⑬竹藪地帯へ
クッキーの脱走を
追いかける罪門。
クッキーは、ワンワンと叫び、自由に駆け回る訳ではなく、どちらかというと、トボトボと歩いているという面持ちである。考え事している、サラリーマンのような雰囲気さえあった。営業先での、プレゼンを頭の中で、何回もしているかのような、考え事。悪いことしてるというような意識があるのだろうか?普通の飼い主であれば、クッキーを追いかけて一目散に抱き上げ、連れて帰るだろうか?僕は脱走して、クッキーが何をしているか知りたいのだ。必ず僕のもとへ帰ってくるし、心配だが、何か危険がありそうなら、その時に、駆けよればいい。クッキーの歩く道は、散歩道からは、外れた、竹藪地帯の方へ向かった。そこは大通りから少し、右ななめに細く入る側道で、住んでいるのか、いないのかわからないような、プレハブのような、民家が3軒ほど並んでいて、その傍へ、不法投棄されているソファーや、レンジは、もうサビすぎていて、異様な雰囲気を醸し出していて、長いツタが、絡まっているのが、人体の毛細血管のように、張りめぐる。
おいおいクッキー!
ここはあぶないぞ!と
声を出しそうになるが、僕はもしかして子供でも隠しているのかな?とふと思った。
そう思うと尾行を続ける忍び足をやめることはなかった。
クッキーは突然、顔を撫でる仕草をして、
虫を振り払うように
何度も何度も顔を拭った!その刹那。クッキーは突然走った!顔を拭いながら!凄い勢いで走り出した!目に何か入ったのかも知れない。僕も走った!クッキー!大丈夫か!声が出かかる!200mも道のようなジャリ道を竹藪地帯を走った!突然クッキーが、吸い込まれたように、空気が一瞬歪んだように見えた!ク、キュイン!ク、キュイン!空気の歪みから何やら音がする。不快な耳をつんざく音!クソっ!クソっ!
いない!クッキーが。
どこ行った?クッキー!流石に僕は声を出して呼んだ!クッキー!!
く、キュイン、く、キュイン!空気が渦となり竜巻のようにグルグルと歪んでいる!
クッキー!ここだ!
ここに吸い込まれた!
僕は、右手を伸ばした!クッキー!
僕は、渦の中に右手を入れた!一瞬にして
右手はグキグキゴキゴキと音がして右手の感覚がなくなった!うぎゃあああ!
ちぎれた!手が!ない???!
洗濯機に放り込まれたように、瞬く間に僕は、全身が渦に、引っ張られて、巻き込まれていくように細長く回転していくのがわかった。
うわああああああ!
クッキーぃぁぃぃ!
クッキーを追うと
まさかの墓場界へと
堕ちていく。




