挑戦状
ペンキ屋 電器屋 酒屋
そして 蕎麦屋
閉店後にシャッターポストから
投げ入れられた四つの封筒には
パズルのピースが入っていた
どのピースにも
二文字ずつ文字が書いてあった
そしてネコちゃん宛ての封筒には
挑戦状が同封されていた
『この謎が解けるかな?』
「数字だけなら解けなくはない
でも ハートと星 となると
わからない」
ネコちゃんにも
わからないことがあるらしい
「数字だけなら解けるの?」
ゴエモンは本棚の中の
未知の世界を覗き込みながら
瓶のコーラをチビチビやっている
「うん
ポリュビオス暗号の一種だと思う
でも ハートと星が …
解読するには情報が少なすぎる
換字表がほしいな」
「ポ ポリ ポリバケツ暗号?
カエジヒョウ?」
ゴエモンにとって
やっぱりネコちゃんは
未知の領域の人デアル
「ハートと星かぁ
なんか女の子みたいだな」
男子三名が一斉にしぶ樽を見た
「あたし暗号なんて作れないよ」
四人に再びピースが届いたのは
商店街に夕闇が迫ったころだった
それぞれピースを持って
ネコちゃんの部屋に
もう一度集合だ
用意周到な電器屋の柴崎姫は
懐中電灯を持ってやってきた
ネコちゃんの部屋のテーブルに
九つのピースが並んだ
四隅が揃った
「試しに組み立ててみよう」
「しぶ樽のピース4❤が左上だね」
同じように右上 左下 右下
組み立てていくと
真ん中がぽっかり残った
とりあえずそろった文字を横に読み
書き出してみた
4❤ ★1 67 2❤ ★4
13 ○○ ★3 24 63
「換字表が欲しい
換字表はどこにある」
ネコちゃんは悔しそうに
天然パーマの頭をかきむしった
そして
挑戦状の入っていた封筒を
逆さにして振った
その時
姫がもてあそんでいた
懐中電灯の光が封筒を照らした
「アッ!」と叫ぶと
ネコちゃんは
丁寧に封筒の糊付けをはがし
テーブルの上に広げた
「換字表だ!」