表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/14

1話 ある聖女の黒歴史

私、ルリに至っては前世はごく普通にいる日本人女性で特技は動物に懐かれる事が取り柄くらいの存在だった。


轢かれそうな猫を助けた末に変わりに事故って異世界転生し、森と湖が美しい国、パルデール国の町娘のルリに異世界転生し、司教さんに聖なる力があると言われてそれから聖女になった。


「ちょうどよかった。

聖女が我が国にいなくなってしまって君だけがたよりなんだ」

そんな言葉をアレク王子に掛けてもらい舞い上がる。

怖かったけど彼の指示の元、竜に私の水の力で対向する。


が敵は強くて苦戦する。

(負けられない!)


何とか全力を出して飛んでくる竜2.3匹を水魔法を全力で浴びせると竜は諦めたのか後ろを向いてパルデール国の空から消えていった。


「諦めたのかしら?」

竜は敵国デ・シャールの地に帰って行ったと結論づけた。

(今回は数匹だったからよかったけど、これ以上増えたら私の力だけじゃ厳しいわ)


正直、力を使いすぎると体力が辛い。

「ルリ様大丈夫ですか?」

与えられた城の部屋に戻る際、メイドさん達が心配してくれる。


「ありがとう。ちょっと休めばすぐに回復しますから大丈夫ですよ」

「そうですか?あんまり遠慮なさらないでくださいね」

メイドは優しくそう労ってくれる。


「すまない、ルリ。君ばかりに力を使わせて」

アレク王子は私に謝る。

「いえ、皆に何かあってはいけないので」

と答えるが毎回これが続くと正直キツい。


そんな時に新しい聖女がまた現れた。

エライザ嬢だ。


「アレク王子、この度聖女になりましたエライザと申します。

王子の力になれるよう最大限に努力致しますわ」

とハキハキ挨拶する彼女の瞳は真っ直ぐアレク王子を見つめていた。



彼女はパルデール城のメイドや執事や司教にも馴染み、まるで昔からこの城にいるみたいになってしまった。


「流石エライザ様、アレク様とお似合いよね」

「うん。性格はキツいけどアレク様の事は気遣うし、何より聖なる力が凄いんですって」



国に聖女は2人。


力の差は歴然。


豊かな波のような黒髪に気高い表情の彼女には紅いドレスが似合う。


対して私は麻色の特に艶もない髪を、淡い色の組紐でハーフアップにした髪に家から持って来た普段着みたいなドレスを着ているので気が引ける。



当然、派閥が出来るのは時間の問題でエライザ嬢はすぐにパルデール国に現れた救世主、いや希望の聖女となった。


「それに比べてルリ様ったらいくらなんでもお荷物なんじゃない」

「しーっ!誰かに聞かれたらどうするのよ」

「でも、正直なところルリ様派って少ないじゃない」


城や市民からのヘイトは一気に加速する。

「っていうかルリ「様」って。元は平民じゃない」

「クスクス、確かに。そういうところからなんかエライザ様とは違うのよね」

メイドさん達の意見ではそういう事になった。


そんな訳で城の人達の私に対する扱いは雑になっていった。


そして私を気に入らない人がもう1人いた。

エライザ嬢だ。


「あなた、やる気はおありなの?」

戦闘力が足りないのだろう。

「まあいいわ。あなた私の補佐に就きなさい」

「え?」

戦いにしてはアレク王子から指示をもらうからはいと答えていいか悩む。


「王子には話してあるわ。まあ、あんな野蛮な竜なんて私にかかれば一撃だわ」

「はあ」

王子も了承済みなら従うしかない。


そして停戦が明けて初めてエライザ嬢の補佐につく。


彼女の戦いは容赦がない。

竜は次々と彼女により倒されていく。


その時、私は対面した竜の後方にいた竜の側に小さな竜がいた事が垣間見れた。


(この竜、子どもを連れているの!?)


よく観察すると大きい竜は気は立ってるけどそれは子供を守るためにだと分かる。


「エライザ様、撃たないで!」

そう彼女に忠告するも彼女は大きい方の竜に向かって攻撃をする。


彼女に撃たれた竜は地面に落ちて小さな竜が悲しそうに鳴く。

「エライザ様、もうやめて下さい!」

もう敵はいないからと彼女を説得しようとするが彼女は聞かない。

 

「何を言っているの。じゃあ私のかわりにあなたがおやりになる?」

子竜を指差し彼女は私を見る。

「え?」

(私があの子を?)

親が撃たれた子を撃つなんてできない。


アレク王子も

「ルリ、あれくらいなら君にも倒せるだろう」

と声を掛ける。

「でも・・・」

「これは命令だ!」

「!」

アレク王子は出会った頃と何かが違い余裕や優しさがない。


確かに国を守る為に竜は倒さなきゃいけない。

でもー


「あんな小さな子、私には撃てません」

そう2人に言うと王子は落胆したような、エライザ嬢はだったら最初から口出ししないでと言いたげにため息を吐いた。


その時ー

竜に背中を向けていたエライザ嬢に子竜が光線を浴びせた。


「きゃあ!」

「エライザ!」

アレク王子がエライザ嬢を抱き留める。


「エライザ様!」

心配し彼女に駆け寄るがアレク王子は彼女を私に近づけまいと避ける。


「ルリ・・・、君が判断を誤った」

「!!」

子竜はとっくに背を向けて見えなくなってしまった。


しばらくしアレク王子も城のメイド達も私に話しかける事は無くなりついに聖女剥奪とパルデール国外への追放と教会行きが決まったのであった。


*・゜゜・*:.。..。.:*・・*:.。. .。.:*・゜゜・**・゜゜・*:.。..。.:*・・*:.。. .。.:*


ここまで読んで下さってありがとうございます。

気に入って頂けたらいいねやブクマや感想よろしくお願いします(^^)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ