交わらぬ視線
貴方は優しいの。
私は残酷なの。
「愛してる」と言われたの
私はそれを拒絶した
嘘だと思ったのではなく
信じたからこそ断った
「諦めて」と私は言う
貴方はきっと
生涯私を愛すると言う
それは分かっている
分かっているから
貴方を縛りたくなかった
私という存在に一生
執着させるのが可哀想だと思った
貴方はそれで良いと言う
一生、傍にいたいと言う
本気なんだと分かっていた
分かっていたからこそ、断った
それと同じだけの想いを返すことが
私には、どうしても出来ないから
たとえ貴方が私を
一生見つめてくれたとしても
私はきっと
一生、違う何処かを見てしまうから
未だに、遠くの影を見ているの
もう二度と還らぬ人
一生、現実になることのない幻を…
私は優しいの。
あの人は残酷なの。