5話 竜の力の源
翌日、訪れたのはデ・シャールの山。
山といっても金山だ。
前日私はヴァーミリオンにデ・シャールについて教えてと言い、争いの原因になっているこの金山に来たのだ。
「ここだ」
洞窟の入り口をランプでヴァーミリオンが照らすと中には岩に光が反射するだけで他は何もない。
「気をつけろよ」
彼が先に入り足場が悪いとこは手を借り移動する。
「ここがデ・シャールの有名な資源の金山だが金は綺麗に無くなっている。
パルデールの奴らが掘り起こしたみたいだな」
「そんな」
「他の場所はまだ無事なところはあるが、じきにまた無断で侵入してくる奴らがいるだろう」
「アレク王子は何も言ってなかったわ」
「そりゃあ都合が悪い事は隠すだろ」
「違う!だって竜の方が先に攻めたって言ってたし」
「逆だ逆!
アイツらが先に金を取り始めたんだ!
だから俺達が止めろと言っても聖女で対抗して攻撃してくるし、見る度に違う聖女を対抗しやがる」
「違う聖女って、あなた達が彼女を攻撃したからでしょう?」
「さあ、どうだろな。
俺達を見る度に全力に攻撃してくるからな」
「それはそうよ」
「でもな、
たまにお前みたいに王子に逆らう奴もいる
聖女が変わるのは大体その後だ」
「え?」
アレク王子が私に放った言葉を思い出す。
あの時の落胆したような目はもう、思い出したくない。
「領土の問題だから応じてくれたら俺達だって反撃しねえ。
なのにアイツらは自分達が先に自分達が見つけて採掘しただと」
「そんな」
金は竜の力の源だ。
「強かった皆の力は日に日に弱くなっている。
かつて、彼らは人々から恐れられる種族だった。
竜にとって力そのものの金が無くなればこのデ・シャールの皆は弱ってしまう。
種が途絶えるかもしれないのに」
本当にアレク王子がこんな事をしたのだろうか?
まだ信じられない。
考え込んでいるとヴァーミリオンは私が気を落としたと思ったらしい。
「まあ、ルリの仕事は治癒だからな
俺達の国の事はこれくらいでいいか?」
と気にしなくて良いと言ってくれた。
「ええ。
でも今の段階でデ・シャールの人達に信用はされないから無理よ」
「だよな」
「どうしよう?」
うーんと2人で考える。
「そうだ!私がパルデールの元聖女だからみんな警戒するのよ」
だから私が亡命したという事や今はルノワのシスターと知ってもらったら何か変わるかもしれない。
「一応私ルノワのシスターだから何か教会でできる事ないかしら?」
「成る程。
教会の一員としてか」
ヴァーミリオンはすぐにデ・シャールの教会に私を紹介した。
街のはずれにある教会は所々すすが屋根や壁にあり
外壁の煉瓦の破片が落ちてるとこもある。
パルデールの攻撃がここまで来たんだろう。
牧師やシスター達には最初、元パルデール王国の聖女でルノワの教会から来た事を告げると渋い顔をされた。
やっぱりと思ったがせめてもの気持ちで修復の魔法を教会全体にかけると穴が空いたり屋根のススは見事綺麗に跡形もなく消えて、出来たばかりみたいに回復した。
「ーー聖女の力はこんな事もできるの?」
「治癒の力の一種です。私は攻撃よりもこちらの力の方が強かったみたいです。
お願いします。元敵で虫がいい話ですが私を教会の為に使って下さい」
そう頭を下げるとシスター長が前に出て来た。
「ルリ、あなたには活躍してもらうわ。
覚悟しなさい。
ありがとう。教会を直してくれて。
今は停戦してるから少しずつ人が戻って来たけど最近までミサに来る人も明らかに減って来てたの」
「ーーっ」
明らかに自分のせいだ。
「でも、これでますます人が増えるわ。ねえ?」
牧師や他のシスターに彼女が聞く。
牧師はよかったと連呼し、シスターの1人が
「これで洗礼式や結婚式増えるかしら」
「そうよ!」
「やったあ!これで教会にますますお金、じゃなかった人が増えるわ」
「現金なんだからー。あはは」
誰かが笑うとそれは皆に伝染した。
「改めてよろしく、ルリ」
シスター長の言葉に深い安堵のため息と少し涙が出そうになる。
「私、受け入れられたのね」
ヴァーミリオンもよかったなと目配せする。
そうして私はデ・シャールにいる間、教会に住み込みで働く事となった。
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