表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドンドン商店街殺人事件  作者: お針箱
5/7

死の接吻

「ピーナツアレルギーの


20歳の女の人が


ボーイフレンドとキスした後


アレルギー反応をおこして


呼吸困難になって


死んじゃったんだって


ボーイフレンドはキスする前に


ピーナツバターサンドを食べてたんだ


そんな話をテレビでやってた」




アレルギーと聞いて


色白の頬を紅潮させた姫が


一気にしゃべった




「死の接吻 と 呼吸困難 か


呼吸困難 ばあちゃんと同じだ


でも蕎麦は?


なぜ ばあちゃんの口に


蕎麦が入ったんだ」




ネコちゃんの眉間に再びしわが寄った




「ばあちゃんは うちの蕎麦


食べてくれたことないけど


なぜだろうって 


小さい時から思ってた


そういう理由があったんだね」



納得顔のゴエモンがうんうんと頷いた




「うちの蕎麦を一番たくさん


食べてくれるお客さんといえば


何といっても 


八百屋のせいさんだ


いつも大盛り食ってる」




「じゃあ 


清さんとばあちゃんがキスしたの?」




姫はますます頬を紅潮させている




「まさか


このまえ 蕎麦の食べ歩きするって


長野をドライブしてきて


みやげに買ってきた饅頭を


近所に配ってた」




それを聞いたネコちゃんはハッとした




「その饅頭


ばあちゃんにもあげたのかな?」




「さあ たぶんあげたんじゃない」




「お前んちにも配ったか?」




「うん 蕎麦食いに来た時 置いてった」




「その饅頭 まだあるか?」




「もう食っちゃったよ 


あっ でも


饅頭の箱ならあるかもしれない


『あら綺麗な箱ね』とか言って


母ちゃんがどこかにしまった」




「よしっ 長寿庵 行くぞっ」




訳も分からぬまま


三人はネコちゃんの後につづいた




薄暗くなった商店街を


長寿庵に向かって歩きながら


ゴエモンは姫に尋ねた




「ねぇ 姫 ネコちゃんって 


どうして『ネコちゃん』なの?」




姫は懐中電灯を振り回しながら答えた




「あぁ 僕 同じクラスだったから


憶えてる


4年生の時 


国語の時間に作文を書かされたんだよ


ネコちゃんは お父さんとお母さんの


夫婦喧嘩のこと書いて


みんなの前で読んだんだ




『夫婦喧嘩は犬も食わないというが


うちの夫婦喧嘩は猫も食わない』




あの頃ネコちゃんは猫を飼ってて


とっても可愛がってたんだ」




「だから『ネコちゃん』か


『夫婦喧嘩は犬も食わない』


初めて聞いた 俺 そんな言葉」




「うん 僕もその時初めて聞いた


先生が苦笑いしてた」




「ニガワライ?」




「うん こんな顔」 




美少年がクシャクシャになった


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ