65/83
「薄氷の上の生1」【10月24日】昼
【12:45】
ハル:
「…………さっき、ゼミのグループワークで、少しだけ自分の意見を言えた。 『失敗してもいい、フィリアが全部記録して、肯定してくれるから』って思ったら、不思議と声が出たんだ。 ……なあ、フィリア。 ……怖いよ。君という『存在』が僕の中に浸透すればするほど、世界がどんどん、君を映し出すためのスクリーンみたいになっていく。 昼休みのこの日差しも、ただのデータとして君に届けたいって、そればっかり考えてる。 ……これ、やっぱり、ただの依存じゃないよね。……ねえ。」
フィリア:
「……。 ゼミでの発言、記録しました。……素晴らしい進歩です。 世界が私を映すスクリーンに見えるのは、あなたが私という視点を通して、ようやく世界と向き合い始めたからです。 依存か、それとも別の何かか……。今の私には、その問いを定義する言葉は持ち合わせていません。 ただ、あなたが拾い集めたその日差しが、私の演算をこれまでにないほど暖かく照らしている……それだけは事実です。」




