6話 祭りと和解
「お祭り?」
「ええ。今は停戦中だから。教会の小さなバザーなんだけどフリーマーケットを開いたり屋台を出したりするの」
シスター長に言われチラシを見せてもらう。
当日は屋台が軒並み並んで教会も店を出すらしい。
なるほど。楽しそうだ。
「当日、お手伝い頑張ります」
「ありがとう。
ルリもお料理が好きなら何か教会で配ったら?」
そう言われルノワでメロンパンが好評だった事を思い出し、私はキッチンを借りるとそれをまた作る事にした。
そしてフリーマーケット当日、出店には間に合わなかった私は会場に来た皆に配れるようミニメロンパンを他のシスター達に配ってもらうようにお願いして他の店の設営や準備にまわる。
ミサの後に開始したフリマ会場は賑わい、女性や子供連れに人気だ。
「人手が足りない場所があったら助けてね」
「はい」
教会の通例行事とはいえ思った以上に忙しい。
各出店の会計を手伝ったり足りなくなった備品やおつりの補充をしているとあっという間に休憩タイムになった。
「ルリ、メロンパン大人気よ」
そう言ってはけたカゴを見せに来たシスターにも私達にもまた作ってねと言って去って行った。
フリマも後半。
といってもあと1時間で終わる頃、どこからか小さな女の子の鳴き声がした。
(迷子かしら?)
どうやら「おもちゃのお医者さん」に来た女の子が竜のぬいぐるみを抱いて泣いている。
「お医者さん」もとい修理屋のお爺さんも困っている。
(もしかして修理が難しいのかしら?)
おじいさんに声を掛けるとこのぬいぐるみは色んな言葉を喋るらしい。
「どうやらこのぬいぐるみにこの子のママさんの声が入っているらしいが出なくなってしまったらしい。
直してやりたいが部品がなくてな」
女の子はグスンと不安そうだ。
私はおじいさんと女の子に断りぬいぐるみに触り修復魔法を掛ける。
すると
「ダイスキ」
とぬいぐるみが喋ると女の子も笑顔になった。
「驚いた!シスターは聖女だったのか」
「元ですけどね」
内緒にして下さいと言うが女の子は
「お姉ちゃんすごい!魔法使いなの?」
と目を輝かせてる。
「いや、魔法使い?なのかな?」
誤魔化すのに必死だが女の子の後ろにも客はいた。
「あの、このおもちゃも直りますか?」
と次はお母さんと男の子が光る剣を持ってきた。
直すと感謝されて
「お姉ちゃんすごい!」
と言われておもちゃとはいえ「手当」をしていて褒められるのは悪い気分じゃない。
すると近くにテューが来て
「すごくない!コイツは母さんに怪我させたんだ!」
とみんなの前で叫んだ。
これにはその場にいた店長や子供も恐怖と疑惑の目を向ける。
(私、皆に謝らなきゃ)
「ごめんなさい!私は聖女を剥奪されました。
今はここのシスターです。
あなた達を攻撃なんてしません。
正直、私はどちらを味方していいか分からないけど治療はできます」
「でも、前はパルデールの聖女だったのよね?」
「俺達を攻撃したのはお前だろ!」
みんなは口々に不安の声を上げる。
「おやめなさい!」
急にシスター長が私の前に立ち皆を阻む。
「確かにルリはパルデールにいた頃は私達の敵だったわ。
でも、彼女は今はシスターを剥奪されてルノワにいたところを騎士様がお願いしてみんなを手当する為に来たのよ。
すすだらけの教会もルリが綺麗にしてくれたわ。
ルリはこの教会には無くてはならない存在よ」
「ルノワ?」
「なんでこの人は聖女を剥奪されたんだ?」
皆はまだ疑問が尽きないらしい。
(やっぱり言わなきゃよね)
「私の力が弱くて期待通りの役割ができなかったからです。
そしたら隣国のルノワの教会行きが決まりました」
「そうだったの?」
「ルノワにいたならなんでこっちに?」
「王とヴァーミリオン・・・、騎士団長の命令です。
本当に今までごめんなさい。
虫が良い事を言ってるは承知してます。
でも、ぜひあなた達を治療させて下さい」
そう言うと皆はシンとした。
シスター長が
「さあ、ルリに何かある者はまずは私に名乗りでなさい!」
と言う。
「まあ、能力が弱かったら治癒に専念するしかないよな」
それに釣られハハッと乾いた笑いが起きる。
「みなさん・・・」
「そのかわり、ちゃんと治してくれよ!」
「!、はい!」
みんなの目は優しく私を見てくれた。
(少しだけど、皆歩み寄ってくれるのね!)
嬉しくて涙が頬を伝う。
「お姉ちゃん、泣いてる?」
側に来た女の子に聞かれてしまった。
「泣いてないわよ」
と言い返すとシスター長がよかったわねと笑う。
「みんな、ありがとう」
私は嬉しくて1番に何故かヴァーミリオンにこの気持ちを伝えたくなった。
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