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10話 だからデートじゃありません

「まあ、じゃあ明日は可愛くしなきゃじゃない」


シスター長に休みをもらう為、理由を話すと彼女は意気揚々とした。


「え?」


「だってデートでしょ?」


「ええ!?違います!」


ヴァーミリオンにそんな考えがあって私を誘ったとは思えない。


確かにデ・シャールや金山について教えてもらった時や今日だって2人でいたけど。


(あれはデートじゃないし!)

第一自惚れだわ!と感じているとシスター長はため息を吐いて


「まあいいわ。

そうだわ!クルシュに服を借りたらどう?」


クルシュは先輩のシスターだ。

彼女の休みの日の私服は確かに可愛らしい服ばかりだ。


「まかせてシスター!ルリ、後で私の部屋でファッションショーするわよー」

側で話を聞いていたクルシュもなぜか気合十分といった様子だ。


「だからデートじゃないんだけど」


そんな私の呟きは2人の楽しそうな会話に置いてきぼりになった。



♦︎


翌日、クルシュの手によって私は「変身」されられてしまった。


「ルリ、すっごいかわいいわ!」

「本当?さすがクルシュ!」

「でしょう♪髪も巻いて正解だったわ」

クルシュはまあねーと私の変身ぶりにご満悦だ。

私の髪はいつもの組紐からシフォンのリボンを後ろでハーフアップにしてもらった。


「普段メイクが薄いから甘めにして大正解だったわ」

クルシュは私にねっと言いながら鏡を一緒に見た。

「靴も違ったの履いたら?貸すわよ」

いつもの楽な背の低いブーツは今日は封印ねとクルシュはそう言ってつま先が尖ったパンプスを渡してくれた。


「なんか、今から緊張するわ」

ただヴァーミリオンと出掛けるだけなのに。


「大丈夫よ、ルリ。

これで落ちない男がいたら間違いなくその男に問題アリだわ」


「だからそんなんじゃないのよ」





(どうしてみんなデートって言うのかしら?)

女子が多い職場だから皆、恋に飢えてるのかもしれない。


弁解虚しく、結局見送られ私は街の竜と聖女の像の前に着くと彼は先に着いていた。


「ヴァーミリオン、お待たせ」

待たせてごめんなさいと謝ると彼は

「おう、いつもと違うな」

と私の変化に気づいた。


「シスター達に話したらこうなって」


前回のカラフルな服ではなく、淡い色のロングスカート のワンピースに耳飾りに小さなバッグを持った格好になんだか自分でもドキドキした。


「よく似合ってる。

じゃあ行くか」


ヴァーミリオンが笑顔のまま先へ進もうとしたので驚いた。


「どうした?」


「意外、あなた嫌味か何か言うかと思ったのに」


「お前の中で俺がどんな奴か分かったよ」


彼は不貞腐れそうになったが私の方に手を差し出した。


「お手をどうぞ」


「遊ばないの」


まるでいつもの彼と違う。

なんとなく、初めて会った時の紳士的な彼を思い出した。


なかなか悪くない彼の態度に私は上機嫌になった。



ルノワの街は平和だ。

私が元いた教会は田舎にあったけ街は栄えて楽しい。


お互いに色んな店に入って買い物や食事を楽しむ。


異世界に来て楽しいと思ったのは久々だ。


ここには戦がない国だから街には銅像はない。


加えて街は栄え、近代化が進んでいる。


「すごい国だな」

関心したヴァーミリオンは私の隣で呟く。

「ええ」



そうして街中心を長らく歩くと緑が少なく人が多いせいかヴァーミリオンは疲れたように見えた。


「デ・シャールに戻って丘に行きましょうか?」

見かねて提案すると

「ありがとう」

と礼を言われる。



「いいのよ。

昨日ももっとコスモス畑ゆっくり見たかったし」

結局デ・シャールのコスモス畑で帰り際にルノワで買ったドリンクを飲む。


昨日夕方に訪れた景色とは違い、今日は私達の他にも家族連れや人がいる。


草や花の匂いの中、笑い合う声が聞こえて、こうしてると今、戦争してるのが嘘みたいに思えてくる。


(今度、ここでヴァーミリオンとピクニックもいいかも。って何次を考えてるのよ)


なんで彼といる事を当たり前のようにいる事を考える自分がなんか恥ずかしい。


すると彼が自分を見つめている事に気づく。


それはどこか私がコスモス畑を見て綺麗と感じた時と同じような顔に感じた。


「あんまり見られると恥ずかしいんだけど」

「すまない」


(私、綺麗・・・とか思われたのかしら?)

自惚れかもだけど。


(私、ヴァーミリオンに見られても嫌じゃなかった)



「私、ここに長くいるかも」


「お前は気を遣わなくていい」

それは、らしくない事言うなと彼は言っているみたいで私はすぐに言葉を返せなかった。


*・゜゜・*:.。..。.:*・・*:.。. .。.:*・゜゜・**・゜゜・*:.。..。.:*・・*:.。. .。.:*


ここまで読んで下さりありがとうございます!

気に入って頂けたらいいねやブクマ、感想よろしくお願いします!

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