黒髪のリーヴシェラン
淡い髪の色の人は漆黒の髪に憧れを持つ、と聞いたことがある。
「シェラ、魔法を練習している時は集中を欠くな、と言われているだろ」
呆れた様な声で黒髪の女子生徒にデニスロードが声を掛けると
「ごめんなさい、お兄様。泥塗れの羽虫が耳障りな音を立てたので……」
黒髪のリーヴシェランが悲しそうな顔で謝った。
「な……なんで」
黒髪の女子生徒はカサンドラだと思っていたセレナは全身ずぶ濡れの状態で、リーヴシェラン達を見上げたが、とうの本人達は一滴の水にも濡れていない。
「防御の壁は見事だが」
もの凄い水が落ちて来たのに、防御の壁はびくともしていなかった。
「アリア直伝ですもの」
当然よ、と言いたげにリーヴシェランは黒髪をかき上げた。
「サラの様な髪が憧れだ、とか言ってアリーに頼み込んでいた様だが、私はいつものシェラの方が好きだな」
「まぁ嬉しい。ナリス先生も同じ事言って下さったけど、黒髪は憧れですもの」
クスクス笑うリーヴシェランと彼女を優しく見詰めるデニスロード。
全くセレナの話を聞いていない。
泉のイベントは少々肩透かしを食らった感じだが、全くフラグの立つ気配なく終わり、デニスロード達は笑い合いながら泉を後にし、その場にはずぶ濡れのセレナがぽつんと残された。
黒髪でも金髪でもリーヴシェランは美人です。




