②骨郷
わかりづらいよね
そのうち嫌でもわかってくるから
うん、僕は鬼ネコになっている自分の手を見つめながら、頷くように言った。
電車全体がキシキシと
音を立てて、揺れはじめた。感じたことの無いような揺れ。銀河鉄道というよりは、道無き道を走る重戦車のような激しい揺れ。誰かの忘れていったか
置き忘れたか、コーヒーの小さな空き缶が、
右へ左へと転がりはじめた。凸凹道を必死に進んでいるような、
激しい揺れに、アオキも黙って外を見ていた。今まで饒舌であった彼が黙ると、緊張が走る。電車はガゴガゴ、ギギギ、と激しい揺れと急ブレーキで
停車した。車体自体はかなり左斜めに傾いている。空き缶も不気味な回転を続けていて、左斜めの隅に、グルグル押し付けられている。それは強い磁場の放出を意味していた。
アオキが着いたよと
ボソッと呟く。ドアが開くとそこは、そこから駅のホームらしく作られた柱に、迷い込んだ時に見た『7番線ホーム』と犯行声明で使われる、大きさは互い違いの文字で、薄気味悪く書かれていた。ちゃんとした駅のように、次はどちらとは、書かれていないが、駅名が書いてある、看板がぶら下がっている柱を見つけた。そこには『骨郷』(ほねさと)とかいてあった。ほねさと、いう駅らしい。その看板はやはり左斜めに
傾いていて、サビや汚れがこびりついて、廃虚の遊園地のように見えた。鉄のガラクタが無造作に並べられていて、まだ熱を帯びているようで、1部の鉄パイプの先からは湯気が吹き出している。不規則なリズムで、音が出る。バブー、ボボっ、ブー、ボッボッ、ボー
気分が悪くなる音だ。
アオキは足早に、まるで通学路で遊ぶ子供のように、ぴょんぴょんと跳ねているように見えた。どんどんと進んでいった