歴史の一コマ
あっさりヒロインざまぁエンドですね。
「そうね。でも、歴史と言う長い物語には主人公など居ないわ。人々が生きて織りなす日常が歴史となるのですもの」
カサンドラがどこか冷めた目でセレナを見るが、その目には憎しみは無かった。
セレナはその日のうちに王宮の魔術師達に預けられ、魔傷を受けたと断定された。
当然、学園は退学となり、デニスロード達は慌しかった学園生活に平穏が戻ってきた、と胸を撫で下ろしていた。
「ゲームは所詮ゲームだったって事ですね」
マキリミリアが穏やかな学園の様子にぽつんと呟いた。
「そうよ。どれ程似ていても、わたくし達は生きているのですもの」
設定や強制力などない。
カサンドラがデニスロードを見れば、デニスロードも優しい目で見つめ返してきた。
「ヤンデレ・メリバは好きですか?」
唯一、ゲームの知識を持つマキリミリアが問うと
「嫌いです。私は皆が幸せになるのがいい」
アリアが笑顔で答える。
「おや?マミは好きなんですか?では、期待に応えなくては……」
ジークハルトが耳元で囁くとマキリミリアは首が取れそうなほど激しく横に振った。
その後、魔傷を受けたセレナはコール男爵家から除籍され、平民として規律の厳しい修道院に送られた。
たいした魔力も無く、魔傷持ちを受け入れるのがそこしか無かったのだ。
本人は、攻略は出来ていたのにヒロインざまぁエンドなんて、と喚いていたがその声が外に出ることは無い。
後一回くらいで終わるかな?




