劣等感にまみれる単純な物書き
「ハーア、へァーア、ハゥハアー……」
呼吸が乱れ、目眩がする夜10時の自室。
1時間で3700字……過去最高記録かもしれん……。
物書きは机上のスポーツ。菱沼海岸まで散歩して帰ってきて2時間昼寝してカップラーメンを食べて小林園のほうじ茶『白露』を飲んでようやくPCに向かった。
これまで〆切は意識していたけれど、ここまで頑張れたのは、ウェブ版で久しぶりに読者から言葉での反応があったから。
やっと更新された、続き待ってた、読んでる。
それだけで舞い上がって筆が進む。物書きとは単純な生きもの。いまなら息子を名乗る者から電話で金銭の要求をされたら応じるかもしれない。息子どころか旦那も彼氏もいない三十路女、森崎夢叶。右に香箱座りのポチ1匹。
ひとしきり作業を終えたところでSNSを閲覧。もりさきゆめかの昨日の小説投稿告知ポストの閲覧数は24、いいね数は3。これはなかなか良い割合。舞ちゃんことまるたんやんまの新規イラストを添付したポストの閲覧数は約3百万、いいね数は約6万。
懇意なフォロワーさんに支えられながら、わたしはきょうも生きている。
それにしても、同期でこの差を見せつけられるとわたしの怠惰や能力が浮き彫りになり、だからと言って何かができるわけでもない現実を突きつけられる。
同期が管理職になったとか結婚して子どもが産まれたとかそんなことは気にしないのに、創作関連で差をつけられると忸怩たる想いになる。
会社絡みで「あいつはもう助役だぞ」とか「俺がお前と同じ歳だったころはもう支社勤務だったぞ」とか言われても「はいはい会社と水が合っていて良かったですね」くらいにしか思わない。けれど、誰に何も言われていない創作絡みで劣等感を抱くのは、わたしのステージはこちらにある、ということなのかもしれない。かなり高い確率で。




