防御は必要です。
ナビちゃんの活躍、もちっと書きたかった。
「……と言ってました」
執務室に戻った、茶色の髪をしたマキシミリアが冷たい目で、見た事をデニスロード達に報告した。
「ナビ子爵令嬢の懸念通りになったか。ラモン学院長、少々校内を騒がすが、良いか?」
ラモン学院長と呼ばれた、目つきの厳しい初老の男が頷く。
「許可します。説明を聞いた時はなんの冗談かと思ってましたが。魅了魔法を悪用し、自分の欲望をゴリ押しするなど、学院の生徒に有るまじき行為です」
苛立たしさの為か、ラモン学院長の目付きが更に厳しくなる。
「学院創設時からの歴史の中でも、群を抜いて優秀なフロランス伯爵令嬢を害そうとするなんて、同じ学年として恥ずかしい事です」
カサンドラが憂い顔で俯けば、学院長もこめかみに指を当て、眉を顰める。
「提案ですが、いちいち解除魔法を掛けるより、無力化の出来る魔法具を持っては如何です?」
ラモン学院長の提案に、シオンナリス先生も頷く。
「希少な魔法具を私達個人に使っては、過剰防衛になるのではないでしょうか?」
カサンドラが戸惑う様、デニスロードを見れば、デニスロードも考え込んでいる。
「王族に対しての攻撃です。過剰防衛ではありません」
「レオニアスはフロランス伯爵令嬢を守る為に常に正常で無ければならないですし、私はリーヴシェラン殿下をお守りしなければなりません」
ラモン学院長の言葉に続き、シオンナリス先生が冷静に現状を告げた。
「……そして私は、国とカサンドラを守る為に、か」
王太子であるデニスロードの肩には、多くの貴族と数多の民の生活が掛かっている。
無様に魅了魔法にかかる訳にはいかない。
「では、あの女の脅威が無くなるまで借りよう」
デニスロードの一言で、ある程度の魔力を無効化できる魔法具のピアスを3人が着けることになった。
防御力は高い方がいいです。




