⑩汽車髑髏
僕は、ハガに話した。
昔に鹿男に会ったことを思い出したと。
ハガは、そうアルか~、1度墓場界に入ってきて、そのまま、忘れて過ごせれば何の問題も、まあなかったアルな~、でも鬼ネコになって、また墓場界に、猪鹿男に会うとは、キミ、持ってるね~。持ってる持ってる~。とはしゃいだ。…。引き寄せる何かがあるアルよ。そのヘッドホン!
現実世界のものを持ち込むなんて、なかなか出来ないし、それどうしたアルか?僕はイヤホンが耳にめり込んで、取れなくなったことを告げた。あ~なるほどな~、それを連れてきたか~。ハガは興味深いとばかりに頷いた。すると、電車の揺れが激しくなった!ギィィギィィ!ガタぁぁん、ゴトぁおぉん!物凄い数のネズミたちが、走り抜ける。うわー!僕は足を思わず、あげた。走り抜けると
思ったネズミたちは、
車両の、角で、転がり回りはじめた。ぐるぐるぐるぐると、走ってるけど、引っ張られているような感じだ。ハガはそいつは磁場が、強くて、進めないアルよ。ハハッー。もうすぐ着くアルよ。僕は、窓の外が見えるわけでは無いのに、必死に眺めた。ギィィギィィギィィ。ものすごく、イヤなゴムや鉄を燃やす匂い!ズドォォんと衝撃が走る。ネズミも散らばった!電車がとまった。扉が開く。ハガが言う。おおー、ここは!久しぶりに来たアルよ~!うん~
電車から飛び降りた。
高さがあるようだ。
僕も、降りようと近づくと、まるで、そこは、廃墟の遊園地のようにも見えるし、新都心のような!!廃墟のビル群が建ち並ぶ。東京タワーのような、気味が悪い高い塔。卒塔婆で全て作っているのような出で立ち。墓や灯篭、八柱霊園のように、区画整理はされていない。乱雑に置かれた墓場、鉄クズ、広い敷地にスクラップ工場の街、ゾンビの群れをなし、工場で、朝のラジオ体操しているみたいに見えた。建ち並ぶ廃墟の民家。ドクロの汽車が数台停車している車庫、10台はドクロの汽車が止まっている。僕もこの電車に乗ってきたんだと思って、開いた扉から、電車をみた。やはり汽車髑髏だ。よく見ると、髑髏は喋っている。悲鳴のような、お経のような。よく見ると電車全体に髑髏が張り付いている。ビッシリと。前の方には、車掌らしきガイコツ男がいた。駅員の制服を着用してるが、蘭たんをぶら下げて、何やら、笑っているようにも見える。磁場の音が大きく響いている。鉄を削っているような嫌な音。
実に不快だ。
下を覗くと10mほど下にハガがいる。来い!と言わんばかりに手招きしている。僕は、意を決して、やあ!と飛び降りた!これは…、自分の身体では、無いほどに、柔らかく、しなやかに、重力に対応している。僕は落下しながら、鉄クズを蹴ると、右へ、左へとジグザグ、空気抵抗を減らして、着地した。まるでネコだ。そうだ、鬼ネコだった。
ハガの近くに着地した。すると上から吊るされている看板があった。ボロボロの何重にも看板の周りを囲む、赤や青、白に光るネオン管。ところどころ、明かりが途絶えている。それは駅の看板であろうものだ。ハガは言う、この駅は、墓場界の中心部アルよ。まあ都心みたいなものアルよ。ここは久々のご案内だ!この駅は
『紫空メトロポリス』(シアメトロポリス)
と看板に書いてあった