プロローグ
あなたは神を信じているだろうか。
こんなことを言えば宗教団体からは大バッシングを浴びることになるかもしれないが、生憎俺はどうにも神というものを信じられないのだ。
そりゃ俺だって最初は信じていたし、あぁ、神様って凄いな、信じていれば救われるんだと思っていたのだが、5歳の時ブランコから落ち足を骨折、10歳の時ドッヂボールの球を顔面にくらい鼻を骨折、13歳の時の美術の時間、友人の彫刻刀が何故か頭上から飛んでくるという理解不能な偉く貴重な体験をし頭部を3針縫うことになり、15歳の時第一志望だった高校を見事に落ち凹んでいるところに更に追い討ちをかけるかのように第二志望の高校を落ちた時には、あぁ、信じていても救われないものは救われないのか、ということを身をもって体感した。
もしかしたら信仰心が足りなかったのかもしれないし、俺が少々やんちゃだったというのも原因かもしれないし、高校を落ちたのはお前の勉強不足だ、もっと努力しろというお告げなのかもしれないが、それにしたって酷い仕打ちだと俺は思った。他にも神を信じない決め手になることがあったんだが…なんだったかな。忘れてしまった。
だがもし、神が実際にいるのだとしても、こんな不条理な神が許されるのならば、神が許される前に俺の境遇が許されるべきだと常々思うわけである。
しかしながら俺は神を信じている人を馬鹿にするつもりはないし、頭ごなしに否定する気は毛ほどもないわけだが、俺は神なんか存在しなくてもいいと思っている。
神なんかよりも高校受験の時、中学時代の俺の授業態度を加味して貰いたかった。
そんな体験をしてきた俺は、なんとか第三志望の高校には受かることができたため現在は対して行きたいわけでもないが、受かったからには一応高校卒業の資格だけは取っておこうかという夢も希望もない理由で可もなく不可もないようなランクの高校に通っている。
あぁ、将来どうしよう。
なんてことは3年になれば否応なしに考えることになるだろうからと今は現実から目を背け、だらだらと花の高校生活を送っている。とは言うものの、彼女がいるわけでもなく、決して順風満帆なとは言えないのかもしれないがそこそこ楽しい青春を過ごしているつもりだった。
そう、あの日まではな。




