魔王へ至る者 2
なんとか書けた。
とある戦場を見下ろす一人の男がいた。
術者を連想させる衣服を身に纏いフードを被っている。
その中から覗く鋭い眼光は眼前に起こっている戦場を見据える。
「罪を認めず逃げ続ける・・・か」
この現状を生んだ者たちにむけて吐き捨て、結果が見えた戦いに背を向けて歩き出した。
向かう先は愛した女性、そして裏切った者の治める地、ヴァルハル王国。
魔王の城が建てられていた国にして取り戻すべきものがある地。
「罪は罰せられるためにある・・・か、誰の言だったか・・・」
戦場では天から降り注ぐ光の矢にて大地がえぐられ、そこにいる人間が消しずみとなってゆく。
「天に座するものは神の王、付き従うは天の使い。完全なる善とささやかれるものなれど、それは幻、それは理想、故に完全なる善など存在しない・・・か」
神も人も魔も変わりはしない。
心を持つが故の欲望は潰えることはない、その言葉は真実だった。
アイツはその存在に殺された。
だが、心があるからこそ変わることができる。
そう説いたのもアイツだったな・・・・。
「神の王は支配を求める」
そして、その支配は魔を滅ぼすための手段。
「治世を望んだ魔王の手は拒絶された。だが、諦めるのは早計だよな」
戦乱の幕開け、神と人と魔の三つ巴の戦争。
「この道は我が友が命を賭して望み、想い半ばで朽ちた。だが・・・」
その想いは何よりも尊い。だからこそ受け継ぐものは必ずいる。
事実、俺がそうなのだから。
「だからこそ俺は・・・」
歩みを止めずに、空を見上げる。
「リア、いるな」
呼び声とともに一人の女性が男に並ぶように現れる。
睡魔の姫にして、魔王の使い魔。
金色の長い髪、豊穣な胸部、背中には蝙蝠の翼を持ちそのスタイルや顔立ちも美女と呼ぶに相応しい。
四肢の素肌をさらし胸元の谷間が見える服装は色香を存分に引き出している。
万人の男児はすべて彼女に魅了されるだろう。
「ここに、主の盟友よ」
「英雄たち(やつら)の住まう国々の情報を集めてくれ。神の道化を断ち切る!!!」
頷くと翼を羽ばたかせ空を駆けて行った。
「神の王アードグレイ、俺のダチに手(悪意)をだしたんだ。相応の報いを受けてもらうぞ!!!」
空を見上げ、騒乱を引き起こした者に向けて戦意を叫んだ。
どうでしょう?