燃え、義に熱い。

皆を引きつける力。

それがメイサンには、確かにあった。

メイサンの鼓舞に僕達も拳を握りしめる。

「力勝負だとしたら、ラケインの出番だぞ。抜かるなよ!」

「あぁ、だが魔法勝負なら、アロウの力が必要だ。気合入れろよ!」

僕達は頷き合い、競技会場へと向かう。


 そうして一日目の競技が始まる。

競技会場は、わが校自慢の円形闘技場コロッセオ

約4.5万㎡の敷地に5000人を超える収容人数を誇る巨大施設だ。

大規模な魔法演習にも使用するため、かなりの強度をもつ。

 僕達も競技者席として、会場の一部に席を設けられているが、まだ肝心の競技内容が見えてこない。

会場はC字型に作られており、円周の一端が解放されている。

解放部から競技場まで認識阻害のかすみがかけられ、分からないようにしてあるのだ。


「それでは、四聖杯一種目目を開始します。」

 アナウンスが入り、霞が晴れる。

そこに現れたのは、一対のゴーレムだ。

ゴーレムの体高は7m程だろうか。

僕達のドラゴリアスやゴリアテより一周りは大きい。

ゴーレムは、互いに背中合わせに立っており、その腰には太い綱が巻かれている。


「第1の競技は、“綱引き”です。」

 再びアナウンスが入る。

「それでは、ルール説明です。

ゴーレムは、魔力を与えることで前進します。先に中央線まで、相手のゴーレムを引いた方が勝利となります。それ以外の制限はありません・・・・・・・

トーナメント方式で対戦し、1位に5点、2位に3点のポイントが入ります。第二種目、第三種目の合計点によって、本年の優勝校が決まります。」

 場内がザワつく。

無理もない。

魔法使いが動かすゴーレムによる代理綱引き。

だとすれば、魔法大国ノスマルクと全員が魔力持ちのコールが有利すぎる上に、戦士系の生徒には手も足も出せない。

そう聞こえる。


「それでは、第一試合。コール校対エティウ校。」

 しばらくの準備時間の後、最初の試合が始まる。

魔法で動くゴーレム。

断然にコール校のゴーレムの進み方が早い。

それもそのはず。

メンバー全員が魔力持ちであるコールに対し、半数が戦士であるエティウ校に勝ち目はない…はずだった。


「戦士隊、構えぇー!第一、二隊は敵部隊へ侵攻。第三隊はゴーレムへ仕掛けろ!第四、五隊は魔法隊を護衛しつつ遊撃!」

まさかの戦士部隊の突撃。

“それ以外の制限はありません・・・・・・・

そう、アナウンスにヒントはあったのだ。


 15名の戦士を3人ずつの小隊に分け、直接コール校の生徒へと攻撃を仕掛ける。

2部隊がコール校へたどり着く。

ゴーレムの制御に集中していたコールは、エティウの突撃に気づけなかった。

コールのメンバーは散り散りとなり、ゴーレムの制御に気を回している余裕などない。

更に、ゴーレムを攻撃する部隊の活躍も目覚めざましい。

巨大な石の体に対し、足を重点的に攻撃を繰り返し、ゴーレムの歩みを止めていた。

なんとか立て直し、エティウに反撃するコール生もいる。

しかし、遊撃部隊に急襲され、迎撃やゴーレム制御に手が回らない。

そして、安全にゴーレムを動かすのはエティウの魔法使い15名だけだ。

なんと、30対15だった勝負を、機転によって0対15へと作り替えたのだ。

 観客が湧く。

「勝者、エティウ校。」

アナウンスが勝利を告げたのだ。


「おいおい、あれ、ありなのかよ…」

ノガルドメンバーの1人が呟く。

当然ありだろう。

実はこの作戦、僕も気がついてはいた。

元々この四校戦、四聖杯とは、当時の勇者が魔王討伐訓練の一環として始めたという。

ならば、この種目もその伝統に則っているはずだ。

即ち、“高火力部隊である魔法使いを守りながら戦え”。

これがこの種目の本質なのだ。

 だとするならば、人間の戦い方をよく知っている僕がそれに気づくのは当然。

そして、軍属が長いリュオも気づいて然るべきだろう。

しかし、アナウンスからこのわずかな時間だけで、よくここまでの指示が出せるものだ。

以下に冒険者にとっての英雄とはいえ、メンバーの心を掴みきっていなければ、これほどの連携は取れない。

本当に、恐ろしい相手だ。


「それでは、第二試合。ノガルド校対ノスマルク校。」

 いよいよ僕達の出番だ。

相手はあのロゼリア導師が手がける魔法使いの精鋭。

普通に考えればこの種目の優勝候補だ。

しかも、先ほどの戦いを見ているノスマルクに油断はない。

そこで僕達がとった作戦とは、

「全員!突撃ぃーっ!」


 メイサン先輩の声が響く。

そう。一旦ゴーレムを捨て、全員でノスマルクを叩く事にしたのだ。

先ほどの戦いから、あのゴーレムのスピードなら、一瞬で勝敗がつくことはないと判断。

ならば、と魔法合戦では勝ち目がないので、敢えてそこは放棄。

全員でエティウ校に襲いかかった。

 ノスマルクの作戦は、守って勝つ、という事のようだ。

ノスマルクの編成は、ゴーレムの操作に20人、残り10人は防衛だ。

魔法使い2人と魔法剣士らしい2人がノガルドの魔弾を弾く。

 しかし、それはただの牽制。

こちらは、防衛組を20人で攻撃して動きを封じ、その間に精鋭10名が操作組を急襲した。

いくら高レベルの魔法使いだろうと、倍の人数の魔法使いがいようと、それが生きるのは、戦力が整っている場合の話だ。

魔法使いのみで構成された20人なぞ、バランスと戦力を考え尽くした精鋭10名に叶うはずもない。

同人数ながらも圧倒的な戦力差でノスマルク校を制圧した僕達は、悠々とゴーレムを動かし勝利したのだ。

なお、コロッセオの規模は東京ドームを参考にしています。

byウィキ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ