第8話 Boy meets Girl again
俺は早速「妹Dカップ計画」実現のため動き始めた。
今までのように一日で完成する小品とは異なり、今度は大作になる。
完成までに何段階も踏まなければならないし、手持ちの材料では明らかに不足している。
俺は必要な材料を入手するため、新宿にある画材屋へ向かった。
新宿駅で降りた後、画材屋を目指して歩道を歩いていた俺は、いきなり大声で呼び止められる。
「御門さん!」
俺は声が聞こえた車道の方を振り向く。
すると、白いドイツ製の高級車から転がるように飛び出して来た若い女が、俺に向かって全力疾走してくる。
彼女の足元はスニーカーではなく、およそ走るのには適さないヒールの高い靴であるため、見ていてとても危なっかしい。
案の定、俺の目の前まで来たところで彼女はバランスを崩し、よろけてしまう。
『危ない!』
俺は反射的に彼女を抱き止めた。
全力疾走した彼女は俺の胸に手をついて、下を向いたままハァハァと息を荒げている。
俺は彼女の顔に見覚えがあった。
彼女の息が落ち着くのを待ってから、俺は彼女に話しかける。
「ああ、えーっと確か・・・」
顔を上げた彼女は、俺の眼を見つめながらはっきりと返答する。
「友梨佳です。蘭堂友梨佳」
彼女の眼がうるんでいるように見えるのは、俺の気のせいなのだろうか。