3話 聖女なんてもうしません。
「落ちたら死ぬぞ」
突然の聞き覚えのある声に驚く。
「竜が喋った!?」
それにこの声とヴァーミリオンと言う名前だけで思い出した。
敵国の騎士団長だ!
「あなたっ、敵よね!何のつもり!?」
私はパルデールから追放されたのだ。
彼らにとって狙うべきは私じゃないだろう。
「降ろして!じゃないと撃つわよ」
と言うと竜は降参したのか
「分かったから待て!」
とそう言うと広い草原に私を降ろした。
「約束通り攻撃するなよ」
そう言うと竜はさっきの騎士の姿に戻った。
「私を拉致してどうゆうつもり!?」
「しょうがねえだろ!?こうでもしなきゃ着いてこねえんだから!」
ヴァーミリオンは素性がバレた途端、随分話し方や態度が粗野になった。
「懺悔するフリまでして拉致するなんて」
(呆れたわ!)
腕組みをして卑しいものを見るようにしていると彼は余裕がないのか自分のうなじをガシガシ掻いている。
すると彼は何を思ったのか頭を下げた。
「!ーなんのつもり?」
「ルリ!君を探していたのは本当だ。
お願いだ。
デ・シャールには君の力が必要なんだ。
もう一度聖女になってくれ!」
「嫌」
間末入れずに返す。
ヴァーミリオンは納得できない顔をしている。
「お生憎様だけど、私はエライザ様みたいな力はないし戦いなんて2度と御免だし、デ・シャール・・・元敵国に力を貸すなんてしないから!
分かったらルノワの教会まで送って」
「そう言われるパターンも考えてこっちも先に手は打った」
彼は急に不穏な事を言い出した。
「はあ?何したのよ?」
「お前がいた教会には黒龍の鱗と銀を献上しておいた」
「は?つまり賄賂って事!?」
「そうだ。
どんな人間の病も治す伝説級の霊薬と銀だぞ。
それなりの働きをお前はしてもらわなきゃいけない」
悪そうな笑みを浮かべる彼はやはり卑しい竜だ!
(な ん て き た な い の ! ! )
「聖女になれは急だが怪我を治した治癒は願ってもいいだろ」
「元敵が私を歓迎してくれるとでも?」
敵国に着いた途端、襲われるなんて御免だ。
「そんな事させるかよ」
そう言うと彼は私を真っ直ぐ見て
「お前は必ず俺が守ると約束する」
と宣言され不覚にもドキドキしてしまった。
(いや、ときめいてどうすんのよ私。
とにかく元敵国に丸腰で行くんだから守ってもらわなきゃ困るから当然よ)
そうして私はヴァーミリオンに連れられデ・シャールの城に向かう事になった。
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