Q:9歳にしては大人びてませんか?
一度この小説を投稿したのですが、文章が可笑しかったり急展開だったので一度消去させて頂きました。
だいぶ修正して、設定も変えたのでだいぶ変わったと思いますが、それでもまだ可笑しいところが沢山あると思います。
どうか暖かな目で見守ってください。
今後とも宜しくお願いします。༼;´༎ຶ ༎ຶ༽
色が抜けるほど白い肌、絹のような美しい髪。
人間の丸みを帯びた耳とは違う、鋭く尖った耳。
顔のパーツは全て整っていて、まるで人形のよう。
そして、彼らの瞳は硝子のように透き通っている。
人間よりも高い身体能力と生命力を持つ。
繁殖能力は低く、教会での儀式を経た特別な十字架を弱点とする。
これらは吸血鬼の特徴として世間で知られている。
人間の社会に溶け込み共存していたという吸血鬼。
彼らは千年以上前に絶滅したという。
その理由は、人間たちによる反逆、革命だった。
当時、吸血鬼たちは貴族制度の頂点に君臨していた。
国の中心にある、吸血鬼とその使用人のみが入ることを許される都に住み、圧倒的に優る頭脳と身体能力で、人間達を支配していたのだ。
彼らの支配に人間は疲弊していた。
毎日苦しい生活、高い税金。
普通の貴族でさえ困窮した生活をおくるほどであった。
そのくせ吸血鬼である上層部の貴族達は華やかな王都で贅沢三昧な生活を送っている。
皆の不満が溜まるのは必然であった。
人間の貴族も平民もこの生活から脱する為に結託した。
どんな身分も問わず人をかき集め、武具を調達し、彼ら吸血鬼の最大の弱点であるという、教会の神からの祝福を受けた十字架を持った。
吸血鬼が集まる王都へと押し寄せた革命軍と、吸血鬼達の戦いは熾烈を極めた。
圧倒的な力の差に、戦意をなくす者もいれば、勇敢に立ち向かい命を散らしたものもいる。
だが、人間たちは吸血鬼が恐れる十字架と、彼らの何十倍にもなる数で少しずつ敵を減らしていった。
そしてついには、最後の吸血鬼の王を討ち破った。
王が亡くなってからは戦いから逃れた吸血鬼の処刑が始まった。
そして、そこから長い年月が過ぎ、ついに吸血鬼は滅ぼされたという。
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「―で、今に至るんだ。」
「ふぅん…。」
「ふぅんって…。ちゃんと話聞いてたか?」
「あにさまはなし長い。」
「長くて何が悪い。」
私の名前はミカルラ・メリルスト。
腰まで伸びた青のグラデーションが入ったアメジスト色の自慢の髪と少し吊り目で白菫色の瞳をもった今年9歳の女の子だ。
私が今住んでいる国、ソルフィ王国のメリルスト伯爵家の長女である。
今私の目の前で呆れた視線を突き刺してくるのは、
ロイ・メリルスト。
私と同じ色の艶のある髪とイエローオパールの瞳、そして人形と並んでも違和感のない美しい顔をもつ4歳離れた兄だ。
こちらも当然だが、メリルスト伯爵家の長男である。
身内の贔屓目なしでもかっこいいし、勤勉な兄様だが、いかんせん話が長い。
先程の話も長すぎて少し寝そうになっていた。
というか、右脳は寝ていた。
私が部屋まで遊びに来たのだが、長話を聞かされることになろうとは思わなかった。
おかげで今とても眠くてすぐ眠りたい所なのだが、私の現在位置は兄様の部屋。
流石に兄様の部屋で眠りこけると、はしたないと雷を落とされかねないので、ここで眠るわけにはいかない。
とりあえず今私が為すべき事は、一刻も早くこの部屋から出て自室のベッドへと飛び込むことだ。
私とドアの距離は約4~5メートル。
兄様との距離は1メートルあるかないか。
兄様がこれ以上話を続けようとする確率、私を強制的にに聞かせようとする可能性大。
今座っている椅子から立ち上がりドアへと駆け寄る私を兄様が捕まえられる確率ほぼ100%。
つまり、脱出成功率は低いのだ。
しかし、私は捕まるわけにはいかないのだ。
何としてもベッドへと急行せねば…。
上にはただの天井。目の前の兄。後ろには窓。
窓から飛び降りると外にいるであろう、人間とは思えない身体能力をもつ使用人に捕まってしまう。
なので、残された道は正面突破。
もしくは…。
相手は成長したことで頭が固くなった兄。
対してなんとしてでもベッドへと行く願望を抱え持っている私。
この勝負…いける!
「兄様。私はもうおねむの時間だおやすみなさい。」
「あっ、おい!待てミル!」
手順を間違えてはいけない。
まずは落ち着いて椅子から立ち上がる。
私の読み通り兄様も椅子から立ち、私を引き止める動きを見せた。
ここでドアまでダッシュで駆けていきたい所だが、それをすれば一巻の終わりである。
なので走る構えをとり、兄様がドアの前へ来るよう誘導する。
予想通り兄様はドアの守りにでた。
そこで私は、
「な、なんだと?!!」
上へ飛んだ。
正面突破は、正直難しいだろう。
兄に正攻法で挑むのは、それこそ窓から飛び降りるよりも愚策。
ならば、上の天井から突っ切るしかないのだ。
己の頭が天井に届く前に拳を突き上げ、天井を壊す準備をする。
ここまで来たら後少しだったが、兄様は甘くなかったようだ。
「させるか!!!」
「なにっ?!」
突如部屋に響いた兄様の声と共に5本の短剣が飛んできた。
「わっわわわっわ!」
短剣は私の四肢と頭部に、恐ろしい速度で狙い撃って来た。
なんとかスレスレで躱したが、おかげで天井を壊すほどの勢いが失われてしまった。
なんということだ、私の完璧な計画が失敗するとは。
おのれ、そうまでして話を聞かせたいか!
「ここで話を終わらせはしない!」
「話を終わらす前に私の命が終わるんだけど?」
順序を間違えるにも程があるだろうに。
床に着地したはいいが、これからどうしたものか。
上に飛べばまたナイフが飛んでくるだろう。
完全に八方塞がりである。
こうなれば…奥の手を使うしかない。
今まで誰にも見せなかった、一度きりの手。
強力なので、次からは対策される事は間違いない。
本当はもっと後に使いたかったが、仕方のない事。
私は決心し、兄様に向き合う。
私はドレスの裾を持ち、中に隠しておいた秘密兵器を取り出した。
私の秘密兵器、それは
「…なんだそれは?」
私特製の改造武器、アクスピアソードだ。
この武器は斧の先を、槍の先とは反対の部分に付け、その上に剣先を更に付け加えた最強な武器だ。
剣も槍も斧もついているこの武器に勝てるものはないだろう。
「兄様ぁ!覚悟ぉぉぉ!!」
私は兄様へ剣先を向けて、猪も素足で逃げ出す突進を繰り出した。
「お前がその気なら、俺も本気をだそう!」
そう言うと、兄様は部屋のベッド近くの壁へと瞬間移動し、天井からぶら下がっている赤い紐を引っ張った。
すると、ドアの方向からドスンッと大きな音が聞こえてきた。
兄様の方へ顔を向けていた私は、嫌な予感を感じた。
恐る恐る顔をそちらへ向けると、すぐに私はその行動を後悔することになった。
目の前にはおぞましい物体があった。
その物体のあまりの現実離れした形に、私は思わずアクスピアソードを放り出してしまった。
その物体は何と形容すればよいかわからない見た目をしていて、全身が赤黒く染まっていた。
大きさはゆうに私の身長をこえ、軽く3mはあるのではないかという程に巨大であった。
目玉であろう球体をゆらゆらと揺らし、口と思われる窪んだ所からは人間のような手がはみ出している。
見ただけで人を憂鬱な思いをさせ発狂、吐き気までを催すその不気味な見た目は、数秒もみていられるものではなかった。
一言で言ってしまえば、気持ち悪い。
「うぎっやぁぁぁぁぁぁ!!!!きもいぃ!!!!」
「なんじゃと?!こんなに愛らしいメリーちゃんの何処が気持ち悪いと言うか!!」
「全部!!!全てにおいて気持ち悪い!!!!」
この物体が兄様の目にはどういう風に映っているのか分からないが、兄様特有の謎の怒り口調で怒鳴られた。
「…スケ…タス…テ…」
「おびゃぁぁぁぁぁぁ!!いきっいきてっ!!!」
「タスケ…ケテ……」
「びぃええええ!!!!つかまれたぁぁぁぁ!!」
なんと言っているかわからない謎の口からはみ出た手は、私の足を掴みあちら側へと引っ張ろうとしてきた。
しかも恐ろしく力が強い。
どう頑張ってもびくともしないのだ。
ある種のホラーである。
恐ろしい目に合った私は、眠気も部屋に帰る事も頭から飛んでいき、恐怖でいっぱいになっていく。
兄様はいつの間にか私の側に来ており、ポンッと私の肩に手を置いた。
「ミル、落ち着け。その手は昨日メリーちゃんに取り込まれた見習い執事のアベルだ。」
(生きてるのかよ!この手生きてるのかよ!というかなんで取り込まれてんだよ!)
見習いということはつい最近雇われたばかりなのだろう。
不憫に思うが、私にはどうすることも出来ないのではやく手を離してほしい。
「おい、あべ。手を離せ。」
「ケテ…タ……テ」
「というわけで、さっきの話の続きからだ。」
「そんな…私は……無力だ………。」
「………タス…テ………」
兄様の本気は、私の奥の手を遥かに超えていた。
上には上がいると言う言葉を、今痛感している。
これからは、このメリーちゃんとやらに勝つことを目標に、己の精神の成長とアクスピアソードのさらなる改良を志そう。
あべに足を掴まれながら兄様に椅子まで連れて行かれる中、私は心に誓った。
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なんとか長話を聞きぬき、ようやく自分の部屋に帰ってきたときはもう夕方になっていた。
兄の部屋に訪れたのがお昼すぎだったので、一体何時間
話を聞かされていたのかを考えると、今日の自分はよく頑張ったと思う。
「今日ずっと吸血鬼の話だったな…。」
というのも、兄が吸血鬼ヲタクだったりと言う事ではなく、ちゃんと理由があるのだ。
その理由とは、私達家族の秘密にある。
父は元子爵家の次男であり、普通の人間である。
だが、母はこの伯爵家の血を継いでいる。
つまり、吸血鬼なのだ。
そして私達兄弟もまた、血を継いでいる吸血鬼である。
代々受け継がれて来た血なので、普通は血筋は薄れ、どんなに強い特徴もなくなっているだろう。
しかし、吸血鬼の血はどんなに薄かろうと吸血鬼としての特徴がなくなる事も、少なくなる事も、薄くなる事もない。
つまり、血が薄れていようとも私達は吸血鬼の特徴に当てはまってしまうのだ。
なので吸血行動もするし、生命力や身体能力だって高く、耳も尖っている。
優秀な頭脳云々については知らない。
そして、教会の特別な十字架に弱い。
これらの事があり人間に私達の正体がバレると、良くて処刑、最悪その十字架によって退治される可能性が高い。
兄もそれを理解させる為にこうして私に吸血鬼がほとんど死んでしまった革命の話をするのだろう。
私としてはそのような事は重々承知である為、態々そんなに何度も言い聞かせなくとも、と思うが。
ちなみに、私達吸血鬼家族なぜ生き残れたか。
理由を簡潔にいうと、当時の当主を筆頭に、その妻や子供、更には使用人までもが他人との交流がほぼ皆無に等しかったからだ。
それはその妻の実家でさえ例外ではない。
ただ単にコミュニケーションが苦手だったのか、妻の実家やその他の家と何か一悶着あったせいなのかはわからない。
そんなこんなで、爵位が吸血鬼の中でも低めであったこともあって、吸血鬼たちから存在を忘れられて王都での戦いに召集されなかった。
それを好都合として、当時の吸血鬼優位で人間を見下すことで成り立っていた政治を嫌っていた当主は、裏で人間と繋がり、王の討伐に一枚噛んだ。
そして、その人間は後の王族となるのだった。
その際に領地の運営を続ける代わりに、人間達と関わらずに過ごせる環境と吸血鬼である事を知らせない事を王に約束させたと言う。
ただ、学園に通う事だけは必須だと行く事を強制されたみたいだ。
そのお陰で母様や父様のように出会い、結婚する事もあるのだが、学園に行く間は正体を隠さなければならないので面倒である。
また、出会った人間全員が父様のように吸血鬼である事を口外しなかったり、受け入れてくれるとも限らないので、そういう面でもかなり気を付けなければならないので中々にしんどい。
それを3年間も続けろというのだから、中々に鬼畜である。
それでもここまで血筋を途絶えさせなかったのだから、我が家の血を引く者は皆運が余程良い。
そんなこんなで色々な事があるが、何か出来すぎではないかと思うところがある。
実際私達は吸血鬼として生き残っているわけだから本当の事なのだろうけれども。
それにしても、十字架を見るだけで内蔵から灼かれるような苦しみを感じるとは、吸血鬼という身体は不便で仕方ないように思う。
また、私には十字架のような皆共通の弱点の他に、別の弱点のようなものがある。
正直、十字架云々よりもこちらの方が私にとっては恐ろしく、最も忌み嫌う弱点である。
それが本来の吸血鬼にとって、とても大切な吸血行動である。
血を吸うという行為は、吸血鬼にとっては美味しい食べ物を食べるようなもので、楽しく行えるものである。
しかし、何故か私にとっての血はこの世の悪臭と色々な腐敗物を混ぜ合わせて香辛料をドバドバかけたような絶望的な味に感じるので、その行為は楽しさとは程遠いのだ。
母様や兄様が美味しいと言ったものでさえ、私にとっては生ゴミのようなものなのだ。
おかげで、私は血を飲みたくないのでいつも空腹状態で、餓死しない為に渋々血を飲むと、あまりの不味さから体調を崩したりと散々な目にあっている。
あぁ、何故父様と同じ人間の身体になれなかったのか…。
「うまい血が飲みたい…。」
いつか私も自分の意志で血を飲む日が訪れるだろうか。
A:(そんな事)ないです。
文章を書く事が初心者(?)なのでアドバイスを頂ければ幸いです。
是非ともよろしくおねがいします。