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⑤戦慄の男

今日は晴天だ。5月の寒くも暑くもない、もしかしたら1年の四季の中で1番過ごしやすい数少ない日なのではないだろうか。それを感じたのはほんの5分程度だろう。向かいながら、

僕は調整中の楽曲のことを考えていた。

ワイヤレスイヤホンをして、少し知らずに音源のボリュームはあがっていた。

BPMは120くらい。

1小節に4つのハイハット、2つ目の音量をあげたい。その状態をどれくらい続けようか、考えていた。1キロほど歩いただろうか。耳に僕は集中しすぎていたのだ。誰かとすれ違いざま、肩がぶつかった。

あっ!僕は集中していたので、予想していなくてかなり驚いた!すいませんっ!右肩が斜め後ろに仰け反って、僕はぶつかった人が

男の人だと分かった。僕は、その人を見て

ゾゾッと悪寒がした。両腕の肘から手首にかけて、血が一気に逆立ってきたのがわかった。

ぶつかった男はよろけて、体制を崩していた。男の格好は

黒の上下のスーツ姿、白い綺麗とは言えないYシャツを第2ボタンくらいまで空けている。

頭には紙袋をスッポリと被っている。両目の所に丸く穴が空いている。そう、エレファントマンのような装い。一瞬、時が止まった。いや、ふざけてるのかも知れない。どこかで仲間が隠れていたり、するものだ。辺りをよくよく見渡したが、そんな様子もない。イヤホンの音が大きくなっていたので、下げた。ん?いや、下げ…られない。下がるどころか、音量はあがっていく。間違えて音量大の方を押してしまっていたか!ちゃんと確認して!!焦りながらもちゃんと確認して、音量小を押す。音は限界を知らないかのように、あがっていく!うわああ!何だ!と思わず声が出る!耳がちぎれるような大きな音!大きな音の奥で何か聞こえる…。ヒィィィィヒィィィィ。絶対に録音していない音だ。何だこれは!うめき声。ガタああん、ゴトォォん、ブィィィィ!電車の音か。いや、汽車のような蒸気音や、汽笛のような不快な不協和音だ!気が、気が狂いそうだ!口からはヨダレが垂れかかっている。そうだ。イヤホンを外して…外して…手にかけるが、グルグルとイヤホンが回転して、耳の中へとめり込んでいく。うぎゃぁぁぁぁああああ!とても理解が追いつかない事態に、

声が出た。あの、男が関係あるのか。エレファントマン!みたいなやつ!ふと視線を男の方に向けると、エレファントマンは目の前に立っていた。

エレファントマンの丸く空いた穴の中の目を

見てしまった!

その人間のものとは

程遠い、鹿のような顔をしていたあの目!

その目があった瞬間!


大音量の中、男の声が聞こえてきた


『オレにぶつかったのか、お前!!』

大声!心臓を揺らされる!

僕は恐怖の戦慄と

あまりの大音量での

出来事で意識を失った。

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