メシア予言に基づけば、日本から救世主が現れるんだ! でもね、私の救世主は...
遠くでセミの声がする。明日から夏休みだ。終業式の後の放課後に、ご飯を食べながら、先輩と休みは自由に遊びたいな、なんて思って誘おうとしていた時だった。
「...後輩君」
「はい? 先輩?」
「ごめん...」
なぜか、先輩はウインナーを弁当箱にポトッと落として、申し訳なさそうにそう言った。
「...どうかしたんですか?」
「...私は、どうしていいか...わからない...」
「えっ...?」
いきなり、先輩は、ぽろ...ぽろ...と涙を流して、弁当箱を閉じてしまった。
「せ、先輩...?」
「でも、後輩君、私はね、後輩君が、メシアだったと思うよ...」
「メシア...?」
「メシア予言だよ...世界の終末に、救世主メシア...世界を救う人が現れて、世界を救うんだ」
「はい...」
「私の終末はきっと、今学期だったんだ、後輩君はきっと、救世主だったんだね...」
どうしたんだろう、いつも気丈にふるまっていた先輩が、なぜかとっても弱気だ...
「せ、先輩...?」
「もう行くよ、後輩君、今までありがとう、本当に楽しい日々だったよ」
「先輩待って、何があったか話してください」
「...君に、君が、傷ついてほしくない...」
先輩は、階段を下って行ってしまった。
「せ、先輩...?」
――――――――――――
僕は、バカだ。
ああ、本当にバカだった。
なんで先輩のことをもっと知ろうとしなかったんだろう、なんでもっと寄り添えなかったんだろう。
出会いがコードロジーだったから?
陰謀論ばかりが先輩から出てくるから?
先輩が統合失調症だから?
先輩がプレアデス星人だから?
関係なかった。先輩は、大切な、大切な、僕の恋人で、誰よりも大切な想い人だったんだ。
お弁当を作ってきてくれて、自分の知っていることを楽しそうに話してくれて、きっと先輩なりの心の開き方だったんだ。きっと不器用な先輩が、僕に優しくしてくれていたんだ。
なのに...なんで僕は...あんなに壁を作ってしまったんだろう、いつも、ペラペラの壁一枚で、先輩を好きだと口では言いつつ、隔てていたんだ。僕は...馬鹿だ。
「先輩...先輩...」
教室に人はいなかった、早く見つけなければ...でも...どうすれば...
その時、僕は先輩の言葉を思い出した。
『アセンションだよ、高次元へ波動を高めるんだ』
アセンション...高次元へ波動を高める...僕は落ち着いて、高次元に意識をつなげる感覚をなんとなく感じてみた。思い出すんだ、先輩の言葉を。
当時は胡散臭いと思った。でも、僕はプレアデス星人だ。きっと、エンパスだ。先輩の気持ち...きっと僕が好きだったんだ。
コードロジー...そんなの嘘だと思った。でも...今だけは、今だけは縋るしかないんじゃないか...ケータイで検索する。
コード271...公の場で裸になる...
僕は血の気がサーっと引いた。
教室から校庭を見た。先輩と、いつもバカにしに来ていた4人の先輩たちがいた。
――――――――――――
ごめんよ、後輩君...キミが苦しむ姿を見るくらいなら...
「おら、早く脱げよ」
「ふん、私に振られたからって、そうやってすぐカッとなる、精神性の低い地球人の特徴だね」
「うるせえよ、糖質女。裸を晒して俺と同じようにバカにされろよ、お前に告白したせいで俺は馬鹿にされまくったんだ」
「当たり前だろ、金髪のチャラい見た目で、偉そうに告白してきた時点で、次元の低い人間だと思ったんだ。こんなことして、私の見立て通り、魂の程度が低いのさ」
「チッッッ!!! この野郎!!! いいのか! 後輩を集団でいじめてもよぉ!」
「くっ...わかったよ、脱ぐよ...」
私はファスナーに手をかけた。
もう、学校には来れないな、穢れてしまったら、後輩君とも会えないなぁ...
...本当にごめんよ、後輩君...大好き...だったから...
「待て!!!」
「ああ!?」
――――――――――――
僕は、全力で走った。先輩たちのところに、真っ先に来た。先輩は、泣いていた。
「後輩君、ダメだ! 私が犠牲になるから! 後輩君は逃げて!」
「ほーん、面白いじゃねえか、俺たちに立ち向かってくるなんてよぉ」
「はっ、両方そろって、いじめて学校に来れなくさせたら面白んじゃねw」
「いいじゃんw じゃあ、俺らはこいつをボコるわw 最近喧嘩とかしてこなかったからよw 久々だわぁw」
「じゃあ、俺はこいつが無様に地面に伏してから、レイプさせてもらうぜありがとな、お前ら、花持たせてくれてよ!」
「後輩君! 逃げて!」
「先輩、大丈夫です」
大丈夫だ、なんでかって?
「お、イキってんじゃん後輩w」
「ふはw 3人に勝てるわけないってw」
「お前、死ぬほど弱そうだしなw」
あーあ...本当はダメなんだけど...
僕は身長167cm、体重66kg 清水若葉
僕は陸上部に興味があってこの学校に来たんだ。でも先輩と付き合うから、陸上部に入らなかったんだ。
「おらいくぜ!」
「一発目で伸びるなよw」
「まあ、気絶しても許さねぇけどなw」
そしてお父さんは...格闘家だ。
――――――――――――
ピクピク...ピクピク...ピクピク...
「あ、あわ・・・あわ・・・ヒッ...く、来るな...」
「来るな...? そうかぁ...来るな...ねぇ? じゃあ、どうすべきだと思う?」
「・・・・・・せ、先公に言いつけるぞ!」
「言いつければいい。軟弱な人間のよくやることだ。敵わない相手に立場が上の相手をぶつけようとする。言いつけて、僕が謹慎を食らって、最悪退学になっても、僕はお前を許さない。当たり前だろ、顔を陥没させられたいか? それとも骨折したい? それが嫌なら...わかるだろ?」
「...わ、分かった! もうお前らとはかかわらない! だから許してくれ!」
「足りないだろ、なんでこうなったか、今から職員室に行って、話す、そして謝れよ」
「は、はぃ...」
「...ッ!!声が小せえよ”!!! 人にここまで迷惑かけといて!!! 人の女に手ぇ出して!!! 果ては甘っちょろく許してもらおうなんざ生ぬるい”!!! 殴りてえ気持ちでいっぱいなんだよこっちはよぉ”!!!」
「は、はぃぃ!!! す、すみませんでしたぁぁぁぁあ!!!」
「こ、後輩君...」
僕は先輩の方に向きなおした。
「...先輩...ごめんなさい」
「いや、私こそ、何も相談しなくて...申し訳なかったよ...」
――――――――――――
そのあとは、職員室に行って事情を説明した。
血だらけであざだらけの先輩たちを見た先生たちは「何があった」と、緊張が走った。
結果として、校長室に呼ばれて、まあ、色恋沙汰からの喧嘩沙汰は、よくあることのようで、校長先生は、中立的な観点から、結論として先輩側が、夏休み中の謹慎と、夏休み後の停学処分、僕は反省文提出になった。
それで、先輩は、スクールカウンセラーに行くことで話がついたのだった。
――――――――――――
辺りはすっかり暗くなり、帰りが遅くなってしまった。
「後輩君、名前で呼んでもいいかな...?」
「え、いいですよ」
「あと、名前で呼んでもらえるかい?」
「はい、全然かまいませんよ」
先輩は、僕の腕に縋りついて、イチャイチャしてくる。なんだか、一気に距離が縮まりすぎでは...?
「それじゃあ、若葉くん...♡」
「ひ、ヒロさん」
「さん付けじゃないほうがいいなぁ」
「ひ、ヒロ...」
「うんうん! 若葉君!」
「ヒロ」
僕たちはバカップルになってしまったのかもしれない...
「それじゃあ、今夜は、ホテルに行こうじゃないか」
「ホテルですか!?」
「ああ、やることは一つ...だろ♡」
「ひ、ヒロ...」
そこから、僕とヒロは、ホテルに行き...
続きはノクターンで!
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