非行少女
ヤンキーと呼ばれる様になると地元の悪い先輩達に目を付けられる様になった。でも、私には怖い者は居なかった…。
小学生の頃のイジメや継母に比べたら全然マシだった。ケンカ上等の私に向かってくるヤンキーは地元では誰も居なくなっていた。継母は私のヤンキー姿に文句言う事すら無く父親は滅多に家で会う事も無かった。
タバコ、シンナー、窃盗、傷害、無免許、悪い事は沢山やって来た。周りにはヤンキー達しか居ない。私は、その軍団のリーダーになっていたから誰よりも悪
い事をした。
警察からの呼び出しは日常茶飯事だった。だけど…父親や継母が私を警察に迎えに来る事は無かった。
少年課の刑事から言われた言葉…。多分、その言葉が私を悪の道へ、もっと進むキッカケになっていたんだと思う。
『お前の父親は極道。母親は継母。グレて当たり前だな。可哀相に』
この言葉に私は極道の娘だから継母だからグレたんじゃない!私は可哀相じゃない!イジメから逃げる為にヤンキーになったんだ!そう思っていたけど…世間の目には家族構成に問題があるとしか思われないんだ。小学校の担任が私に冷たくしていた理由が、この瞬間に理解出来た気がした。
私の父親も地元では有名な極道だった。
父親の力で誰もケンカ売って来ないのか?皆、私が怖いのでは無く父親が怖いのか?そう思うと私は、もっと悪くなってやる!父親の名前より私自身を怖がる様にしてやる!と決意した。
それからの私は毎日の様に誰かにケンカを売って歩いていた…。
私が学校、自宅以外の区域に現れるとパトカーが来る様になり『お前が市内を歩くと110番通報が鳴るから、お前は学校と自宅だけに居てくれ』と、警察に言われるまで地元では1番有名なヤンキーに成長していた。