13話 再戦
静かな教会に大変だと飛び込んで来たのは城の使いだ。
「ルリ様、パルデールが金山を攻めてきます!」
「嘘!?まだ停戦中のはずよ」
外は雨が降っていて視界が悪いからこんな日は戦に向かない。
(それとも、それを利用するつもり?)
「みんな避難して」
教会にも結界を張り竜族を守るように結界を張る。
私は金山に向かおうとするとヴァーミリオンがちょうど上空にいた。
「ルリ、乗れ!」
彼の背中に乗ると私達は金山を目指した。
近くとそこには結界を破ろうとしているエライザ様達がいた。
いつにない必死な彼女に私は対抗して結界を強化したいが、彼女の力は強大だ。
金山のまわりには竜の他、麓には人型のままの兵士もいる。
エライザ様は私を見つけると
「あら、結界の正体はあなただったの。
竜ばかりと思ったけどここには人もいるのね」
と兵士を見て笑う。
容赦しないわよという事か。
「今は停戦中のはずです!」
と答えるが、エライザ様の後ろにはアレク王子の姿が見えた。
「ルリ、寝返ったのか。残念だよ」
と言う彼の顔はなるべく見たくなかった。
ヴァーミリオンはいつの間にか人型に戻る。
「この地は我が国の者だ。
ここで戦をすればお前達だって無事ではいられないのだ。
引け!」
命令する彼の出立ちにアレク王子が
「貴様が竜を率いる隊長か!?」
と聞く。
てっきり巨大な竜か何かと思っていたが正解だ。
「ヴァーミリオンだ」
そう名乗り、彼はまた巨大な紅竜に姿を変える。
「なるほど。
ルリは人型の貴様にほだされたのか」
アレク王子の発言が無視できなかった私は一瞬、隙ができて、結界ムラができた。
「ルリ、気にするな」
ヴァーミリオンが優しく諭す。
「ええ」
アレク王子は
「皆、結界が敗れ次第金山を目指せ!」
と兵士達に命じる。
金山には入り口を守る竜がいる。
しかし、中は人しか入れない為そこを狙うつもりだ。
王子は竜を、エライザ様は街を集中的に攻撃するつもりだ。
エライザ様は結界の隙から硝子を割るように結界を破ってしまった。
それを機にアレク王子はデ・シャールに攻め入る。
「こっちは俺にまかせろ!」
ヴァーミリオンは私に言うとパルデールを制圧する。
かといって攻撃はしない。
なるべく死者を出さないつもりが彼らしい。
私はエライザ様と向き合う。
「あなたにしてはなかなかやるじゃない。
急にどうしたのかしら?」
あなただけの力じゃないはずと挑発しているつもりだ。
それには何も返さない。
するとそのつもりならと彼女は側にある家屋を破壊し始める。
「あなたの狙いは私でしょ?
攻撃しないで!」
人はいないようねと壊された建物を見て安心するが
「あなたも返したら?
それとも力があっても使いこなせない?」
と彼女はまだ私を試す。
「いいえ。
無駄な攻撃はしないだけです」
「嫌味ね」
それだけ言うと彼女はヴァーミリオン目掛け攻撃した。
バン!と鈍い音と共に眩しい閃光が彼に当たると彼は地上にズザッと倒れて辺りは砂埃が上がる。
「嘘!?」
これには他の兵として戦っていた竜も動揺してパルデール軍に威嚇し火を吐く者もいた。
トドメの一撃をエライザ様は今にも放ちそうだ。
「させない!!」
すると赤い光が指輪に宿ったかと思うとヴァーミリオンを守るよう放った結界はエライザが放った攻撃に跳ね返されキャア!と彼女は避け損ね、悲鳴を上げる。
「エライザ!」
彼女の側に寄り添うアレク王子は私を睨むがヴァーミリオンの側に寄る私には誰も近づく事はできない。
力が有り余るのだ。
倒れたヴァーミリオンに近づくと彼は荒い息をしていた。
「ルリ、無事か?」
「馬鹿!自分の心配をしなさい」
「ひでえな。人が致命傷負ってんのに」
段々と言葉数が少なくなる彼を目の当たりにする。
(嫌だ!
いつもみたいに憎まれ口叩いてよ!)
私は祈りを込めると彼にそれが伝わるように口付けをすると、私達を斬りかかろうとするアレク王子が残像のように何かに弾かれたように見えた。
指輪から現れた眩しい光はヴァーミリオンと私を包み込むとそれはみるみる彼の鱗の傷を癒やし始めた。
「王子!」
「エライザ様!」
倒れていたアレクとエライザは兵士の呼びかけで目を覚ました。
「お2人共、竜が光に包まれました!」
周りにいる竜はまだこちらを威嚇している。
エライザはまずは周りにいる竜を攻撃再開しようとする。
しかし、力の差は明らかだった。
光から現れた紅い竜は鳴き声だけで攻撃の波動で咳止められ地割れが起きてしまい、その地割れは彼らの足元まで来てしまった。
揺れは収まりを知らず、こうなると闘いどこではない。
地震だ。
「皆、撤退だ!」
アレク王子の一声で軍やエライザはデ・シャールを後にする。
後の金山は地震の震源に近いのですごい音を立てて崩壊する。
「そんな!金山が!」
パルデール軍は俺達の金山がとショックを隠せない。
「あれだけ戦ったからな」
目を覚ましたヴァーミリオンは呟く。
「助かったのね!
でもどうして平気そうなの?
金山は竜にとって大事なものじゃ?」
「掘れば破片くらいは出てくるさ。
まあ、地脈から金の力を俺達は得てるから俺達の力は今、半分もないくらいだが」
それを聞いたアレク王子は動きを止める。
ーーが、ヴァーミリオンはそれを逃さない。
「おっと、かといって俺らは弱くなったがお前らには負けねえよ」
竜の姿になり、彼らの目の前で口を開けるヴァーミリオンは炎を口に蓄えてる。
「ここはデ・シャールの土地だ。
戦をすると地龍を怒らそるぞ。
2度と領地を荒らすな」
「ひっ!」
彼は存分にアレク王子やエライザ達を震え上がらせてみせる。
聖なる力で復活した紅竜は更に力を増し、その前にパルデールは敗北した。
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