詩 母子草
朱色の口に影下り、黄金の葉っぱは囁いて、騒めく緑の調べには、深く冷たい闇がある。
揺蕩う花を着飾って、恥じらい萌ゆる花弁よ。
やがて群がる獣に幾許ばかりの情持ちて、捩る掌儚く消える。
あああ……、去りゆく背中は灰塵の様に……。
靡く風に澄んだ空気、けれども何故か歪んでる。
うっすら瞼に溜まりゆく、後悔混じりの血涙は、何人たりとも触れられぬ、空の彼方の茜へと。
夜光る眼光炯々(けいけい)と、肉を食らうと求め出て、月に揺らいだ柔絹は、正に此の世の白兎。
誰一人とて逃れえぬ、牢獄の中を彷徨って、妖しい楮の肉塊を、貪り猛る、錆びた監獄。
皆が黒に染まって、皆が爛々とした灯火を見ること叶わず、やがて潰えた。
消えては光る電飾に、つられて飛び交う蛾と羽虫。
誰が呼んだか贖罪を、抱えてもがいた夜の蝶。
一時限りの幸福に、心血注ぐ虫螻蛄の、穢れに乗せて、街は歌った。
黒の太陽終わり告げ、日がな年中この朝に、にやりと嗤う悪の光景。
ふと目を逸らせば寒空に、泣き喚いている大木が、捨てた郷愁過らせて、雲った天へと愛を乞い、幽玄なるうねりへ背を預ければ肌身に伝わる皺への傾慕。
それは我が子を抱き締める




