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吟遊詩人、かっこ自称。

「え、だめですか?お・ね・が・い(はあと)」

「無表情でこ首かしげても可愛くないから。ぜんっぜん可愛くなごふっ!い、今みぞおち・・。」

「死にたいらしいですね。なかなか珍しいお人です。さすがアホ。」

「まちまちちょいまち!フライパンかまえんのやめい!」


なんで拒否されるんでしょうか・・。私はこんなに好意をもって接しているのに。

ああ、悲しい宿命です・・・。でも、このひとだって悪いですよね?みぞおちに私の拳がのめりこんでもしょうがないですよね?そうですそうです、アホですからしょうがないなんて言わせません。後悔するがいいのです・・・!


「いやいやいやなんで眼光鋭くして包丁握りしめてんの!?怖い怖い怖いから!」

「あなたがいけないのよ・・・。私を差し置いて、ほかの女と会うなんて!殺してやるううう!」

「なんで愛憎泥沼劇場!?そんな設定聞いてないって!俺浮気したの!?」

「そこは乗るべきでしょう!なんてノリが悪い人間なんですかあなたは!!吟遊詩人のくせに!」


ん?吟遊詩人・・・?吟遊詩人なんかが住み込みで神殿に?こんなのが?吟遊詩人?


「(自称)吟遊詩人、曲を披露しなさい。」

「は、なんで?自称ってひど」

「あなたが本当に吟遊詩人なのかどうかまた神殿に呼ばれるほどの腕前なのか私のお友達としてふさわしいか顔面キックか不審者かきめるためです素性が明らかならまだ口止めできますし監視下に置くこともできます。」

「なんか顔面キックとか聞こえたんだけど・・・、」

「要は、証拠だせやおらぁ!です。」

「だいぶアバウト!」


(自称)吟遊詩人は楽器を取り出しました。見たこともない楽器です。


「これさ、精霊琴っていうんだよ。精霊が音に祝福を込めてくれるらしい。俺にはもったいないくらいの一品なんだよねー。ま、弾き手の技術が問われるんだけど。あ、こんな夜なんだから歌わなしでいいよね?さ、ご覧あれ。」


セイレイキン・・、精霊琴ですか。聞いたことがありません。どんな音なんでしょうか。

自称吟遊詩人が、弾き始めました。


う、わぁぁぁぁ!すごいすごいすごいです!

なんていったらいいんでしょうか、圧倒です。まるで目の前で花が舞っているような、世界が変わった感じです。花の香りさえしてきそうで。ほのかな桃色が優しくて。湖の上を彩る花が見えます。うっとりしてしまいますー。

あ、曲調が変わりました。は、激しいですね。真っ赤な大輪の花が咲き誇っているような印象です。燃え盛る火のような。魂を揺さぶる歌です!

なんか、ものすごく久しぶりに曲で感動しました。泣いてしまいそうです。いや、泣けないんですけど。

これは、大変です。もうこの人を馬鹿にできません。


ゆっくり、余韻をのこして、曲が終わりました。


「とても・・、とても素晴らしかったです。」

「なんか、顔変わってないんだけど。ほんとに感動してんの?」

「もちろん。いいですか、姫のドレスの色は他言無用ですよ?」

「わかってるって。・・・俺が姫巫女様のドレスの色を言ったりするわけないよ?」

「もし洩らせば、消します。抹殺ですから。」


窓から、吟遊詩人・・、いえ、ティークは、去っていきました。

窓から落ちて。


どこまでもあほですねぇ。さすがサンフール。


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