パズルのピース
次の日
四人は再びネコちゃんの部屋に
集まった
しぶ樽が自分の店から
冷えたコーラを持ってきてくれた
炭酸の苦手な柴崎君のために
オレンジジュースを忘れない
ネコちゃんは
テーブルの上の手紙を睨んでいる
手紙には妙な物が同封されていた
「これジグソーパズルの
ピースじゃない?」
しぶ樽がコーラの瓶を片手に
身を乗り出した
あの頃 コーラといえば
ガラス製の瓶だった
「う~ん 確かにピースだ
ピースに書いてある
2❤という文字も気になる
でもこれ一つじゃ何もわからない」
ネコちゃんの眉間にしわが寄っている
ネコちゃんの本棚には
『地球の図鑑』『気象天文の図鑑』
などが並んでいた
本と言えば漫画本しか持っていない
ゴエモンの目の前に
未知の世界が広がっていた
『私は犯人を知っている』
「犯人って じゃあ ばあちゃんを
殺そうとした人がいるの? 怖いっ」
バヤリースが首をすくめた
色白でまつ毛が長く
話し方も優しい柴崎少年の前に出ると
悪ガキどもは我知らず
紳士的な態度をとってしまう
気付けばみんなナイト
そんなところから
ついたあだ名が『姫』
勿論 本人は気に入らない
「なんで『姫』なんだよ」
「おそらくこの手紙の送り主は
ピースを一つずつ送ってくるだろう
一体いくつ送り付けてくるつもりだ?」
ネコちゃんの眉間のしわが深くなった
「いまうちの姉ちゃんがやってる
パズルは2000ピースだよ
そんなにあったら完成する頃には
僕たちお爺さんになっちゃう」
姫は 頭の中で
ハゲ頭を寄せあってパズルに取り組む
数十年後の自分たちを思い浮かべた
数十年後の白髪のしぶ樽が振り向いた
「あたしはお婆さん」
その夜 四人に一通ずつ封筒が届いた
そしてそれぞれにパズルのピースが
一つずつ同封されていた
24・★4・67・4❤
これでピースは五つになった