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ないものねだり  作者: 雛菊 兎月
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第二話 新学期

2年A組 白井雪乃(しらいゆきの)。私は自分の名前を見つけあと、そのまま悠理(ゆうり)の名前探す。

…良かった。今年も悠理と同じクラスだった。

廊下に貼り出されたクラス表を確認して安堵する。


悠理とは、中学校3年生の時に一度クラスが違ったけれど、その時以外はずっと同じクラスだった。

5歳の頃からずっと、クラスだけではなく、いつも一緒だった。


ふと悠理を見てみると、悠理も安堵したような笑顔でクラス表を見つめていた。

私は、その横顔を見て安心した。…悠理も同じ気持ちだったらいいのにな。

私達は、始業式に参加すべく講堂へ向かう。



『これより、第112回青藍女学院高等部の始業式を始めます』

教頭先生の挨拶から、始業式が始まった。


『では、次は昨年度の最優良生徒「流川悠理(るかわゆうり)」より生徒を代表して本年度の抱負を発表してもらいます。流川さん、前へどうぞ』


『素敵…流川さんだよ。今日も綺麗』

悠理の登壇によって、周りが少しざわつく。

悠理は真っ赤なリボンで縛った長く美しい黒い髪をなびかせて、壇上に上がる。


『2年A組の流川悠理です』

悠理がスピーチを始めると一気にざわつきが止まり、皆が悠理に注目する。

悠理は、一年生時に学年1番の成績であること、陸上とテニス大会での全国入賞の功績が認められ最優良生徒に選定された。


流川悠理。…私の大事な幼なじみ。容姿端麗、頭脳明晰であることはもちろん、人格者でもある。

少し天然で、完璧なように見えて隙がある性格のため、皆んなからも愛されやすい。

…私も、もちろん悠理が大好きだけど、悠理の人気っぷりに少し寂しさを感じることもある。



『以上です。生徒代表、流川悠理』

悠理のスピーチが終わると、大きな拍手と声援が飛んだ。


悠理は列に戻る時に私にウィンクをしてきた。

隣に座っている(さき)ちゃんがそれを見て『彼氏からのサインだね』と茶化した。

…もう、私は悠理と違って恥ずかしいのに。


以前も似たようなことがあったとき、悠理に恥ずかしいと伝えると『雪乃はシャイだね。可愛いなぁ!』と頭をわしゃわしゃと撫でられた。

私は、その時のことを思い出しながら、少し赤くなった頬を抑えた。


それは、高校2年生になったばかりの春。

通学路に植えられた桜の花びらは、すでに舞い散り始めている。

数週間で散りゆく桜の花びらのように、儚く過ぎゆく1日1日を私は愛おしく感じていた。

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