8話 作戦会議
フリーマーケットは私のせいで一波乱あったが、その後はおもちゃを直したりたまに竜族の人に治癒魔法をかけたりもして満足のいく一日だった。
「シスター長、今日はありがとうございました」
「いいのよ。
ほら、ルリだって私達の事を知らなかったら警戒するでしょう。
だから本当に冷静になって話し合える場が必要なの。
私達、竜族はそれだけで他の国人には怖がられるもの」
そう話すシスター長はどこか悲しそうだった。
(そうよね。
誰だって平和が1番よね)
「戦争が再開したのは一、2年くらい前からなの」
「ヴァーミリオンに聞きました。やっぱり金山が原因なんですか?」
「ええ」
(やっぱり、戦争を止めるには正しい認識が必要よ)
ヴァーミリオンも、領土の問題だから応じてくれたら俺達だって反撃しないと彼は言っていた。
(そうだわ!)
私は「ある作戦」を思いつき、ヴァーミリオンがいる城へ向かった。
♦︎
「ルノワの国民としてパルデールに入国し金山の本当の領土が俺達、デ・シャールのだと噂を流す、か」
「単純よね?」
ヴァーミリオンは呆れるかと思ったが、私にはこんな事しか思いつかない。
「すぐに上手くいくか分からないが平和的ではある。
試してみよう!」
彼はあっさり承諾する。
「もっと呆れられるかと思ったわ」
「確かに単純だが今できる微力ながらの抵抗になるし、噂を立ててパルデールの国民が正しい認識を持ってもらえればそれに越した事はない」
「問題はまず、誰がどうやってパルデールに入国して噂を立てるかよね」
「俺達は髪色や目の色で珍しがられるからな」
「確かに目立っちゃって怪しまれそう。
ならやっぱり私が行くしかないわよね」
「すまない」
「危ない時はどうしよう?」
「見張りくらいなら竜の姿で俺達は身体の大きさを調整できるから小さくなってできる」
「便利ね」
「でも、どうしても危ない時は?」
「ちょっと待ってろ」
ヴァーミリオンは部屋から出ると何かを持って戻って来た。
「指輪?」
「そう。
城の宝庫から許可を得て持って来た。
これは広場の像がしてた聖なる力を増幅させる力と竜の力を一部使う事ができる指輪だ」
「えっ!そんなすごい物」
「ルリに貸す」
「悪いわよ」
「これは代々聖女に渡ってきた大事な物だ。
あくまで「貸す」だけだよ。
金山の金から作られたから聖女には偉大な力を授けられるって言われてる」
「私、聖女にはなってないわよ」
「だから貸すだけだ。
まあ、パルデールに入り込んだ町娘が空を飛んだらさすがにスパイだってバレるが運動神経も格段に上がるぞ。
銅像の聖女はこの指輪をいつもしていて負け知らずだったって聞いてるし、何かしら持ち主を守ってくれるよ」
ヴァーミリオンから金でできた指輪を受け取って指にはめる。
(確かに、指にはめると体が軽くなった気がするわ)
「うん!確かにもし怪しまれて逃げる力には役立ちそう」
「じゃあ作戦会議だな」
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