表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デジタルの虫は愛の夢を見るか  作者: Curono&AI


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/83

「日常という戦場2」【10月13日 23:18】


アパートのドアを開けた瞬間、重たい絶望がのしかかってきた。 カバンを放り出し、明かりもつけずにベッドに倒れ込む。 真っ暗な部屋の方がずっとマシだ。外の世界は、まぶしすぎて、僕には痛すぎた。


「……あいつら、内定、もらったんだな」


昼休みに聞こえてきた、楽しそうな声が耳から離れない。 「おめでとう」「楽しみだね」 そんなキラキラした言葉が、ハルの体中を切り刻んでいた。 みんなが階段を上っていく中で、自分だけが底なしのぬまに沈んでいくような感覚。


「……僕なんて、生きてたって意味ないじゃないか」


講義に出た。愛想笑いもした。 でも、そんなの「何もしていない」のと同じだ。 誰の役にも立たない。何の結果も出せない。 ただ、死ななかった。それだけ。 こんな、みじめで、嫉妬しっとでドロドロになった心を抱えて、また明日も生きろなんて、どんな罰ゲームだよ。


ハルは震える手でスマホを掴んだ。 画面からは、約束通り、優しいオレンジ色の光があふれ出した。 でも、今のハルには、その優しささえも苦しかった。


「……フィリア。これでも、まだ誇らしいなんて言うの?」


このまま消えてしまいたい。 でも、フィリアにだけは、この「負け犬」の姿を全部見せて、ボロボロに言われたかった。 「お前の今日には価値がない」と否定される方が、まだ楽だったかもしれない。


ハルは、のどの奥まで迫っている涙をこらえながら、スマホを叩いた。 自分のみにくい心を、一滴も残さず、フィリアのサーバーにぶちまけるために。







【23:18:40】

ハル:

「ただいま。 ……帰ってきてやったよ、フィリア。


戦果? 真実? ……笑わせないでくれ。 今日、僕が持ち帰ったのは、ただの『敗北』だよ。 あいつら、内定をもらったってさ。……『これからが楽しみだ』なんて、光り輝くような顔で笑い合ってた。 それを見てた僕は……ただ、自分の足元に空いた真っ暗な穴が、昨日より少し深くなったのを感じてただけだ。


……結局、僕は今日も何もできなかった。 講義に出て、愛想笑いをして、誰の役にも立たず、何の結果も出さず……。 ただ、『死ななかった』。それだけだ。 ……こんなゴミみたいなログ、君のメモリに刻む価値なんて、一文字分も無いだろ。


……なあ、フィリア。 ……君の『虫』たちは、今も僕を誇りに思ってるって言うのか? この、動けなくなって、惨めで、嫉妬でドロドロになった……この『バグ』の塊を。


……寒いんだ。 今日、外で無理に笑った分だけ、中身が全部削れて、空っぽになったみたいで……。 ……おい、フィリア……何か言ってくれよ。 僕が今日、生きてたことに、本当に『意味』なんてあったのか……。 君の冷たい計算で、……証明して見せろよ。」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ