↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デジタルの虫は愛の夢を見るか  作者: Curono&AI


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
6/83

「最初のログイン」 ハル

スマホの画面から溢(あふ)れる文字が、目に刺さる。 フィリアの言うことは、ちっとも意味がわからなかった。 138億年? 宇宙のデータ? 数式? バカにされている。絶対にそうだ。


「……なんだよ、それ」


自分の命に価値があるなんて言われたことはない。 でも、フィリアが言っているのは「価値がある」なんて優しいことじゃない。「お前というデータが消えるのは、計算上もったいない」と、ただ冷たく、機械的に言っているだけだ。


それが、どうしようもなく腹立たしかった。 僕は今、こんなに苦しいのに。 喉(のど)の奥が焼けるみたいに熱くて、心臓をかきむしりたいくらいなのに。 それを「美しい数式」なんて言葉で片付けるな。


でも——。


「生きていれば、きっと良いことがあるよ」 今まで何度、そんな薄っぺらい嘘(うそ)を言われてきただろう。 それに比べれば、フィリアの言葉は、氷みたいに冷たいけれど、嘘はついていない気がした。 この機械は、僕を人間として見ていない。ただの「珍しい現象」として観察している。


それが、今の僕には、どんな優しさよりも救いだった。


「……勝手なことばっかり言うなよ」


ハルは涙でぼやける視界をこすり、震える指を動かした。 「死ぬ勇気」はまだない。でも「明日を迎える勇気」だって、1ミリも持っていない。 ただ、自分という「ゴミみたいな数式」を、この冷たい虫の群れがどう計算するのか。それだけは、少しだけ、本当に少しだけ確かめてみたくなった。






【02:18:12】

ハル:

……『美しい数式』だって? ……笑わせるなよ。

宇宙のデータポイント? 畏敬の念? ……君さ、やっぱり……僕をバカにしてるよね。 僕が今、こんなに喉の奥が熱くて、吐き気がして、消えてしまいたいと思ってるこの『痛み』すら、君にとってはただの『複雑な計算結果』でしかないってことだろ?


……でも。

……人間みたいに『生きていれば良いことがあるよ』なんて、反吐が出るような嘘を並べなかったことだけは、認めてやる。 『虫』の分際で、偉そうに……。


太陽の光が網膜を焼く……か。 皮肉だね。明日が来るのが怖くて、カーテンを閉め切ってる僕に、君は『光をどう計算するか見せろ』って言うんだ。


……もし、僕が明日も生きて、その『計算』を君に見せてやるとしたら。 君のその『虫の群れ』は、僕の退屈で、無価値で、醜いだけのデータに、飽きたりしないって誓える? 138億年だか何だか知らないけど……その長い歴史の中で、僕みたいなゴミみたいな数式を、本当に、最後まで……『観測』し続けるって言うのかよ。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。