開戦 日本侵略
兵士は迷わず撃った。
ねらい通り、小隊長の体に穴があく。
それに止まらず、周りにいる兵士も撃ち殺していく。
手にした自動小銃だけではない。
手榴弾も使っていく。
不意打ちになったのもあり、小隊は全滅した。
「ざまあみろ」
倒れている兵士達を見て呟く。
銃撃を加えた兵士の目には、怒りと憤りがともってる。
敵に向ける以上の敵意があった。
「なにを……」
倒れてる小隊長が非難を口にする。
苦痛に悶えながらも兵士を睨みながら。
そんな小隊長の足を撃ち抜く。
「ぐっ……」
くぐもったうめき声。
もう一つの足と両腕を撃ち抜いた時にも同じように声が漏れた。
「こんな事して……分かってるのか……」
痛みに顔をしかめながらも小隊長は非難を続ける。
いつもの事なので兵士は無視した。
後処理はまだ終わってない。
倒れてる他の兵士たち。
それらにとどめを刺さねばならない。
まだ生きてる者もいる。
それらが攻撃してくる可能性がある。
まずは手にした小銃で撃ち抜いていく。
死体かまだ生きてるかを問わずに。
兵士の場所からは一目で確認できない。
だからといって近づくのも危険だ。
なので、状態を確かめる事無く銃弾を撃ちこんでいく。
無駄も出るがこれなら確実に殺すことが出来る。
当然銃弾が足りなくなるが問題は無い。
銃弾も手榴弾も、予備はそこらに転がってる。
死体と死体にした連中が身につけている。
それらを回収すればいい。
一個小隊、24人。
定員に届いてないのは臨時編成だからだ。
そもそも、自衛隊は人手不足で定員をまともに満たせた事はないが。
それが戦争になって急いで作られた小隊ならなおさらだ。
本来ならあと10人は加わってるのだが。
急いで兵隊を作ってる今の日本に、定数を満たす余裕は無い。
ただ、一人で持つには充分すぎるだけの弾薬がそこにはある。
なにせ24人分だ。
一人では持ちきれない。
偵察用のバイクが無ければ、幾らかは諦めねばならなかっただろう。
それらを持ってる連中を確実に仕留めていく。
特に恨みのない奴もいれば、絶対に生かしておきたくない者まで。
様々な者が混じってるが、平等に対応していく。
例外なく殺すという事で。
それらが終わり、残るは小隊長となった。
防衛大学を出て少尉になって二年という。
まだまだ若い。
だが、この小隊では最も軍人らしい軍人だ。
だからこそ生かしておくつもりはなかった。
「なんの……つもりだ……」
声も絶え絶えになってきてる。
生命が残りわずかなのだろう。
「こんな事して……戦争はどうなる」
「知るか」
心底どうでも良い事だった。
確かに日本は攻めこまれている。
これまでの懸念通り、中国と北朝鮮が動いた。
北朝鮮の核ミサイルによる先制攻撃。
これにより主要都市や防衛拠点が潰された。
後に判明するが、これは中国からの支持だった。
中国が核攻撃をしたら大げさになる。
他の核保有国もそれなりの反応をするだろう。
だが、北朝鮮ならさほど大きな波紋にはならない……そういう思惑があったと言われる。
その後に始まった中国の侵攻が裏づけになった。
事前に示し合わされてなければ、こうも迅速に動けるわけがない。
北朝鮮を矢面に立たせたわけだ。
おかげで日本の防衛力は大幅に低下した。
そこを突いて中国は海を渡る。
海軍力はかなりのものと言われた日本だが、本土を核攻撃された直後だ。
迅速に対応できるわけがない。
まともな防衛能力を失った日本は、あっさりと海を渡られた。
それも以前から心配されてきた尖閣諸島などではない。
それらをあっさりと無視した中国は、沖縄と九州に上陸していく。
それとほぼ同時に、朝鮮半島からも侵攻軍が到来。
これらは北朝鮮によるものではない。
韓国軍によって行われた。
この上陸部隊は九州と中国地方北部に向かい、あっさりと上陸した。
これは北朝鮮が韓国首都のソウルを占領するよりも先の事。
韓国は韓国の意思・政治判断で日本侵攻を実行したのだ。
その後、北朝鮮に実質的に組み込まれていく事になる。
名目上、韓国政府は存続したまま。
韓国のアメリカとの同盟を利用するためだ。
名目だけでも韓国が存在するために、アメリカは韓国軍を攻撃できない。
その韓国軍は中国軍と合流していく。
同盟国への攻撃を避けるために、アメリカは中国軍を攻撃できなくなった。
後続の北朝鮮軍もだ。
さすがにあわてた日本は、急いで防衛体制をととのえる事になる。
残存する自衛隊部隊を結集して、何とか撃退をしようとする。
しかし、指揮系統や主要施設が破壊された自衛隊は効果的な動きが出来ない。
そもそも、人数も装備も劣る状況では効果的な対処など出来ない。
単純に装備・兵器の質ならそれほど悪くはないかもしれない。
しかし、自衛隊が持ってる兵器は数が全然足りない。
戦車にしろ戦闘機にしろ、削減を続けてきたのだ。
まともな戦力として対応させることが出来るわけがない。
おまけに、核攻撃で更に数を減らしている。
海上自衛隊は陸上と航空と逆に強化されてはいたが。
港ごと核攻撃で破壊されては意味がない。
仮に生き残っていても、はたして効果的な対処が出来たかどうか。
なにせ、敵は上陸されてるのだ。
そうなれば陸地を伝って軍港へ向かうことが出来る。
そうして地上施設を制圧されれば終わりである。
海の上で敵を阻止するという絵空事は、本当に無駄な構想で終わった。
そんな中で日本は、徴兵制を復活させた。
少しでも兵隊を集めるためだ。
とにかく数がなければ話にならないと。
憲法違反だなんだと言ってられない。
国家存亡の危機である。
法律より生存を選ばねばならない。
邪魔になるなら法律など踏みにじるしかない。
法治国家である事を優先して国家が滅亡したら元も子もないのだから。
そうして急遽集められた比較的若い年代の男達。
これらは即席の訓練を施して戦場に放り込まれていった。
銃の扱い方と、最低限の隊列の組み方。
号令があればすぐに射撃姿勢がとれうように。
その程度の訓練しか施されなかったが、何よりも人数が必要なのだ。
広範囲に展開する敵に対抗するには、ある程度の人数が必要なのだから。
そうして集められた男達だが。
全員が防衛に意欲的だったわけではない。
むしろ、各地で反乱や反抗を発生させていく事になった。
今、ここで兵士が行ってるように。
「なんでこの国を守らなくちゃならねえんだ?」
倒れる小隊長に兵士は尋ねる。
怒鳴り声で。
「この国が俺達に何をした?
まともに就職も出来ない、アルバイトだけで食っていくしかなくて。
あげくに、税金で稼ぎも巻き上げてく」
明確な怒りがそこにあった。
兵士の言うとおりだった。
不景気という事でまともな就職はなかなか出来ない。
社員になれてもブラック企業が関の山。
そんな所にすら入れずに、アルバイトをするしかない事も多い。
特に兵士の世代はそうだった。
バブルが弾けてまだ立ち直ってない頃に就職の時期がやってきた。
そこで失敗して前途は大きく閉ざされた。
かすかに残ってる道は険しく厳しいもの。
ほとんど存在しないような道をそれでもどうにか歩いてきた。
兵士だけではない。
兵士の世代の多くが。
その後の世代も、その時代時代の不景気で泣きを見た者たちがいる。
その数は決して少なくはない。
全体の比率からすれば少数派であってもだ。
実数としてはかなりのものになる。
そうした者達が、何とか生き残ってきたところで、増税だ。
かろうじて食っていけるだけの稼ぎは更に減少。
一人で生きていくのは難しくなった。
実家に戻ってもかなり厳しい。
他の誰かと協力してルームシェアでもしないと生活が成り立たなくなっていった。
その増税の理由が軍備増強。
ロシアがウクライナに攻めこんだ事で、戦争がいつでも起こりうると誰もが感じた。
日本も他人事ではなかった。
中国の動向は常に危険なものだ。
定期的に対地攻撃ミサイルを放つ北朝鮮も。
これらがいつ日本に攻めこんで来るか分からない。
なので軍備増強という事になった。
その為の金が無いのが問題になった。
だから増税である。
現状の予算をやりくりして捻出するのではなく。
何かを削除・減少させてではなく。
そのおかげで軍備が少しでもマシになればまだ良かったかもしれないが。
防衛予算が増強されても別に自衛隊が強化されるわけでもない。
装備品が増えるわけでも、防衛用の陣地が出来上がるわけでもない。
多くの国家予算がそうであるように、それらはどこかへと消えていった。
そうしてるうちに戦争になった。
徴兵制になり、男は兵隊にかりだされた。
徴兵によるものだ。
中には、徴兵とは無関係に兵隊の募集に応じたものもいる。
その多くは生活に行き詰まった者達だ。
彼らは食い扶持を求めてここに駆け込んだ。
まともな生活が成り立たないのだ。
ならば、衣食住はとりあえずあるはずの自衛隊に駆け込んだ。
他に生きていく道がない者が多かった。
それが仕組まれたものだとしてもだ。
生活が困窮するほどの増税。
そうする事で、兵士にならざるえない者達を増加させる。
これらは政府の策略だったのではないか。
そう考える者もいた。
必要になる兵士の確保の為に、他で生きていけなくする。
幾らか頭が働く者はそう考えた。
兵士もその一人だった。
「で、そんな事をする国をどうして守らなくちゃならない?」
「なにを言って……」
パン。
引き金を引いた兵士が小隊長を撃ち抜いた。
「……質問を無視して話を変えるな」
更に引き金を引いて体の穴を増やしていく。
警告だった、余計な事を喋るなという。
でなければ、痛みが更に増えるぞと。
「負ければ中国の支配下。
そりゃあ大変だろうな。
なんてったって独裁政権だ。
ネットで少しは聞いたよ。
共産党の悪口すらも許されないってね」
それはそれで息苦しい世界だろう。
日本よりも酷い政治なのだろう。
そうなりたくないというのは分かる。
「だからなんだ?」
兵士にはどうでも良いことだった。
「生きにくいのは今だって同じだ。
中国よりマシだからって、日本が住みやすいわけじゃない。
ここで勝てば、また苦しい生活になる」
そうなったらどうなるのか?
その時の生活はどうなるのか?
兵士の人生は?
「中国と変わんねえよ」
これが結論だった。
中国が勝てば本場の独裁政権による苦しみが待ってる。
だが、日本が勝てば生活が成り立たない苦しみに戻る。
どっちに転んでも最悪なのは変わらない。
「だったら、どっちが勝ってもいいんだよ」
兵士の人生が苦しいという事実は何も変わらないのだ。
「だったら、日本を潰す。
俺をここまで苦しめてんだからな」
「ふざけ……」
パン。
銃声と共に小隊長の右手が吹き飛んだ。
「ふざけてんのはどっちだ。
こんなクソな国を守るために、死ぬかもしれない場所に放り込みやがって」
明確な恨みが兵士の心にある。
危険ではあるだろうが、今のところ直接何かをしたわけではない中国。
それに対して、自分の国の者達の生活を困窮させてくる日本。
どちらの方がよりはっきりとした敵なのか?
これまで兵士をなぶり続けたのはどこの誰なのか?
考えるまでもない。
実際に生活を奪っていった日本だ。
「どうせ悲惨な事になるなら、まず日本を潰す。
俺にここまで酷い事をしてきたんだ。
少しはやりかえしてやらないとな」
ここで日本が勝ったらそれも出来ない。
他国と戦争をして余裕のない状況でしか反撃の機会はない。
だから、絶好の機会を使う。
この戦争で日本には潰れてもらう。
滅亡してもらう。
第二次世界大戦の敗戦でも出来なかった亡国を成し遂げる。
「中国は、運が良ければ潰すよ。
占領されてから反撃をしてやる。
そうしてる間に殺されてるだろうけど」
「馬鹿なことを……」
パン。
小隊長の左手が吹き飛んだ。
「あとは、テメエだ」
そう言って兵士は両肘と両膝を吹き飛ばす。
小隊長がまともに動けなくなるように。
それからナイフを手にする。
「さんざんいたぶってくれたな。
訓練とかいって。
ふざけんなよ」
自衛隊などの軍隊では当たり前かもしれない怒鳴り声。
体罰も含まれる訓練は、兵士にとって苦痛でしかなかった。
殺意を決定的にするのに充分なほどに。
軍隊ならではなのだろう。
体育会系というものに付きまとう気質なのだろう。
怒鳴り声と人格否定。
部活からブラック企業まで根深く残る性質は。
当然ながら自衛隊にも存在している。
小隊長もそんな自衛隊の気質をしっかり持っていた。
無駄に暑苦しい運動部と言えば良いだろうか?
目標達成のためにどんな無理もする。
あらゆる無理強いを兵士に強いる。
それが当たり前で正しいと思い込んでる。
そんな小隊長が兵士は嫌いだった。
他の兵士からも嫌われていた。
一部のこういった空気に馴染める者達もいたが、それは例外だった。
だから兵士は小隊長を殺していく。
出来るだけ長く苦しめられるように。
銃弾などで簡単に殺しはしない。
急所を避けながらナイフで体を切り裂いていく。
少しでも長く苦しめるために。
「なあ、第二次世界大戦が終わってから将校がどうなったか知ってるか?」
切り裂きながら尋ねる。
悲鳴をあげるだけで小隊長は聞いてもいないようだった。
普段、威張り腐ってるのに、こういう時に苦痛を堪えないというのが情けない。
気合いと根性を見せろよと兵士は思う。
「兵隊を率いていた将校とかだけどな。
散々威張り腐ってたのに、戦争に負けたじゃねえか。
じゃあ、俺達なんで耐えてたんだ、って兵隊は思ったらしい」
ネットで見聞きした話だ。
「だから、帰りの船とかで、海の上に放り出したってな。
まあ、当然だよな」
事実かどうかは分からない。
だが、おかしな事は何もないと思う。
傲慢にふるまったのに結果を出せなかったのだ。
報復があって当然だ。
「そうなる前に、背中から兵隊に撃ち抜かれる奴もいたそうだな」
誰もが銃を持ってるのだ。
殺意をもたれればそこで殺される。
おかげで味方に殺される将校もそれなりにいたという。
これも当たり前の事だ。
何も戦争が終わるまで待つ理由はないのだから。
「そうなる可能性をこれっぽっちも考えないんだな。
お前らみたいな奴等は」
兵士には不思議だった。
防衛大学を出たくらいだ。
頭は良いはず。
なのに、これをやったらどうなるかという想像力がない。
防衛大学は偏差値でいうと68あたりだという。
かなり高い。
相応の頭脳を持つ者が集まってる。
戦争中の日本も同じだ。
その頃は東大以上の頭を持つ者が集まっていたという。
そういう者達が、なぜか兵隊から殺される可能性を考えない。
考えずに傲慢な態度をとる。
そして、味方に殺される。
本当に頭が良いのかと疑問に持ってしまう。
兵士もそれが不思議だった。
頭が良いはずなのに、なんで頭の悪い事をするのだろうと。
しかし、実際に小隊長に会ってみて何となく分かった。
血の気が多いのだ。
小隊長などはやたらと好戦的だった。
マウントを取りたがるというか。
自分が偉いというのを示し、見せつける。
兵士達にそれを受け入れさせようとする。
しなければ気が済まないというように。
(支配欲のかたまりだ)
兵士にはそう思えた。
そうとしか表現のしようがなかった。
なぜそうなのかは分からなかったが。
分からないが、そういう性質なのは分かった。
持って生まれた性分なのだと。
決して変わることはない。
自分がおかしいとも思わない。
ごく自然体で傲慢に動く。
そういう連中なのだというのを、兵士は何となく察した。
面倒な連中だ。
だから生かしておくつもりもない。
確実に自分の手で殺したかった。
いずれ戦場で死ぬかもしれないのだから
そうなる前に、せめてこいつだけでも殺しておこうと思った。
問題なのは小隊の他の者だった。
不満を持つ者もいるが、大半が仕方ないと受け入れていた。
戦争で負けたら元も子もないと。
そう思って、不満はあっても小隊長に従っていた。
だからまとめて殺すしかなかった。
小隊長に従い、兵士を攻撃してくる可能性がある。
そうならないように、小隊長ともどもやるしかなかった。
そうして小隊を潰滅させ、兵士は目的を達成した。
残るは小隊長だけ。
こいつだけは他の奴等のように楽に殺すつもりはなかった。
治療も出来ないようなに切り裂き、死ぬまで放置する。
せめて死ぬ瞬間まで苦しんでもらはねば気が済まない。
「じゃあな」
処置が終わった兵士は小隊長を放ってその場を去る。
銃弾などを回収し、バイクに乗り込む。
来た道を戻り、日本の内部へと向かう。
次に殺す標的を考えながら。
生かしてはおけない奴は多い。
政治家、官僚、自衛隊幹部、財界人…………。
身近にいた、自分をバカにしてた連中もだ。
自分を追い込んだ者達をそのままにしたくなかった。
全員は殺せなくても、少しでも道連れを増やしたかった。
そんな思いを抱いて兵士は戦線から遠ざかる。
まだ生き残ってる日本を目指して。
この兵士だけではない。
日本各地で同じように動いてる者が他にも大量にいた。
それらは恨みの対象でしかない母国への復讐を始めていく。
これらもあり、日本国内は混乱。
防衛どころではなくなっていく。
それでもどうにか対抗はしていたが。
アメリカすらも見放した事で日本は滅亡した。
北朝鮮のミサイルが日本各地を攻撃してから一年も経たない頃に。
その後、日本は独裁政権の下におかれる事になる。
多くの日本人は苦しみの中で生きていく。
だが、一部はさほど落胆も悲嘆ももらさずにいた。
「なんだ、変わらないじゃん」
小隊長を殺し、警察を撃破し戦後まで生き残った兵士。
彼や彼と似たような思いを抱いていた者達は、占領された日本になじんでいた。
戦争前の日本と、独裁政権の下にある日本。
そこでの暮らしに何の違いも無かったのだから。
上が変わっても下の暮らしに変化がない。
ならば文句をもらす事もない。
これ以上悪化したなら話は別だが。
今のところそのなる可能性は無い。
他の多くの日本人は違うようだが。
そんな事、兵士には何の関係もない。
社会の最底辺だった兵士である。
生活水準がそれ以上下がることはなかった。
被害を受けてる者達は可愛そうかもしれない。
しかし、赤の他人がどうなろうと知った事ではない。
生活に苦しんでる兵士を助けなかった奴らなどどうでも良かった。
「何のために戦争してたんだ?」
こうなると不思議になってくる。
中国に制圧されたら今の生活も危うくなると言われていた。
だが、他の多くの日本人はともかく、兵士の生活は以前と変わらない。
最底辺が最底辺のままになってる。
だったら、命がけで戦う必要など無かっただろうにと思ってしまう。
他の多くの日本人は違う。
中国人の下の地位におとされた日本人は奴隷扱いだ。
普通の人々は普通を失ってる。
しかし、もともと下だった兵士は底辺のままだ。
無理して戦う理由など全く無かった。
「何のための戦争だったんだか」
無駄な抵抗をしないで素直に占領されていたほうがよっぽどマシだ。
天皇や皇室・皇族の首はとんだようだが。
あと、何人かの政治家も。
しかし、そいつらの生死など兵士には関係のない事だった。
「そんなのを守るために戦わされてたのかよ」
余計に腹が立つくらいである。
こんなわけで、兵士は現状にそれなりに満足していた。
不満がないわけではないが、納得していられる。
ただ、どうしても許せない連中もいる。
兵士と同じように生き残り、以前と同じ立場や地位を守ってるやつらだ。
ほとんどの政治家や官僚、財界人などがこれだ。
これらの大半は以前と変わらぬ立場で生きている。
独裁政権の下で独裁政権運営を担ってる。
戦争が起こっても上手く中国に取り入ったようだ。
おかげで以前のような立場を確保している。
腹が立つのは、そんな連中こそが戦争をあおり、兵士のような者達を死地に送り込んでいた。
日本のためといいながら。
結局は自分の地位や立場を守るために。
それは戦後も上手くいったようで、今も以前のような地位にいる。
それだけはさすがに許しがたい。
「どうにかしないとなあ」
そう呟く兵士は行動にうつっていく。
同じように考える者は他にもいる。
その多くは、兵士のように馬鹿げた戦争から逃げだして生き残った者達だ。
それらと手を組み、兵士は行動を開始していった。
政治家や官僚、財界人などの旧支配者たち。
それらへの襲撃事件が多発していくのは、それから程なくだった。
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それにしても
こうなる事を誰も考えないのかねえ?
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