ユキの決断
ユキ姉さんは本当にハナちゃんしか見ていないのかも。
死んだハナのその後を知ることが出来たのも、ハナが幸せを掴もうとしているのを見れた事も、ユリシリアの力のおかげだ。
此処での記憶をなくし、ハナを失った悲しみしか残っていないが、菩提を弔いながら思い出を抱き締めていられるのは、現世でしか出来ない。
この世界に残ってもユリシリアに全てを支配されていたら、ハナを思う事も出来ないかもしれない。
そんな思いにユキは納得し、顔を上げた。
「私は現世に戻ります。今まで、過分な温情、ありがとうございます」
ユキが頭を下げると
「それが君の決断だね。理解した」
ユリシリアの青紫の瞳が冷たく光る。
ユリシリアにとって、ユキがどっちを決断しても意味はそれほど無いだろう。
ハナを守る為に生まれたユキにとって現世での、ハナとの思い出は生きる糧にも等しい。
ふぅ、と息を吐き下げていた頭を上げ、真っ直ぐユリシリアを見た。
白い髪、青紫の瞳をした背筋が寒くなる程の美貌の神。
二度と会えなくなるのが、少し寂しかった。
「屋上イベントの時、また呼ぶ」
感情の無い、冷たく聞こえるユリシリアの声にユキは頷き、現世に戻った。
次は屋上イベントです




