冷酷な言葉に
おちゃらけていた神様のもう一つの顔です。
「さて、このイベントでアイツは破滅するのが決定する」
「そしたらざまぁエンドね」
ゲームを知らなくてもざまぁエンドの事は知っている。
ユキは期待を込めてユリシリアを見詰めた。
「ああ。だが、ユキ、君にも決断をして貰わなければならない」
悪戯っ子の様な笑顔を見せるかと思っていたユリシリア。
だが、初めて見る冷たい硬質の輝きを放つ、ユリシリアの青紫の瞳をユキは正面から見た。
「君は屋上イベントを見たら、此処での全ての記憶を消して、現世で普通の人として生きるか、私に全てを支配され、私の為だけにこの場所で生きるか決めなさい」
非情な選択に、ユキは言葉を失った。
「無償の愛など期待しないで欲しいな。アリアは私の愛し子だから助けているが、君は違う」
きっぱりと言われ、無意識に自分もハナの様にユリシリアの慈悲に甘えていい、と思っていた事を理解した。
そして、自分はハナを守る為に生まれた存在だ。
「……そうでした。貴方はハナは大切だけど、って言ってましたね」
どうしてとも、酷いとも言わず、ユキは視線を自分の足下に落とし、息を吐いた。
「考える時間を下さい」
真っ白になった頭では結論が出ない。
少しでもいいから、落ち着いてこれからの事を考えたかった。
「今すぐ決断しなさい。君はどれだけ私の力を受けていたか、理解している筈だ」
ユリシリアの冷酷な言葉に、ユキは唇を噛んだ。
神様は何を望んでいるのだろう。




