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愛情に才能は関係ない  作者: 合間 隙之助
始まるよ
3/11

舞台役者が足並み揃えて

この小説にはフィクションならではの誇張表現や過激な描写が含まれます。現実の価値観とは異なる考え方や関係性が描かれます。すべてを現実と混同せず、ひとつの物語としてお楽しみください。

有為(3年生徒会会長):

「おはようございますマグカップ」


マグカップ(問題児五人組の内の一人):

「有為ちゃんじゃん、元気?」


有為:

「えぇ、元気でしたよ。

 貴女が書類の期限を守っていた間は」


マグカップ:

「あぁ、元気じゃなさそうだね。

 因むと書類関係は全部がおちゃん(パブロフ)が…。

 あ、フラワーズクラブの経費書類わたしが止めてるわ」


有為:

「でしょうね、知ってました」


マグカップ:

「ごめんちゃい」


有為:

「世が世なら磔の刑ですよ」


マグカップ:

「罪が重くない??

 未だかつて書類未納がそんな罪の重さだったことないだろ」


有為:

「書類未納する相手は人じゃない」


マグカップ:

「言い切りやがった…」



パルチザン(『林葬寮』寮長):

「で、有為がマグカップにチョークスリーパーかけとる、と?」


マグカップ(『火葬寮』寮長):

「うん、有為ガリガリだし非力だからキツくない」


有為(『土葬寮』寮長):

「くそ、この野蛮人め、!」


マグカップ:

「野蛮人て」


パルチザン:

「有為も男ならもう少し鍛えぃ」


有為:

「黙ってなさいチンピラ、!

 っは、っはぁ、…っげほ、けほ」


パルチザン:

「うーん、箱入り息子は非力じゃのう」


マグカップ:

「完全なインドアだもんなー」


有為:

「草食系男子ですよ、流行りです」


マグカップ:

「ちょっと古いんだよなぁ」


有為:

「は?」


パルチザン:

「圧のかけ方よ」


有為:

「私、貴方達と1つしか変わらないのに…」


マグカップ:

「口調もぱるの方がジジイなのにな」


パルチザン:

「なんじゃあ、儂のブランディングに文句か?」


マグカップ:

「言ってませーん」


有為:

「…はぁ、いいから会議始めますよ。

 三派閥の派閥長会議、はぁ、億劫です」



メートル(信仰心が強い):

「まぐ、遅いねぇ」


レノール(信仰より姉への思いが強い):

「ほっとけ、どっかで昼寝してんだろ」


スピーカー(信仰心よりゴシップへの欲求):

「マグって自由人代表だからさぁ」


シェルフ(信仰心が無い):

「あ、レノールそれロンです」


レノール:

「は?」


スピーカー:

「あちゃー、レノの不運がこんな所で」


メートル:

「れの、次何脱ぐの?」


スピーカー:

「そりゃもう…下着しか残ってないし…っぷぷ」


レノール:

「よしスピ表出ろぶん殴ってやんよ」


シェルフ:

「流石に下着1枚で校庭に出たら怒られますよ」


メートル:

「ウチ(清掃部)の清掃対象にならないようにね?」


スピーカー:

「おおっと誰も俺の心配をしない!

 この雑に扱われてる感じ、ゾクゾクするね!」


レノール:

「この公然わいせつ物陳列罪野郎 (スピーカー)から片付けろよ」


メートル:

「レン先輩(3年清掃部)はスピのこと狙ってるって」


スピーカー:

「俺のおしりを!?」


シェルフ:

「絶対違うと思いますよ」


-----


彼の聖人、イエス・キリストは銀貨三十枚で裏切られたそうだ。当時の労働者の賃金1ヶ月分らしいと聞いた時は、マグカップは自分にはそんな価値すらないだろうと思った。


「おら脱げよ」


「待って今いい感じのモノローグ考えてるから」


「口にしてくれないと私達には伝わりませんが?」


まさか脱衣麻雀で自分の価値を推し量ることになるとは思っていなかったマグカップは上着を握りしめながら言い訳を必死に考える。かつかつと牌を鳴らしながら威嚇してみるが全く意味はないようだ。強いて言うならば、マグカップが嫌がっているということでメートルが反応しているというくらいで。


「ほ、ほら、まぐは女の子だから、

 …あ、代わりに俺が脱ごうか!?」


「一応私も生物学的に男では無いのですが…。

 代わってもらえると言うことでいいです?」


ブレザーを脱ごうとしながら手を挙げたメートルに噛み付くシェルフ。確かにシェルフは男では無いが、同じく女では無い『無性』なのでメートルも困った顔をしてる。スピーカーがげらげら笑っている。


「いいじゃんいいじゃん!

 メルって大体脱がないんだからさぁ!

 偶にはこうして脱いでもらって…」


フォローのように見えるが、メートルの脱いでいる姿が見たいと言うだけのスピーカーの意図は全員が察している。


「あ、じゃあ俺脱ごうか!?」


その上自分までも合法的に脱ごうとしているのだから彼の性癖の歪みが露出している。「黙ってろ変態」とは性癖だけで言うなら五人の中で1番まともなレノール談。


「める、そんなヤツ庇うんじゃねぇ」


「れのってばわたしに冷たいよなぁ」


「うるせぇ、その無い胸に手を当てて考えろ」


「『無い』は余計だろ、微かにあるわ」


女子としては膨らみが小さいマグカップに対して、『無い』と断言したレノールにマグカップはなけなしにツッこむ。気にしてない、と言えるほどマグカップは自分に自信がある訳では無いので、『筵』の人間らしくすぐに手が出る。すぱん!と綺麗な軌道を描いた牌を、難なくキャッチしたレノールは”べっ“と舌を出して煽っている。


「てめぇの全裸なんか見たとこで興奮なんざしねぇよ」


「はぁ!?可愛いマグカップちゃんが脱いだら興奮するだろ!?てめぇ不能か!?…あ、不能だった」


「よし表に出ろぶっ殺す」


五人組の身内で起こった悪質なドッキリによりEDになったレノールはそこを突っ込まれるとすぐにキレる。


因むとそのドッキリの首謀者はスピーカーであるが、提案者はマグカップであるのでレノールとマグカップの確執は割と根深い。レノールがマグカップを敵視しているのは出会った当初からだが。


牌が宙を飛び交い、いつものようにマグカップとレノールの取っ組み合いが始まり他の3人は非難を始める。「死なないようにねー」とは”自称“常識人のメートルの言葉であり、カメラを回し始め実況まで始めたスピーカーとはあまりにも温度差が違う。「そこだ!やれ!」と煽るスピーカーの後ろ、通信端末を弄り始めたシェルフは全く興味がないように見える。


「今日こそそのスカした面の下明かしてやる!」


「やってみろよ負け犬れのぴっぴ、

 今の今まで勝ててないくせに口だけは達者だね」


「黙ってやられてろ勝ち豚!」


「キャンキャン吠えて賢いねぇ〜。

 残念ながら負け犬語は履修してないから、

 なんて言ってるか分かんないけど」


専制第一の屋上、問題児五人組の根城になっているそこでは毎日とは言わずとも煽りの押収が聞こえるらしい。ほぼ第二のボードゲーム部となっているが、その実は罰ゲームと称して色んな悪戯を仕掛ける悪ガキ共の集まり。趣味と特技に『人への嫌がらせ』と間違いなくかけるタイプのクソガキ達がその内なる破壊衝動をチラつかせながら仲良しこよししているのがこの五人組の正体だった。


「くっ、そが!」


「今日も負けるのが上手ねぇ」


仲がいいか、と問われれば、メートル以外全員が首を傾げるだろう。






一口メモ

有為:『筵』の三大派閥『学派』のトップ兼『土葬寮』寮長。趣味は人の上に立つこと。

レノール:2年レクリエーション部エース。趣味は(メリーグラーノ)とのお茶会、嫌いなものはマグカップ。


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