廃車回送とキャラクターラフ
あぁ、あぁ……。
心の声。
出社すると、工場脇の側線で入社以来何度も手入れしてきた車齢30年の近郊型電車が車齢46年の電気機関車に連結されていた。廃車回送の準備だ。青い機関車なので、この近郊型電車は長野か埼玉県の大宮、または群馬県の桐生で解体される。赤い機関車の場合は福島県の郡山。なお廃車されるのは車齢30年の電車のほう。
ここ鎌倉総合車両所にも解体場はあるけれど、こちらはただいま電気機関車の解体ラッシュ。こちらもわたしがお手入れしてきた大事な車両たち。なにぶん在籍車両の多い会社であるため、同時期に大量の廃車が発生すると一つの工場では手に負えなくなる。
鉄道車両の寿命は30から60年程度だけど、実は手入れを続ければまだまだ走れる車両は多い。しかし古い車両が故障しやすいのも事実。他にいつまでも使い続けていると部品メーカーから従前の何倍もの値段を吹っかけられる場合もある。いつまでも古いの使ってんじゃないよ、こちとら新型車両の部品も造らにゃだから余計な場所取る古い型は早く捨てたいんだわ、という話。
きょうの社畜業は車両2課で『輪軸』の探傷。車軸とタイヤを組み合わせたものを日本総合鉄道ではそう呼ぶ。
箱型運搬ロボットに抱き抱えられた輪軸が棟内のコンクリート床に敷かれたレールを辿り、ベアリングを内蔵した筒型の『ころ軸受』や、車軸に付着したグリース等の汚れを洗浄する装置に入り、更にショットブラスト(細かい鉄の玉)装置で塗装を剥がす。それが終わると暗幕がかけられた装置に入り、水に溶いた蛍光磁粉液を輪軸全体にかけ、ブラックライトで照らす。ブラックライトの光は紫だけど、疵のある箇所は蛍光塗料が反射して黄緑色の筋が浮かび上がる。
最近では老朽車両から新車への取り替えが進み、安全運行に支障を来す恐れのある疵が入った輪軸はほとんど見られなくなった。わたしが入社して数年はちらほら見られた。
ということで、現場の手伝いをして異常も滞りもなく仕事が終わり定時退社。定時っていいね。
寄り道せず可及的速やかに帰宅してPCを開くと、舞ちゃんことイラストレーターのまるたんやんまさんからメールが届いていた。雲雀沢さんにも同時送信されている。
ビジネス文書に添付された画像を開くと『FIVE LIVES!』メインキャラクター5人のキャラクター原案ラフ。
「うほっ、ほおお、うほっ……」
語彙力皆無。ラフで既に可愛い! しかもわたしのイメージ通り! わたしのイメージを書いた文からキャラクターを的確に可視化する。イラストレーターってすごい! この可愛さだけでスタミナ超特盛丼完食できる気がする!