神様からのネタバラシ
ユキと神様の会話です。
「なんか趣旨が変わってない?」
「これもアリアのお陰だよ」
初々しいカップル達の行動を見ながら、ユキが眉を寄せている。
たった数ヶ月前までは、アリアを側妃にする計画を立てていた者達が、恋人同士に何故なっているんだ、と思う。
「アリアがカサンドラのトラウマを解消したから、物事が幸せの方にシフトして行ったのさ」
ユリシリアの言葉にユキの眉がさらに寄る。
「カサンドラは、その姿が両親に似ていない為、実の両親から疎まれて育つはずだった。だが……」
「隔世遺伝の話をしてたっけ」
「そう。そのお陰でカサンドラは権力に固執しない高位令嬢として育った」
ゲームではカサンドラは両親の愛に恵まれなかった為、権力に固執しデニスロードとの婚約も彼が王太子であるから、強引に結んだ。
そして、デニスロードの関心がヒロインに向くことで、自分の権力を奪われると思い、陰湿なイジメをしてデニスロード達に断罪され、侯爵家からも追い出されてしまった。
「で、なんでそれが……」
「デニスロードも権力に固執しており、権力を憎んでいた」
ユリシリアの言葉にユキは首を傾げた。
「意味分かんないんだけど」
「デニスロードは自分が王太子でなければ、誰も自分を見ない、と思っていた」
「媚びを売らないハナやカサンドラに興味を持ったってこと?」
「そう。最初はアリアに思慕を向けたが、聡明で美しいカサンドラに惹かれていった」
ユキが納得したように頷く。
「ジークハルトも拗らせていたよね」
「よく見ているね。そう、ジークハルトも拗らせていた。危なっかしいアリアを守る事が拗れていたが、もっと危なっかしい存在に目が行き、ハマったんだよ」
「確かにそうね。ナビちゃん、ハナ以上に危なっかしいもの」
本人はゲームのナビをするからしっかりしているつもりだが、行動や言動はアリア以上に危なっかしい。
「ナビちゃんが廊下で盛大に転んだ所、大丈夫かなって思ったもの」
クスクスと笑うユキの目が、優しげに細められた。
ユキさんは乙女ゲームしないので、設定に詳しく無い。




