神様は何もしていなかった。
意識操作がされてないのに諦めないって、ある意味凄い。
「残念でした。そんな事、してやるつもり無いからな」
「して無いの!」
ユリシリアが悪戯っ子の様な顔で、画面のシオンナリスの解答に不正解を突き付けた。
ユキもてっきりユリシリアが意識操作をしているから馬鹿みたいにイベントへ執着しているのだ、と思っていた。
「アイツは生前から都合の悪い事は、絶対認めなかっただろ」
「……確かに。屁理屈捏ね回して、その場の勢いだけで押し通ってたわ」
思い出すとまた腹が立ってきたが、今回は都合の良い。
「なんか、皆凄く警戒しているけど、屋上イベントってそんなに危ないの?」
ゲームを全く知らないユキが不思議そうに尋ねると、ユリシリアがざっと説明をした。
ゲームでは、ヒロインがカサンドラに屋上から突き落とされそうになり、レオニアスが助ける事になっている。
「今までの話の流れからみると、ハナが突き落とされる役ってことね」
「そう。だから皆、警戒をしているんだ」
「ハナ、運動神経ないから逃げたり躱したり出来ないのよね」
内容を聞いて、ユキも苛々しながら画面を食い入る様に見た。
「アリアにもしもなどない。前世では私の目が届かない場所だった為、不幸な事故にあってしまったが、この世界は私の力が満ちている」
強い眼差しでアリアを見詰めるユリシリアをユキは、もう一度見詰めた。
神様はアリアを大切にしてます。




