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第四章)煌めく輝星達 白き刃

少し遡って、舞踏会編を新章に切り替えました。


この章では、後の重要人物をガンガン出して、人物紹介に当てようと思います。

─空を煌めくは満天の星

 蒼く輝くは闇を斬るような湖月

 天蓋に輝くは天の星にも劣らぬ硝子灯シャンデリア

 広間フロアに煌めくは大輪の華─


■混乱の舞踏会①


 優勝旗の贈呈が終わると、大講堂の地下にある、プロムの会場に移る。

ここからは無礼講だ。

もはや段取りもなく、テーブルには豪華な料理が並び、優雅に奏でられる音楽にのりカップルたちが踊る。

 あるものは愛を語り合い、あるものは来賓との繋がりを求め、あるものは三龍祭の興奮を語り合う。


「あ、ユー君だ。アロウ君、付き合ってくれてありがとぉ~。」

 カーレンがパートナーを見つけたらしい。

大きく手を振ってかけていく。

ユー君、か。

あのゴーワンさんの娘で、どこか浮世離れしていて、あれだけ可愛らしいカーレンの彼氏だ。

気にならないわけがない。


 カーレンの走り去った方を目で追っていると、

「んんっ。先程はお楽しみだったようですね、アロウ。」

「リ、リリィロッシュ!?」

後ろから、冷えきった声で睨みつけるリリィロッシュが咳払いをする。

「可愛らしい娘でしたね。確かゴーワン殿の娘さんでしたか。ええ、私など昔の配下、それも顔も覚えていないような下っ端に過ぎませんから。」

「いやいやいや、誤解だよ!彼女とは代理パートナーで一緒になっただけで、今も彼氏の所に帰ったんだって!」

 Bランクの魔物と対峙した時以上のプレッシャーを感じながら懸命に言い訳を考える。

いや、実際にリリィロッシュはBランクどころか、Aランクでもかなり上位の実力を持つ魔族なわけなのだけど。


「ふふ、冗談ですよ。まぁ、アロウの慌てた様子を見て溜飲が下がりました。ここからはきちんとエスコートお願いしますよ?」

「はい!分かりました!」

 これ以上ないほど綺麗な直立をして返事をする。

そしてぎこちない手つきで手を差し出すと、リリィロッシュも握り返す。

「えっと、リリィロッシュ。僕と踊ってくれるかな?」

「そういうのは手を差し出す前に言うことですよ?ええ、喜んでお受け致します、アロウ。」

そして僕達はダンスフロアに消える。


「ラク様ぁ、メイシャと踊ってくれますか?」

「…いや、剣の修行ばかりでこういうのは不得手でな。」

「大丈夫ですよ!メイシャがリードしますから!」

 このカップルは、いつもこういう感じなのだろう。

丁度音楽の切れ目で、僕達はたまたま合流できた。


「お、アロウ。リリィロッシュ先生のお怒りはとけたみたいだな。」

「くっ、見てたんなら助けてよ!」

 最近、ラケインは、僕に対して口数が増えた代わりに扱いが軽くなっている。

嬉しいような、悲しいような、というやつだ。


 そうして僕らが話し込んでいると、

「よう、ラケイン。アロウ。二人共やるもんじゃないか、こんな美人さんをパートナーにしてるなんて。」

リュオ、いやオーガ将軍がやって来た。


「よう、じゃないですよ。何がエティウの学生ですか。しかも偽名だなんて。」

 この人物の事は、最初から気持ちのいい友人のように思っていたが、身分を隠していたのだ。

その事に抗議すると、

「ん?何も嘘もついてなければ騙してもいないぞ。俺はエティウの将軍ルド=オーガに間違いないが、同時に冒険者のリュオ=クーガだ。生まれの名はルドだが、親父と不仲でな。家を飛び出して傭兵のリュオとして暮らしていたんだが、何の因果か、名を挙げたせいで、将軍なんてやらされてるんだ。それで本名の方がバレて、こんなことになってるわけだ。」

バツが悪そうに頭をかきながら説明する。


 そもそも、冒険者としては既に冒険者の最上位、Sランクの資格を持っている。

しかし、ルドとしての経歴が無いため、形式上の箔をつけるために冒険者学校に在学しているのだとか。


「そんなことより、後ろの女性達を紹介してくれないかな?見たところ、2人共かなり出来そうだが。」

 自分の事情をそんなこと扱いして、リュオがリリィロッシュたちに興味を示す。

「あぁ、そうですね。ご紹介します。こっちがメイシャ。僕達のパーティの回復役です。それでこっちが魔法担当のリリィロッシュ。立場上、僕達の担任となっていますが、パーティの一員でもあります。」


 リュオは、2人の紹介を聴きながら、あごに手をやり考え込む様子を見せる。

「ふむ、高位の魔法使いが2人も。しかも身のこなしから見るに、二人とも剣もかなり出来るな。ノガルドでこれ程の攻撃力を持った冒険者と言えば…、そうか、君たちが“反逆者リベリオン”というパーティか。」

なんと国外の、それも伝説級の武人に名前を覚えてもらっているとは。


「僕達のことを知ってたんですか!?」

「おぉ。冒険者たるもの、腕っ節だけじゃなくて情報も知ってなければな。」

そう得意げに腕を組み胸を逸らす。

「…何言ってるのよ。それ私たちの受け売りじゃない。」

 そう言ってリュオの後ろから姿を現したのは、明らかに高位の術者とわかる魔法使いの女性と、鋭い目つきの男女だ。

魔法使いの女性は腕を組み、ジト目でリュオを睨んでいる。


 いつの間に近づいていたのだろう。

こんなパーティの場とはいえ、リュオの存在感に当てられていたとはいえ、全く気が付かずにここまで接近されたのだ。

「わっはっは。まぁ、そう言うなよジーン。頼もしい後輩にいい格好させてくれよ。」

 なるほど。

彼女達がリュオの本当のパーティなんだろう。

そして、リュオの性格とパーティでの立ち位置もよくわかった気がする。


「おぉ、紹介するな。魔法使いのジーンと、俺の従者のリンとロイだ。Sランク指定の“白き刃ホワイトファング”パーティだな。」

 流石にわかる。

格が違う。

彼等こそ、僕達の、いや、冒険者の目指すいただきだ。


「そう言えば、結局リュオさんは、今度の四校戦には参加するんですか?」

 そう、大事なことを確認しておかなければ。

まさか最強の武人たるオーガ将軍が、こんな見習い相手に参加してくるなんて大人気ないことは、

「おぉ、もちろんだ!いやぁ、あの骨巨人の戦いを見てから腕が疼いてなぁ。ラケインの剣も、アロウの魔法も垂涎ものだよ。四校戦が待ち遠しいな!」

…ノリノリで参加するつもり満タンだ。

無論、手加減なぞ求めてないが、これは最悪ワンサイドゲームになりかねない。


「ちょっと、この子達が引いているでしょ。一応言っておくと、私達は参加しないわよ。そもそも学生ではないし。」

 ジーンと紹介された魔法使いの女性が呆れながら言う。

やはり、この女性が暴走しがちなリュオの手綱を取っているらしい。

まだリュオとはたった二日の付き合いだが、なんというか、ご愁傷さまである。


「いえ、安心したのは確かですけど、リュオと勝負できることは正直に光栄ですよ。僕達も負けるつもりで挑むわけではありませんから。」

「ふふ、よろしくね。なんならこてんぱんにしてやってよ。」

 こうして、僕達「反逆者リベリオン」と、「白き刃ホワイトファング」の初顔合わせは無事に終了したのだ。

リュオが俺Tueee状態になってますが、他意はありません。

(ゲームアプリ内で筆者はリュオを名乗ってます)


※サイドストーリー「ペンネの依頼」も更新しました。

良かったら見てください

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