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一話 -スプーク、夜の目覚め-

 辺りが燃えている。炎が激しく舞っている。激しく燃える炎は、私が生まれ育った家や、普段からお世話になっているおばちゃんがいる店、いじめっ子や仲が良かった友達の家を容赦なく燃やしていく。

 「なんだよ! なんだっていうんだよ!」

 俺の声に答える者はいない。代わりに聞こえるのは、どこかで炎に巻き込まれた同じ町の魔族の唸り声だ。

 「う゛う゛う゛……。 ぁ゛あ゛ー……。」

 逃げなきゃ!

 俺はそう思った。

 兎に角走らなきゃいけない!

 そう思うや否や俺は駈け出した。走る、走る、走る、走る。息がだんだん苦しくなる。あれ、俺、ゴーストなのに、なんで息苦しいんだろう……。息苦しさは止まらない。それどころか、喉が焼ける様に苦しい。あ゛、あつい……あつい……あつい……。

 

-----


「う゛ぅ……」

 夢? やけに鮮明な夢だったな。額も汗でびっしょりになっている。時計を見ると、夜8時を指しているようだった。遮光カーテンの隙間から月の光がもれている。

「眩しい……。でも、起きないとな」

 起き上がって、俺は、カーテンを開けた。

「おぉ! 今日は満月だ! 何か良い事が起きそうだ!」

 俺は、布団から起き上がった。

「スプーク! 夜ご飯ができているわよ~! 早く起きなさい!」

 母の大きな声が聞こえる。声がうるさい。夜一番、大声で俺の名前を叫ばなくても、もう起きてるっていうのに……。

「わかった~!」

 俺は、母の大声をもう一度聞きたく無かったので返事をしておいた。

 タンスに掛けてある服を引っ掴んで服を着る。そして、夕飯を食べる為に居間に行く。


-----


「おはよう、母さん」

 俺は、今日もいつもの通りに挨拶をする。

「おはようスプーク。今日は、早いわね」

 母さんは、夕飯をつくりながら言う。今日の夕飯は、母さんの得意なだし巻き玉子と味噌汁とごはんのようだ。母さんは蛇の尻尾をフリフリしながら鼻歌を歌っている。

 いつもそんなに遅く無いと思うんだけどな。と、俺は思う。

「父さん、おはよう」

「あぁ……」

 父さんは何か考え事をしているのか、適当な返事を返す。父さんは、文字通り骨ばった手で自分の愛剣を磨いていた。いつも磨いているが、今日は、いつもより念入りに磨いている様だ。

「お父さん、今日はどうかなさったんですか?」

 母さんは、父さんがあまりにも念入りに剣を磨いている様子を見て心配になったようだ。

「近々、戦争になるやもしれん」

 父さんは、そう答えた。

「えぇ!? どうしましょう! えぇ!」

 母さんは驚きのあまり、気が動転している。

「父さん、どういう事?」

 俺は、母さんの代わりに父さんに聞いた。

「人間のパーティーが攻めてくるんだ」

「それならいつもの様に父さん達が倒してしまえば良いじゃないか」

「あぁ……」

 それだけ言うと、父さんは浮かない顔をする。どうしたと言うのだろう。アンデッド部隊に所属している父さん程の魔族なら、人間何かに負ける訳がないのに。


-----


 父さんは出かける準備をして玄関へと向った。カツカツと父さんの足が床に当たる音がする。母さんもいつもの調子に戻ったのか笑顔で玄関まで送り迎えにいっている。 

「お父さん、気をつけていってらっしゃい」

「あぁ、いってくる」

 母さんは、お父さんの身だしなみをチェックしている。

「いつも通り、骨の抜け忘れも無いわね。よしっと」

 父さんは軽く頷くと、剣を腰に帯び、玄関から外へ出ようとした。しかし、そこで立ち止まり暫くじっとしていた。すると、突然、家を出ようとしていたところを引き返し、白く太い骨ばった手で、母さんの両肩をカタカタ音を鳴らしながら掴んだ。

「……いや、言っておいた方が良いだろう。……落ち着いて聞いてくれ」

「どうされたんですか?」

「今回の人間のパーティーは普通じゃないらしい。もしかすると、悪い事が起きるかもしれない。だから、お前達は今のうちに避難するんだ。この街からできるだけ遠く!」

 父さんの顔は真剣そのものだった。

「何を言ってるんですか。人間のパーティーくらいで」

 母さんは、あまり真剣にとらえていない様子だ。

「嫌な予感がするんだ。分かったな、絶対だぞ! む、時間だ、行ってくる!」

 隊の見回りの時間に遅れそうなのか、そう言うと父さんは急いで家を出た。


-----


「母さん、どうするの?」

 あまりにも父さんが真剣だったので、俺は母さんに尋ねる。

「お父さんは、きっと、最近仕事が忙しいから不安になっただけよ」

「父さん、真剣だった様に思うけど……」

 言い終わるや否や、母さんはその話はもう終わったとばかりに話し始めた。

「そんな事より、スプーク、学校のテストはどうしたの? また、火短剣ファイアダガーも使えなかったの?」

「いや、もう少しで使えるから!」

 焦りながらも俺は答える。

「もう少し、もう少しって、いつになったら使えるのよあんたは! あんたは、骸骨上級騎士スケルトン・シュヴァリエのお父さんと、蛇女下級騎士ラミア・シュヴァリエのお母さんの息子なのだから使えるはずよ!」

「が、頑張るよ……」

 俺は、無印なのに……。 

鬼火ウィスプのフー君も使える様になったって、お母さん聞いたわよ」

「フーは、火属性の魔物だから……」

 フーも俺と同じ無印だが、彼は火属性を得意とする火の魔族だからな。何せ、物心ついた頃には火球ファイアボールも使えてたっていうし……。

「口答えするんじゃ、ありません! あなたがお腹にいる時に私はね、お腹の中に魔星が入り込む夢を見たのよ! きっと、あなたも立派な魔族になるに違いないわ!」

 母さんは俺にこの時の話を良く聞かせようとする。現魔王様と同じ様に俺が生まれる前に、お腹に魔星が入り込んで来たのだとか。

でも、俺は無印だった。無印である以上、潜在能力が無いって分かっている筈なのに……。

「俺、もう学校に行ってくるよ」

 俺はいたたまれなくなって、学校へ行くことにした。

 初めての連載小説です。どれくらいのペースで書けるか分かりませんが、それなりのペースで書ける様に、頑張って書いていきたいと思っています。どうぞ宜しくお願いします。


 説明とのバランスを考えたんですが中々に難しいですね。読みやすい様に書く様、努力します。

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